Q. きゅうさんからの疑問
電車が進む方向を変えるときには、線路のポイントを切り替えて行う――漠
然とそんなふうに思っていました。でも、考えてみると、これはなかなか大変
なことだと思ったのです。
いくつか疑問があります。
・電車の進行方向は、運転手は一切選択できないのですか?
・ポイントの切り替えは、誰がやっているのですか?
人が操作しているのか? それとも、コンピュータ制御なのか?
たとえ、コンピュータが制御しているとしても、それでも大変だと思うのですが……。
・今はコンピュータ制御だしても、それがない時代はどうやっていたのでしょうか?
★そうそう。電車がきちんと定められたホームにきちんと入ってくるのが、いつも不思議でした。
A. やまもとさんから
電車の運転士は、線路の切替はできません。いつもとは別の方向に行きたいなと思っても、そんなことはできません。
線路の切替は、手動と電動があります。
手動で線路を切り替えるのは大きな力が必要なので、いまではあまり行われていないのではないでしょうか。
電動での切替の場合、その駅の司令室で制御する場合と広いエリアを一つの司令室で制御する場合があります。これがもっと進むと、切替の判断そのものを、コンピュータが制御するようになります。
A. うにうにさんから
鉄道車両を運転する場合に、運転士ができることは、速度を上げる、ブレーキをかける、進行方向を前後に変える――だけです。
よく絵本やアニメなどで、擬人化された電車や機関車が自分で進路を選んでいくような描写がありますが、実際の運転士はあのようなことはできないので、どうぞ誤解のないように。
ポイントで進む方向を選ぶことは一切できず、ポイントの切り替わっている方向に進むだけです。
切替え方法にはいくつかの種類があります。古い順から説明します。
まず、完全な手動型。
1. ポイントのすぐ側の地面においてあるレバー(転轍器=てんてつき)を手動で操作する。
2.
ポイントとケーブルでつながっている転轍器(通常は屋根のあるところに置いてある)のてこを手動で操作する。
これらは、けっこう力が要ります。
次に、スイッチは手動だけれどポイントを動かすのは電気によるもの。
3. 駅の中にある指令室の信号制御盤(構内全体の線路が示されているパネル)上で、各ポイントのスイッチを操作する。
4. ある線区全体を管轄する指令室で、すべての駅のポイントのスイッチを操作する。(CTC=Centralized
Traffic Control)
ここまでは、ポイントをどのタイミングでどちらに切替えるかは、ダイヤに基づいて人間が判断し操作します。
最後に、完全自動システム。
5. 列車ダイヤのデータそのものがコンピュータに入っていて、どの列車がどの駅に入る前にどのポイントをどちらに開通させるかまでコンピュータが制御する。(PRC=Programmed
Route Control)
この場合は、不測の事態が起こらない限り、手動による介入はしません。
なお、都市部はほとんど4や5になってしまいましたが、ローカル線や引き込み線などでは、1〜3の残っているところもあるようです。
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