--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.162 (2002.01.22)

Q. すずきさんからの疑問

 たとえば、スペースシャトル。宇宙空間は真空に近いそうですから、抵抗となるものがないと思うのですが、どうやって、方向を転換したり、スピードを調整したりしているのでしょうか?
 抵抗となるなにかの物質があるんでしょうが、どんなものなんでしょう?
 地球上とはどのような点が違っているんでしょう? どうか教えてください。


A. ひげおやじさんから

 スペースシャトルが地球の周りを回ることが出来るのは、地球の引力によるものです。シャトルは地上よりの打ち上げられ、大気圏外へ出たところでブースターから切り離され自由落下をはじめます。このときに地球の引力により大きなカーブを描いて地球の周りを回り始めます。
 このときの高度は計算によりはじき出されますが、シャトルの集会する高度では薄いとはいえ大気の抵抗があり、やがてシャトルは大気圏への再突入となります。もし高度が十分高く、また、周回中に加速されるとハンマー投げのハンマーのように、よりスピードを増して引力を振り切って地球から脱出できるスピードを得ることになります。
 月へ行ったアポロや火星探査船等は、みなこのような方法で地球引力圏を脱出していますし、より速い早いスピードを得ることが可能となります。
 地球から遠く離れ宇宙のまんなかでも、何らかの形で星星の引力の影響を受けますが、小さいので無視することが出来ます。その場合はいわゆる逆噴射でスピードを落としたり、大きなタンカーの左右に付いている姿勢制御の小さなスクリュウのような制御バルブからの噴射で姿勢を変え、方向転換を行います。
 但し宇宙空間では抵抗が少ないため、慣性の法則が地球上でのそれに比べ大きく作用します。ですから加速や原則は素早くできず、すこしづつ行う必要があります。急な回転もできません。
 すくなくとも宇宙空間ではスターウォーズのようなドッグファイトはできないようです

A. りーさんから

 これは高校で習う物理の知識で十分にわかります。文章で説明するのはむずかしいですが……、まあやってみます。
 ここで使うのは「運動量保存の法則」です。「運動量」というのは質量と速度の積で表されるものです。たとえば、ある速度で運動している物体Aに、おなじくある速度で運動している物体Bがぶつかると、当然、お互いの速度に変化が生じます。ところが、衝突の前後で、物体Aの持つ運動量と物体Bの持つ運動量の和には変化が起こりません。これが、「運動量保存の法則」です。
 宇宙空間での方向転換は、この法則が利用されています。
 つまり、進みたい方向と逆の方法に、ある質量をある速度で放出すれば、方向転換できることになります。
 タイヤのついたいすにでも乗って重いものを投げたら、そのいすは反動で投げ出した方向と逆向きに自分も動いてしまうことがあるでしょう。それと同じことです。

A. かずひろさんから

 宇宙での移動とか、方向転換には、「運動量保存の法則」を使っています。
 人間を地面を蹴って、その反作用で前に進んでいます。しかし、ご指摘通り、宇宙空間では、抵抗となるものがありません。したがって、「作用反作用の法則」とは、別の方法を用いて前進しなければなりません。
 そこで、「運動量保存の法則」です。
 簡単に言うと、自分自身の質量の一部を放出して、その逆方向の推進力を得ているのです。
 実際のロケットでは、燃焼ガスを噴射して、推進力を発生しています。ブレーキをかけるときは、逆噴射することになります。

A. hiroさんから

 宇宙空間では外部の摩擦がありません。したがって、何か外部の物を押すという考えではなく、自分の持っている質量を押し出して移動するのです。
 実際にはロケット噴射などです。
 もしもロケットが手元になければ、(キャスターのついたいすにでも座って)自分の持っているものを思いきり投げてみてださい。その反対方向に身体は進みます。

A. KAZさんから

 お尋ねの件は、「なぜ真空で動けるの?」ですね。
 すずきさんが考えてるのは多分、次のようなことだと思います。

・飛行機が飛ぶのはプロペラで「空気」を後ろに押し出してるからだ。
・船が進むのはスクリューで「水」を後ろに押し出してるからだ。
・ボートが進むのはオールで「水」を後ろに押し出すからだ。
・じゃぁ、スペースシャトルは何を押し出してるんだ?
・宇宙は真空だ。何もないぞ?
・それとも俺の知らない何かが宇宙空間を満たしてるのか?

 昔の人は同じように考えて、宇宙には「エーテル」が満ちていると考えてましたね。すずきさんのアプローチは素晴しいと思います。
 実は、ロケットの噴射は「空間」を押しているのです。「何もない空っぽの真空の空間そのもの」を押してるのです。先に挙げた3つの例と種類がまったく同じです。(見た目に)押すものが違うだけなのです。これは確かに理解しにくいと思います。
 仮想実験として、地球上で真空にされた部屋の中に超低摩擦のタイヤの付いた台車を置き、その上にたくさんのボールを持った人が座って、ある一定の方向にボールを投げ続けると、それとは反対の方向に進むことができますよ。

KANSHA すずきさんから

 上記の質問をしましたすずきです。
 ひげおやじさん、りーさん、かずひろさん、hiroさん、KAZさん、そして、星田さん大変ありがとうございました。おかげで今晩はよく眠れそうです(笑)。
 みなさんほんとに分かりやすく解説していただいていて感謝しております。実験は早速やってみました。そういったことだったんですね、よくわかりました。
 しかし、宇宙空間って考えればもっと不思議なことがあるんでしょうね。死ぬ頃までには一度は行って地球を外から見てみたいですね。
 でもちょっと無理かな……。でもそのくらい夢があってもいいですね。最近の夢のない日本を見ていると……。