--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.220 (2002.10.10)

Q. 匂梅さんからの疑問

「そうである」ということを時代劇などで「左様、左様」と言いますよね。また、別れの挨拶の「さようなら」も「左様なら」と表記するらしいのですが、「左(ひだり)の様(よう)に」とは、一体何の左なのでしょう?
 縦書きの文章を書けば、最後に「左様なら」とすると、本文は「右」になるから合わないですし、何の「ひだり」なのでしょう?


A. うめねずさんから

 確かに漢字で「左様」と書かれることが多いですが、もっと精確に書くならば「然様」となります。「そのよう」の意味です。「左様」はいわば当て字です。したがって、「左様」の「左」には意味は全くありません。
「然」は「そうある」の意味であり、自然、泰然、突然、轟然、などとして使用されていますね。
 人と別れる時の「さようなら」は、話が終了して、「それでは」の意味です。同じように「しからばごめん」「さらば」なども漢字に直した「然らば御免」「然らば」を見てみると「さようなら」と同義であるのが分かりますね。

A. Issieさんから

 この場合の「左」というのは単なる当て字です。「何かの左」という意味ではありません。
「さやう(→さよう)」には「然様」という表記もあります。「左」も「然」も、現代語の指示詞「そう」の古い形である「さ」に対する当て字なのです。 古くは「さ」だけで現代語の「そう」という意味を表わしました。

 「さあらば→さらば」(そうであるなら→それでは)
 「さあれど→されど」(そうではあるけれど→だけど)

などなど。
 この「さ」に、「様(さま)」「様子」という意味の「様(やう)」がついて「さやう」という表現ができました。「その様に」という意味ですね。これがさらに、「その通り」とか「それでは」とか言う意味になったのです。

A. SZLさんから

 この「さ」は本来、現在の指示語の「そ」なのでは なかろうかと推察します。「左」は単に当て字ではないでしょうか。
「そういうこともあるだろう」というときに、「さもあらん」というように、指示語の「そ」は往々にして、古い言い回しだと「さ」に置き換わってしまうものです。正確には「さ」が時代が進むにつれ、次第に「そ」に変化してきたものでしょうが。
「さようなら」は、用事が済んで「そういうことならば」と席を立つ際の「さ様ならば(その様ならば)」が慣用句に転化したものだと、私はこれまで勝手に思い込んでおりました。
「さようなら」も、口語では「サイナラ」に化けつつあるようにも見えます。「言葉は生き物」って本当ですねえ。できれば今後数十年間の言葉の変化を、自分の目と耳で見極めたいものです。

Bambooさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。