--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.1179 (2016.03.11)

Q. ぴょん吉さんからの疑問

 今の世の中では、電化製品や食品などいろいろなモノ(製品)が大量生産されており、それらのほとんどが人間による手作業ではなく、機械で生産されていますよね。
 そこでふと思ったのですが、機械は人間とは違い、プログラム通りにしか作業をしないので、
機械で生産しているかぎり、理論上そのラインで製造されたものは全て同じ品質のものができるはずと思っています。それなのに、電化製品などはどうして製造段階で不具合品が出て来てしまうのでしょうか? 食品であれば、不良品が出てきてしまうのもまだ分かるのですが……。
 とても気になるので機械に詳しい方いましたらご教授ください。

機械だって間違うことがある――ということでしょうか?


A. やまおさんから

 機械は故障しないものと思ってる人がいらっしゃいますが、それは違います。機械は完璧なものではありませんので、不具合のある製品が生まれます。
 機械は、人間が設計して作ったものです。プログラムだって人間が設計して作ったものです。
 不具合が出るたびに機械は改善され完璧に近づいていきますが、100%の機械はなかなかできるものではありません。

A. ごんたさんから

 機械による大量生産でも以下のような原因で不良品は製造されてしまいます。

1.部品または原材料の不良によるもの
2.組み立て機械の故障や部品の劣化による製造不良
3.人為的なもの(組み立て機械の調整不良、完成品や部品などの運搬や取扱いに起因するものなど)
4.設計ミスによるもの、本来はテストの段階で発見されるべき問題ですが、条件の設定や特異な用法など設計者が想定外と思っていた条件で発生する不具合など。
  特異な用法など設計者が想定外と思っていた条件で発生する不具合など。

 機械による大量生産は同じ品質の品が速く大量に製造できるのが大きなメリットですが、製造機械に故障や不具合が発生した場合は同じ不具合を持つ品が大量に生産されてしまうので、リコールや製品回収など大きな問題に発展してしまいます。

A. Nanko28さんから

1)材料は一定ではない。
――産出された地域(国)により相当違いがある。
――製錬された、会社により、ばらつきがある。
――JISで規定されてはいるが幅がある。

2)機械の調子もいつも一定とは言いがたい。
――朝のかかりは温度が低い。
――夏と冬では大違い。

3)部品一つでも結構ばらつきがある。

4)それらを寄せ集めるともうはちゃめちゃ。
――全て同じ品質のものができるはず。
――とんでもない。

A. 園児に「あ!」さんから

 簡単に言えば誤差のせいです。仮の例として直径1mmのネジがあるとします。これを、直径1.000000……00mmと、限りなく厳密に寸分の狂いもなく1mmに揃えるのは、コストがかかりすぎ、またそこまでの正確さは誰も求めていないので無駄ですので、ある程度の誤差を許容して作ってしまいます。
 本物のネジではそこまで誤差はひどくありませんが、仮に0.99mmから1.01mmまでばらつくとします。ネジ穴のほうも、同じ理由で0.99mmから1.01mmまでばらつくとします。すると、「1.01mmの穴に1.01mmのネジ」の組み合わせは1mmからはずれているけれども、ぴったりはまるので問題なし。一方、「0.99mmの穴に1.01mmのネジ」は、はまらないので不良品として除かれ、製品にならない。「1.01mmの穴に0.99mmのネジ」は、ゆるいけどはまるので不良品にはならずに製品になってしまう。
 工業製品は部品が多いですので、こういう「1.01mmの穴に0.99mmのネジ」のような不運が積み重なります。すると、いわば不運の積み重ねで、いまいちな製品ができてしまいます。あまりにも「いまいち」度が高いと出荷時の検査で撥ねられますが、「動くけどいまいちだな」程度だと製品として出荷されてしまいます。

A. まいたけさんから

 それだけ、世の中に「全ての条件が同じ状態」というのが存在しないということです。
 たとえば、「100枚積み重ねてある紙を、1枚ずつ送り出して印刷する」という作業を機械で自動化したとしましょう。プログラム的に考えれば、100回同じことを繰り返すだけですむはずです。
 しかし、1枚印刷する毎に積み重ねてある紙は1枚ずつ減っていきます。そうすると、紙の厚さ、重さが徐々に変わってきます。となると、紙を送り出す機構の観点からして見れば、最初の1枚と最後の1枚ではだいぶ条件が違いますよね。
 季節でも条件は変わります。冬場ともなると静電気が発生します。静電気は紙を送る作業を邪魔します。逆に、夏は湿度が邪魔します。
 紙の上に何かしらの拍子で異物が乗っかり、印刷の邪魔になることもあり得ます。それと、機械は使い続けることで磨耗等によって消耗します。これも印刷という作業の品質に影響します。
 さらに、紙やインク自体の品質が印刷の品質に影響します。そしてまた、この紙そのものやインクそのものを製造する過程でも、上記のように常に一定の条件を保ちながら作るというのは工夫が必要で、どうしても誤差のようなものは出てしまいます。
 もちろん、機械を作るときはこういった条件は大概クリアできるように作るものですし、分野によって考慮しなければならない条件はさまざまです。ですが少なくとも「全く同じ作業を繰り返していても全く同じ品質になるとはかぎらない」という事はお分かり頂けるのではないかなと思います。
 余談ですが、市場で不良品が発生した場合に「回収」や「リコール」がありますね。あれは、その不良品が発生したのものと可能なかぎり製造条件が一致するものを回収対象としています。それはすなわち、「いつ」「どこの工場の」「どのラインで」「どの材料を使って」といった条件が一致するものを、製造・出荷の履歴から割り出して回収対象としています。機械製品にシリアル番号が打たれていたり、食品に工場コードが記載されていることがあるのはこれが理由のひとつです。

A. ミオパパさんから

  製造の品質管理には、

   機械(Machine)
   材料(Material)
   検査(Measurement)
   作業者(Man)
   作業方法(Method)
   環境(Environment)

の5M1Eの要素が重要だと言われています。
 質問者の方は「人間とは違い、機械で生産しているかぎり、理論上そのラインで製造されたものは全て同じ品質のものができるはず」ということを前提にされておられるので、実際にはオートメーションでも製造過程で介在する「作業者」と「作業方法」は、この回答では考慮しません。

【機械】経年劣化などにより生産機械の性能や稼働精度が落ちていれば、出来上がった製品の品質に影響し、不具合品ができることになります。たとえば、基盤に取り付ける部品が所定の場所からわずかにズレるなど。

【材料】私の経験からすると、これが一番多い不具合品を作ってしまう理由です。電化製品の材料といえば部品になるのですが、これがロット不良を起こしていたり、採用していた部品が生産中止になって後継品の仕様がわずかに違ったりすることで、製品の不良に直結します。たとえば、後継品も通常動作のときは問題がないが、ある条件のが揃うと想定外の動きをするなど。

【検査】こうして、作られた製品の不具合品測定機器の精度、測定条件、測定方法などによって、測定データに“ばらつき”が発生し、不具合品を見逃して、それが市場に出回ることになります。たとえば、入力電圧AC100Vを入れてDC5Vを確認する検査あったとして、精度が悪いと4Vしか出てないのに合格になるようなことが起こるなど。

【環境】工程の温度、湿度、空気中のチリなどが、材料、機械、検査用の測定機などに影響し、不良品を出す原因になります。たとえば、湿度が高いところで生産された基盤に結露して、後々腐蝕を招くなど。