Q. ふくろうさんからの疑問
小生、月1回、ソフトボールをしておりますが、練習後、2日目に筋肉痛に襲われます。特に、「ケツ筋(失礼)」とか「ハムストリングス」と言われる太ももの後ろからお尻につながる筋肉が痛くて、階段の上り下りのつらさ、逆に、笑いが出てしまうほど痛いんです……。
急激に運動した後の筋肉痛は、30歳を過ぎた頃からは、翌日ではなく、翌々日に現れるという不思議。知りたいですね。
できましたら「筋肉痛のメカニズム」も知りたいですね。
★これは、痛い疑問ですから、早めに解決したいですね。(星田)
A. どらエモンさんから
筋肉痛の発生メカニズムがまだ解明されたとは言えないのですが……。
強い運動で筋肉が大きな力を出すときに筋繊維が傷つくという説。筋肉の周りの筋肉ほど柔軟性のない組織が傷つき、その修復過程の炎症が痛むという説など、まだ諸説あります。
遅く痛みが出る話なので、筋繊維が傷つく痛みではなさそうですね。
他方で、強い運動をすると激しい筋肉痛が早い時期に出、弱い運動をすると、弱い筋肉痛が遅く出る傾向があるそうです。また、使う筋肉を頻繁に変えると筋肉痛が出やすいということです。
以上を総合すると、
・月一回という非常に低い頻度で、
・ソフトボールという、時に瞬発力は必要ですが、
時間平均すると低い運動量で、
という条件から、普段鍛えられていない組織が弱く刺激され、年齢の上昇に伴って回復力も弱くなってくるし、柔軟性が落ちるために相対的に損傷度合いが大きくなる、が複合し、より遅く炎症が出て、痛みも強く感じるのでは?
A. ベスタさんから
筋肉痛というのは、筋肉を使って筋肉がはります。つまり固まった状態になり、あまり血液が流れなくなります。そのあと、その張りがなくなった後に、以前よりも血液が流れるようになり、その流れが筋肉痛の原因なのです。
歳をとったら筋肉痛が翌々日にくるというのは、筋肉が硬くなってて、ほぐれるのに時間がかかるからでしょう。しなやかな筋肉を作れば昔の身体にもどれますよ。
A. OKIさんから
激しい運動をすると筋繊維が損傷をうけます。しかし、損傷をうけた筋繊維は、より強い筋肉として再生されます。そして、筋肉痛とは、筋繊維が損傷をうけたときの痛みではなく、より強いものとして再生されるときの痛みなのです。
若いうちは、細胞分裂も活発で筋の再生がはやく、年齢が増すごとに遅くなります。したがって、10代の頃は当日もしくは翌日におきた筋肉痛が、年齢と共に遅くなり、翌々日やそれ以降におこるようになるのです。
A. おぐりさんから
筋肉痛というものは筋繊維(筋肉のことですね)が激しい運動などで断裂すると起こるものです。筋繊維の断裂といっても肉離れというわけではなく、たくさんあるうちの一部が切れているもので、このときに炎症のような状態になります。
人間には自然の治癒力というものがありますので、当然切れた筋繊維を直そうとします。これにかかわってくるのが必要な栄養などを運ぶ血液などです。若ければ血流もよく、効率よく直していきますが、これは加齢とともに衰えてきます。これは自然の老化に伴うものでどうしようもないものです。
衰えた結果、血流がわるくなり、修復が遅れるので、筋肉痛が遅れてやってくるわけです。
余談ですが、筋肉痛は最初は冷やしてあとで暖めるとよいされています。これは、最初は冷やして炎症を抑え、その後暖めて血流をよくすることで治りをよくするためです。
A. くみぼんさんから
筋肉は、筋繊維が束になって筋膜で包まれている構造になっていて、痛覚は筋膜にはありますが筋繊維にはないそうです。だから、筋肉が傷ついた直後は痛くないけど、傷が修復されていくうちに発生した物質が筋膜に到達すると痛みを感じるそうです。
年をとると修復スピードが遅くなって、痛みを起こす物質ができるのも遅くなるので、筋肉痛を感じるのが2日後だったりするそうです。
筋肉痛が激しければ患部を冷やすと痛みが和らぐそうですが、回復を早めるにはマッサージや入浴などで温めるのが効果的だそうです。
★ドッペルゲンガーさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
A. ロビンさんから
どらエモンさんが述べられているように筋肉痛の説はいろいろあるようです。「激しい運動により切断された繊維を修復する時に痛みが生じる」というような説もありますが、その他の説の一つとしてお読みください。
