Q. ばんびさんからの疑問
なぜ、線路は、沢山の石を敷き詰めてその上に木を置きレールを敷いているのですか? 石ではなくコンクリートではダメなのですか?
また、あの木は必要なのでしょうか? 電車で通勤していて疑問に感じました。(~_~;)
★よくある疑問なのかもしれませんが、それ以上の回答をお待ちしてます。(星田)
A. 西村さんから
線路の下にある物は、枕木とバラストといいます。枕木は、線路に垂直に渡っている物。バラストは砂利です。
まず、枕木です。ご存じの通り、鉄道車輌は重いです。しかし、レールの接地面積は非常に小さくそのまま地面に置くと地面にめり込んでしまいます。よって接地面積を増やすため、そして、線路の幅を一定に保つためにあります。
下に引いてあるバラストですが、やはり接地面積増加のためにあります。普通の道路でも土の上に石を引くと轍が付きにくくなりますよね。それと同じです。高規格の路線ほど、分厚くバラストが有ります。あとは、軌道の水はけをよくするためです。
すべてをコンクリートで作ったモノもあります。地下鉄や新幹線等の高規格路線では、バラストと枕木が一枚のコンクリート板に作り込まれた、「スラブ軌道」というものがあります。
保守の省力化や安定性(大量の列車が走っても線路がずれない)などよいところはいろいろありますが、欠点として、
・バラスト軌道に比べて騒音が大きい。
・イニシャルコストがバラスト軌道に比べて遥かに大きい。
・配線変更をする必要が生じた場合非常に大きなコストが掛かる
ということです。よって、スラブ軌道は地下鉄や、新幹線などでしか使われていません。
A. 高橋さんから
線路の下に敷いている砂利は、昔は川原で採れたものでした。今は、山で岩を砕いた砕石(砕石)を使っています。これは枕木が地面にめり込まないように基礎として敷いています。コンクリートの土間を作るよりも安上がりなので砕石を使用していると思います。
枕木は木製よりも耐久性を考慮して、最近はコンクリート製のものが多いと思います。新幹線のようにしっかりと線路を支える必要がある場合は他の路線よりも大きな枕木が作られています。
ちなみに、東京の山手線の枕木は、北海道の苫小牧にある工場でコンクリート製品を作り、船便で東京まで運んでいます。
A. ねこのみみさんから
砂利は、列車が通るたびに重みを受ける線路や枕木が、地面にめり込まないようにするクッションの役割や、水はけをよくして草が生えるのを防いだりしています。また、列車の騒音を吸収するのにも役立っています。
昔は川砂利を使っていましたが、つるつるで壊れにくく上手くいきませんでした。というのも、列車が通る際に砂利が壊れることでエネルギーが吸収されるからです。現在は、固いけれど壊れやすい安山岩や硬質砂岩を使っているようです。
ときどき、線路の砂利をドリルなどで混ぜているのを見かけますが、これは砂利が詰まってくるため、隙間を空けて効果を落とさないようにしているのです。もっとも、地下鉄の線路では補修が大変なため、砂利の代わりにコンクリートが打たれているところが多く見られます。しかし、クッションの役目は砂利には劣りますし、騒音もひどいようです。
なお、新しい新幹線の線路では、砂利を使わずに「スラブ軌道」というコンクリートの板を引いて、その上にゴムパッキングをおいてレールを乗せる方式が新たに採用されています。
この方式はメンテナンスフリー軌道と呼ばれており、砂利と枕木を用いた軌道に比べて保守作業が大幅に軽減されるだけでなく、砂利を使用するより軽いので、高架橋に用いた場合に橋の負担が少なくてすむという利点があります。
東海道新幹線を建設したときには、まだ枕木を砂利でつき固める方式が最高の線路だという常識が根強かったため、全線砂利道床で作られました。これは、200km/hで走る新幹線の軌道は超精密に保守が必要であり、そのためには保守し易い砂利道床が絶対であるという考えがあったためです。
しかし、いまや東海道新幹線でいちばんお金がかかって困っているのは、砂利道床の保守となっているそうです。このような経験から、スラブ軌道という新しい方式が山陽新幹線以降の新幹線に採用され、現在では高速鉄道の標準軌道として敷設が進められています。
とはいえ、普通の電車はまだまだ砂利と枕木を用いる形式が一般的です。普段何気なく乗っている電車ですが、多くの人たちによる日々の保守への取り組みが、安全で快適な走行を支えているのですね。
A. れいさんから
バラスト(砂利)は、排水性の確保と乗り心地をよくするために使われています。新しい高架やトンネル、地下部分は「スラブ軌道」というコンクリートを使ってますよ。
