一般的に日本では、「干支(えと)」と「十二支」は同意語として使われるが、本来は十二支のみでなく、十干を合わせた60通りの組み合わせの「十干十二支」を「干支」と呼ぶ。
聞きなれない「十干」は、もともとは、太陽の巡りを数えるための数詞で、
甲(きのえ・こう)、乙(きのと・おつ)、
丙(ひのえ・へい)、丁(ひのと・てい)、
戊(つちのえ・ぼ)、己(つちのと・き)、
庚(かのえ・こう)、辛(かのと・しん)、
壬(みずのえ・じん)、癸(みずのと・き)
の10種類からなっている。
たとえば、「丙」と「午」が組み合わされた「ひのえうま」産まれの女性は、気性が強く、夫を殺すことがあるなんて迷信があって、ひのえうまに当たる1966年の出生率は前年に比べて25%も低い。
また60歳を迎えた人を祝う習わしに「還暦」があるが、これも「十干十二支」がもとになっていおり、60年が経つと生まれた年の干支にもどるという意味だ。
さて、十二支はもともと、12年で天を一周する木星の軌道上の位置を示すための数詞だったが、やがては月や時を数える数詞などにも用いられるようになり、その十二支を12か月に配当したものを「月建」と呼ぶようになった。
そして、月建は農業と結びつき、以下のように農作物が生長する様の順番を表すようになった。
孳(ふえる) 新しい生命が萌え始める
紐(ひも) 生命エネルギーの様々な結合
?(うごく) 形をとっての発生 ※「虫」偏に「寅」
茂(しげる) 草木が地面を蔽う状態
振(ふるう) 形が整って活力が旺盛になる
已(やむ) 気の更新
忤(さからう)衰微の傾向が初めて起こる
味(あじ) 成熟して滋味を生じる
呻(うめく) 陰気が伸びて老いて成熟する
?(ちぢむ) 成熟の極限に達する ※「糸」偏に「酋」
滅(ほろぶ) ことごとく滅びる
?(とじる) 生命の完全な収蔵含蓄 ※「門」の中に「玄」
中国の戦国時代頃、これを庶民にも覚えやすいように動物を配当して、
子(孳)
丑(紐)
寅(?、「虫」偏に「寅」)
卯(茂)
辰(振)
巳(已)
午(忤)
未(味)
申(呻)
酉(?、「糸」偏に「酋」)
戌(滅)
亥(?、「門」の中に「玄」)
とし、12年の木星の軌道にもあて嵌めた。
つまり、ご質問の干支の順番は、農作物の発芽から生長、消滅の繰り返しを表しているということになる。多分、これが日本の干支の原形であろう。
※中国の周王朝における暦は上記の順番だったが、夏王朝や殷王朝では、寅(?、「虫」偏に「寅」)から始まり正月だった。
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