たとえばソフトボールでバッターボックスに入るとき、バッターは臨戦態勢の緊張状態におかれるわけですが、このとき肉体的に様々な変化が起こります。
いくつか例をあげれば、
・瞳孔が開く
・呼吸が浅くなる
・心臓の鼓動が速くなり、血管が収縮し、血圧が上昇する
・胃腸の働きが抑制されて消化液の分泌が悪くなる
・ホルモンのアドレナリンが副腎髄質から分泌される
などなど。
運動に関しては特に最後のアドレナリンが重要な意味をもちます。体内にアドレナリンが分泌されると肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを分解してブドウ糖に変化し、血液中の糖(血糖量)を増加させます。また血液中のコレステロールや脂肪酸の量も増加させます。つまり手足の筋肉に送り込むべくエネルギー源が準備されるわけです。ブドウ糖・コレステロール・脂肪酸は全て効率よく消費されるエネルギーです。これらのため、人間はバットを素早く振ったり一塁めがけて全力ダッシュしたりと瞬発的に大きな運動が可能となります。
ここまでは良いのですが、その一方で血液は栄養分の濃度上昇のためにドロリとした状態に変化し、あわせて血管が収縮されているので血液は毛細血管の先へ流れにくくなっていくという現象が同時に発生します。つまり血液が目詰まり状態になるのです。
余談ですが、この血液の変化は人間が森で凶暴な動物と出会ったようなときに肉体が臨戦態勢になって全力を出せて、なおかつ万一の負傷時には出血をできるだけ抑えるという働きがあるとの説明を読んだことがあります。
そしてこの目詰まり状態が続けば、筋肉細胞では当然酸素不足が生じてしまいます。
もし酸素が潤沢に供給されれば、ブドウ糖は酸化分解されてピルビン酸という物質になり、細胞内のミトコンドリアという器官で最終的に二酸化炭素と水に分解されてエネルギーを放出します。どちらもすぐに血液に溶けるので老廃物の蓄積は殆どありません(筋肉疲労がすくない)。
ところが酸素が不足しだすとブドウ糖の分解産物のピルビン酸が周囲にある他のブドウ糖から水素を受け取って還元され、乳酸に変化してエネルギーを取り出すことになります。
しかもブドウ糖一分子が酸素と共に反応する場合は688キロカロリーのエネルギーを放出するのですが、酸素不足状態では47キロカロリー(約7%)未満しか得られません。必要な運動量が同じとすれば、消費されるブドウ糖の量は十数倍となり、その分だけ乳酸も沢山発生します。
この乳酸は細胞中のタンパク質と極めて結合しやすい性質を持っています。結合した乳酸は柔軟性に乏しく、細胞自体を硬く変形しにくいものにしてしまいます。これが筋肉の「こり」や「はり」となります。ちなみに肩こりもこの一つですね。
さて、細胞内部で乳酸が結合するとその分だけ個々の細胞が膨らみ、収縮している血管を周囲から更に締め付けるようになります。その結果、血流が滞った状態が継続してしまうので、運動を止めても筋肉細胞の中では酸欠状態が持続し、乳酸もドンドン増加を続けます。やがてある一定を超えて痛覚神経を圧迫するまでに乳酸が増加すると筋肉痛となって知覚されるようになります。
もちろんリラックスしていれば、そのうち乳酸は血液に溶けて無くなり痛みもとれるのですが、その時の体調や個人差はあるようです。若い人の場合は乳酸が極端に増えだすより早く血液に溶かして細胞から排出できるので筋肉痛を意識することが少ないようです。筋肉痛がひどい場合は単純にリラックスして待つよりも筋肉を揉み解して強制的にこの乳酸を血液中に押し流すのも回復への近道ですね。
ちなみに運動前(つまり酸欠になる前)に軽い準備運動をしてあらかじめ体中の乳酸をすこしでも流し去っておけば運動時・運動後の酸欠状態が低減されるので是非お勧めします。運動後、筋肉が硬くなってしまった後で体をストレッチ体操などで無理に引き伸ばそうとするのは筋肉を痛める恐れがあってお勧めしません。運動後のマッサージは揉み解す程度にとどめましょう。
なお、筋肉痛の部分は血流が滞り気味なのでそこを揉み解して細胞から乳酸を押し出しても、血液に溶けて流れ出すより早く周囲の細胞と再結合してしまいます。痛い部分を通る血管の上流側と下流側の境界を上手く探しあてて(とくに下流側)、その部分を重点的に揉み解せば、比較的早く乳酸が流れ去って楽になります。
|