全線をコンクリートにできない理由は、路盤が土盛のため耐久性の問題があったり、建設コスト等の問題があるからです。
最近になって、土盛区間でも耐久性があがり、今までできなかったコンクリートに使えるようになりました。長野新幹線で初めて土盛区間にもスラブ軌道が採用されました。
また、枕木は、道床(砂利部分)への重量を分散させるために使われています。ローカル線以外ではコンクリート製の枕木が使われてますよ。
A. picorinさんから
最も大きな理由は荷重の分散です。
鉄の車輪で地面を走ろうとすると、重すぎてめり込んでしまいます。そこで、車両の重量を、次の順序で支えることにして、地面にまで重さを伝えるのです。
鉄のタイヤがレールに接する面積、車両の下に位置するレールの面積、その下に位置する枕木の面積、その下に敷かれた砂利(バラス)の面積。
面積は順番に広くなっており、単位面積当たりで支える重量は順次小さくなっています。
最後に砂利ですが、コンクリート床でもかまいません。また、コンクリート製枕木も使われています(駅構内などにコンクリート床はありますが、値段はバラスの方が安上がり。枕木は良質の木が入手困難になるにつれ、コンクリート製が増加しています)。
このバラスはクッションの役も果たしています。しかし、コンクリートはクッション性がありませんので、枕木の下か上にクッション材が挿入されているはずです。
A. りーさんから
特に詳しいわけではないですが……。
まず、枕木です。鉄道が最初に造られたころ、レールをそのまま土の上に敷設すると、鉄道の重みでレールが沈んでしまうので、レールが地面と接する面積を大きくするためにつけたのだと思います。
普通の電車(モーターあり)で確か一両30トン以上の自重がありますから。 それから、砂利です。鉄道を運転するときにはどうしても震動が地面に伝わったり騒音を引き起こすため、それを軽減する目的で敷いているのだと思います。最近では高速走行性と保守費節減のために「スラブ軌道」というものも増えてきています。地下鉄や鉄道の高架部分などによく見られるコンクリートの上にコンクリートの枕木を置いてレールを敷設する方法です。これだと砂利をいちいちかえる必要もないですから便利です。しかし高速運転をしたとき、結構「ゴー」という音が響きそこそこの騒音になります。
A. DBさんから
砂利は、地面とレールの座りを良くし、振動や騒音をやわらげるクッションの役目を果たしています(道床、バラストと呼ばれます)。ですから、河原の砂利のような丸いものではなく、砕いた、角のある「砕石」が使われます。地方のローカル線なんかだと、砂利がかなり細かく、丸くなってしまっていたりしますけど。
しばらくすると、電車の走行により、レールが沈んだり、高さや幅が微妙に狂ってきます。そうすると、保線係掛のおじさんが、タイタンパーという機械で、ダッダッってやって、間に隙間をつくって、クッションを再生させ、さらに上からドンドンドンとつき固めて安定させます。マルチプルタイタンパーという黄色い作業車もあります。ダッダッとドンドンドン、その他もろもろを自動的にやる機械です。これは、ものすごい音がするのですが、営業時間後、夜中にやることが多いようです。近所の人に、猟銃もって追っかけられた、って話を保線のおじさんから聞いたことがあります。
「あの木」ですが、コンクリート製のまくら木の方が多くないですか? コンクリ製なのに「PCまくら木」って呼ばれてますけど。木よりも耐久年数が長く、重くて安定がいいのですが、価格が高いのと、レール締結が複雑なのが難点なんだそうです。
木でもコンクリでも、まくら木がなかったら、電車が載ったら、線路は左右に開いてしまうでしょうね。
ところで、地下鉄は砂利じゃないですけど、あれはどうなってるんですかね。コンクリート道床というそうですけど。地上部分はやっぱり砂利になっているところを見ると、価格が高いのか性能が落ちるのかなのだと思いますけど。
A. うにうにさんから
線路を敷く場所の地面を「路盤 ろばん」といいます。通常の線路は、路盤の上に石や砂利などを一定の厚さに敷き(「道床 どうしょう」という)、その上に枕木(まくらぎ)を一定の間隔に並べ、さらにその上にレールを置いて、レールを犬釘(いぬくぎ)などで枕木に固定する、という構造をしています。 まず、枕木のほうから説明しましょう。
枕木は何のためにあるのか。それを考えるには、逆に「枕木がなかったら」と考えてみましょう。
