Q. kappamanさんからの疑問
人が罪を犯した場合に、「○年以下の懲役、もしくは○万円以下の罰金」とかってありますが、なぜ「以下」なんでしょうか?
私の感覚から言わせてもらえれば、「○年以上の懲役、もしくは○万円以上の罰金」の方がよさそうなんですが……。
「悪いことをしたら最低でもこれだけの刑ですよ」みたいな感じです。どなたか教えてください。
A. りゅうぞうさんから
「○年以上」の懲役って罪もいっぱいありますよ。
刑法の罪のはじめの方から見ると、82条の外患援助が2年以上の懲役(無期か死刑も)、よくある犯罪では108条の現住建造物等放火が5年以上の懲役(無期か死刑も)です。
A. 洞窟ピングーさんから
もし、最低が決まっていて事情を考慮して重くする場合、最低は0年0円(たとえば殺人でも正当防衛なら無罪)です。つまり罪による刑の基準が全く無いので、すべては裁判官任せとなり案件毎の差が大きくなる問題が生じます。
もし、裁判による差をできるだけ小さくしようとすると、事情の数だけ法律の条文が増えてしまいます。また、前例より重い罪を裁く場合にはより重い刑を与えなければならなくなり、終身刑や死刑が続発してしまうでしょう。
そのため、刑の基準を最高としておいて、そこから案件ごとの事情に応じて軽くすることで条文もすくなくし、かつ、裁判毎の差も小さくしているのでしょう。
A. タガさんから
答えは簡単です。別に法律を知らなくても分かります。
重大な犯罪と軽微な犯罪を例にしましょう。重大な犯罪なら死刑もありえます。軽微なら数万円の罰金とか不起訴もあるかもしれません。また、重大な犯罪でも、すごく刑が軽くなるかも知れません。
ということは、最低表示をしてしまったら、重大な犯罪も軽微な犯罪も、
「罰金1円以上、懲役1日以上」
などという変な言い方になってしまいます。
どれだけ罪が軽くなるかは、判決が下りるまで分からないので、「最低」という表記は絶対に無理でしょう。
A. 判決!!さんから
「○○以上の懲役」は、あります。
懲役刑なら、きちんと最低ラインが決められています。それは「1ヶ月」です。ですから、正確には「最低1ヶ月以上、○○年以下の懲役」ということになります(ちなみに最高は15年)。
だからといって、同じ罪を再び犯しても同じ懲役刑で済むと考えてはいけません。再犯加重といって、その罪に課せられた刑罰の2倍以下の刑罰を課せられます(懲役刑執行終了後5年以内の場合)。
ただし、これは有期懲役の場合のみで、無期懲役刑のある犯罪などは該当しませんのであしからず。
A. deckmackさんから
これは法定刑のことを言っているのだと思いますが、たとえば、刑法199条の殺人罪は死刑または無期、もしくは3年以上の懲役刑となっています。
他にも○年以上○年以下の懲役などと規定している法定刑は数多くあります。ちなみに、傷害致死は2年以上15年以下の懲役、といった具合です。
A. どらエモンさんから
日本は(世界的にも多くの国が)、罪刑法定主義を採っています。
もし、「○○以上」にしてしまうと、裁判官の裁量でいくらでも刑を重くできてしまいますが、これは「法定」に反してしまいます。ですから、「△△以下」として罪に対する罰の範囲を法令で定め、その範囲での裁量を認めています。
△△の部分の内容に罪の重さが表されていますし、同じ罪でも、軽かったり、考慮すべき事情があったりしたときは、刑が減免できるようになっています。「執行猶予」もその例ですね。
何が何でも刑を執行しなければならないのではなく、更正の可能性までも幅広く考慮できるようになっているわけです。
A. 麻生有美さんから
私も、「〇〇以上」の方がよいとは思いますけど……。
しかし、これは、更生することを期待して、「〇〇以下」としているのです。「〇〇以上」になると、何をしても、「〇〇は必要」ということなので、更生しようという努力をしないからですね。
罰則は、罰するというよりも、再発をさせない、正しい道を示す方向で、なされるべきだという考え方ですね。つまり、罪を憎んで人を憎まず。人は生まれながらに悪ではないことを信じましょう。
というわけで、「〇〇以下」の罰則になっています。
★unknownさん、Tさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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