Q. がばさんからの疑問
外国の観光地を紹介する番組を見るのが好きです。
見ていて「外国だな〜」と思うのは、まず、建物です。やはり、その土地の気候や風土、材料に合わせて建物の形や造りが異なっています。
そんななかで私がいつもわからないのは、丸い屋根です。たとえば、フィレンツェの大聖堂の丸屋根です。
見た目に美しいのはわかりますが、それだけであの形になっているのでしょうか? 構造的、経済的な意味が知りたいのです。よろしくおねがいします。
★平らな屋根、あるいは角錐の側面のような屋根ではだめなのでしょうか?
A. しげ3さんから
いつも楽しく拝見しています。
丸屋根についてですが、屋根を石(レンガ等)を組んで作る場合は丸屋根、もしくはアーチ状にしないと強度が出ません。雪で作るかまくらや石造りの橋などを想像してみるとよいかもしれません。
平面の屋根をつくるためには、屋根の重量を支える梁や柱が必要になります。
A. kztさんから
石やレンガなどを積んで架構を構築する構造形式を組石造(そせきぞう)といいます。
石やレンガを積み重ねた集合体は、圧縮力には強くても、引張にはまるで抵抗することができません。架構を構築する際、柱や壁は積んでいくだけでできますが、では屋根はどうしたらいいのでしょうか。
「屋根全体に圧縮場をつくる」というのが先人が考えた解決方法です。屋根をドーム形に積むことで、重力が作用したときに全ての部品に圧縮力がかかるようになるのです。だから屋根(を構成している石)が落ちない。
もちろん施工中は圧縮場が期待できませんから、施工中の屋根を支える仮設支柱と仮設梁が必要です。最後に嵌める最上段の石を
key stone といいますが、key stone を嵌めてから仮設支柱を撤去すれば、屋根架構全体に圧縮場が作用し、組石造の大空間屋根が成立します。圧縮場形成のためには、平板の屋根形状ではだめで、必ずライズのあるドーム形状でなければならないのです。また外周方向にはスラスト力といって外側にはらみ出そうとする力が働きますので、これを抑える外周架構(もしくはテンションリング)が不可欠です。
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