地面の上にレールを2本、ただ置いただけで、その上を列車が走ったとすると、レールは列車の振動で左右に揺れ、レールの間隔が広がってしまいます。しかし、車輪の幅は一定ですから、こうなると脱線です。最悪の場合はレールが横倒しになってしまうかもしれません。
そこで、レールの下に何本も(25mあたり40本前後)枕木を敷き、犬釘などをうちこんでレールと固定することで、レールの間隔を一定に保つ役割を果たしています。同時に、レール上を通過する車両の重さや振動を、レールの真下だけではなく、道床の全体で受け止めるようにします。つまり重さや振動を分散する役割も持っています。
枕木の材料は昔から木が使われてきていましたが、最近はコンクリートが増えています。また、コンクリート化によって不要になった古い木の枕木は、しばしば線路沿いの柵の材料として再利用されています。外国では鉄などの金属製の枕木もあります。
次に道床の役割ですが、これは枕木がずれ動かないように保持するとともに、枕木(およびその上のレールや車両)からの圧力を路盤全体に広げる役目があります。
道床を敷かずにレールをいきなり地面の上に置くと、枕木があっても、振動によってまわりの地面が削れて、レールや枕木の部分だけまわりの地面よりも沈んでいったり、レールがすこし浮きあがったようになったりして、不安定になります。また、道床があるおかげで、雨水がたまったり、雑草がはえたりするのを防ぎ、騒音もある程度吸収します。
材料としては、岩石を数cm程度に砕いた、砕石(さいせき。英語でバラスト)がもっともよく使われており、場合によっては砂利を使うこともあります。
砕石は、雨風や列車の振動などに絶えずさらされているので、長い間そのままにしておくと、風化・摩滅したり、路盤に少しずつ埋まっていったりします。このため、ときどき石を補充したり、すき間が出来たところを突き固めたりといった保守作業が必要です。
しかし、コンクリートではダメというわけではありません。実際、地下鉄の道床はほとんどがコンクリート道床です。一般路線でもトンネル内は、もともとコンクリートでできていることと、場所が狭いのでバラストにすると保守作業がやりにくいという事情で、コンクリート道床が使われています。また、山陽・東北・上越新幹線では、道床と枕木を一体化させた「スラブ軌道」という構造を採用しました。
では、なぜ他の路線にコンクリート道床が広がらないかというと、
(1)
バラストに比べ、数倍のコストがかかる。
(2)
バラストに比べると、弾力性が低く、振動を吸収しにくいので、車両がレールのつなぎ目を通過するときにレールに傷をつけやすい。(最近は、犬釘にかわって板バネなどを用いた弾性締結装置が使われ、これはレールを固定するとともに振動も吸収してくれるのと、レールそのものもロングレールになってつなぎ目がぐんとすくなくなったので、この問題は解決されています。)
(3)
すでにバラストで作ってしまった路線をコンクリート化しようとすると、長期間にわたって運休しなくてはならない。
(4) 近隣騒音の原因になりやすい。
といった理由があげられます。
A. 大嶋さんから
皆様のご回答を読んでいるうちに、30年以上前の工学部の授業で、振動工学の教授がこんなことを言っていたのを思い出しました。
バラスト(砕石)を敷き詰めると、列車の車輪とレール面の不ぞろいな接触から発生する振動が吸収される。砕石そのものにクッション効果はないが、昔の列車は車内の手洗いの汚物・汚水を全てそのまま、走りながら線路にばら撒いていた。その汚物は砕石の間に浸透して行き、そこでバクテリアの作用により発酵したり、粘性のある副産物を作り出す。その物質が砕石に付着し、砕石同士の弾性や粘性を生じさせ、クッション効果を高めているのである。
保線工事に当たられる線路工夫の皆さんは、黄色い汚物やしぶきを頭から浴びて大変辛い思いをされていたようです。
最近は汚物の全量をタンクに貯蔵して、線路に垂れ流すようなことはしなくなったので、列車の振動がストレートに伝わってバラストを砕いてしまうので、バラストの寿命が短くなっているそうです。
ちゃんとネット検索すれば関連情報があるかも知れませんが、昔の人達の知恵を彷彿とさせる授業のエピソードでした。
★K-SIVAさん、石塚さん、如熊夢さん、さなさん、ぽぽろさん、だいさん、SHOWさん、ふむふむさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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