--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.301 (2003.09.30)

Q. 炎のAIさんからの疑問

 道路のいたるところにある「駐車禁止」の標識。おそらく、「駐車してもいいよ」なんてところはないと思います。
 それならどうして、「一般道は駐車禁止」にしてしまわないのでしょう?
 違法駐車の定義は教習所でも習っているはずですし、その方が標識を作るコストも削減できるのに、どなたか教えてください。

一般道でも駐車可の場所はあるかもしれません。でも、一晩中でもOKかといえば、疑問です。(星田)


A. ニャロメさんから

 道路(公道)は、基本的に通行の目的で利用されるものであり、そこを占有してはいけません。
 占有する場合は、警察に「道路占用許可証」をもらうことが基本です(道路交通法だったかな?)。
 道路に屋台を出したり、道路にはみ出してイベントをしたりする場合は、必ず道路占用許可がいります。したがって、駐車は停車と違い、運転者が車を離れることを意味するので、本来は道路の「占有」にあたります。基本的にはいけないことなのです。
 ただ、それではあちこちに駐車場を備えておかなければいけなくなり、かえって不経済になります。田舎など車の通行量がすくない所では、駐車を黙認しているだけなのです。
 もし田舎でそれを厳格に取り締まれば、違反キップ以上に収入は莫大なものとなりますが、それでは警察に誰も協力しなくなるでしょう。

A. うにうにさんから

 都会に住んでいると、
「『駐車してもいいよ』なんてところはない」
という認識になるのでしょうが、郊外・農村部に出ると、駐車禁止になっていない道路はたくさんあります。速度標識だけとか、それもないところとか。
 都市部の、いま駐車禁止になっているところも、昔からそうだったわけではありません。昔は自動車の台数も今よりずっとすくなく、路上駐車したところでたかが知れていますから、いちいち禁止する必要はなかったでしょう。
 ところが、その後、都市部の人口が急増し、道路や建物の密集地域が広がり、交通量も激しくなるにつれ、路上駐車が交通の妨げになってきて、駐車禁止区域が増えていったと考えられます。
 そうやって、すこしずつ駐車禁止の標識が追加されて、今に至っているわけです。つまり、「基本は駐車可、例外的に禁止している」のですが、その例外の部分が増えた結果、都市部では逆にそちらが基本のような状態になっているわけです。
 しかし、今からこれを逆にして「一般道は基本的に駐車禁止」としてしまうと、日本中の全ての(都市部も農村部も林道も含めて、公道はすべて)標識に手を加えなくてはなりません。
 つまり、現在駐車禁止が付けられていればそれは全部外し、逆にその標識がないところは全部立てる。都市部の路地も、郊外の一車線の道路も、砂利の林道も、至るところで総とっかえをすることになります。
 農村部では、車を止めていても一日中他に誰も通らないところや、仮に通っても全然じゃまにならない広い道路などがいくらでもありますが、そういったところにも「駐車可」の標識を立てないと駐車できなくなってしまいます。そう考えると、かえってコストがかかってしまうのではないでしょうか。
「一度総とっかえしてしまえば、その時だけはかかるけれど、後は簡単」
というのかもしれませんが、それならば現状維持のほうが総とっかえの部分が要らないだけまだコスト減だと思います。
 ただ、日本の道路の総延長や、それに占める駐車禁止区間の割合、また道路標識の本数と、そのうち駐車禁止の表示が付いている標識の割合、といった数値データを持ち合わせないので、この程度の推測しかできませんが。

 

A. うにうにさんから(その2)

「道路を占有する場合は、警察に『道路占用許可証』をもらうことが基本です」
との情報がありましたね。そうです。道路交通法第77条です。

「第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長……の許可……を受けなければならない。」

 ただし、これにあてはまる「各号に掲げる行為」というのは以下のとおりです(表現は簡潔にしました)。

  1.道路工事
  2.石碑、銅像、広告板、アーチなどの道路への設置
  3.露店、屋台など(道路上を移動しないもの)
  4.祭礼、ロケなど

 ここで大切なことは、「駐車はここであげている占有に含まれない」ということです。教習所でも習いますが、「駐車」の定義は次のようになっています。

「車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。」(道路交通法第2条第18項)

 したがって、「駐車したうえで、その車を使って何かを販売する」のなら第77条の占有許可の対象になりますが、単に駐車しているだけでは対象外です。
 駐車に関しては、別に第44条以降で詳しく定められています。
 たとえば、横断歩道の前後5m以内とか、消火栓の前後5m以内とか、坂の頂上付近とか、バス停の前後10m以内などは(いちいち標識を立てたりしませんが)、駐車禁止です。これも教習所でさんざん習います(よく試験に出ますし)。

「道路に屋台を出したり、道路にはみ出してイベントをしたりする場合は、必ず道路占用許可がいります」

 これも、その通りです。しかし、駐車はこれらの行為とは別ですので、「道路の占有」にはあたりません。
 したがって、田舎などの車の通行量がすくない場所でも「駐車禁止」で、それでも駐車が行われているのは、警察が黙認しているだけ――という理解は間違っています。
 駐車禁止となっていない場所で、「道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないように」(道路交通法第47条第2項)駐車することは、道路交通法上はっきりと認められている正当な行為であり、もしそれを(田舎であろうとどこであろうと)取り締まったとしたら、それは「厳格」な取り締まりではありません。その反対で、取り締まりそのものが、道路交通法の規定をはみ出した違法行為になります。