--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.307 (2003.10.23)

Q. キタキウィさんからの疑問

 私はよく山登りをするのですが、そのことで疑問があります。
 登山道には、どのあたりまで登ったかの目安に「〜合目」というのがあります。これは、登山口から頂上までを10に区切ってあると思われますが、果たして距離を区切っているのか? 高度を区切っているのか? それとも、もっと別の区切り方をしているのか?
 どなたか知っておられる方があれば、教えていただけませんか?

高度ではないと聞いたことがあります。私は、誰が区切ったのかが気になります。(星田)


A. ジョニーさんから

「○合目」とは、登山の難易度を頂上までで10段階にわけて、登山の目安にしたものです。しかし、他にもいろんな説があり定説はありません。
 たとえば、米粒を落としながら登ってが1合なくなったときにそこを1合目としたという説や、ランプの油がなくなったところを1合目としたという説があります。

A. ZACさんから

 ジョニーさんがお答えになっていることは聞いたことがあります。それで正しいのではないかと思います。ただ登山愛好家としては、次のように考えています。
「米粒」や「ランプの油」という説は、あまり根拠がない俗説であるか、後から説明用に作り出されたものなのではないかという気がします。
 合数によって登山道に目安を作っている山のほとんどが、登山口をスタート地点とし山頂を10合としているのですが、その全ての山について、山頂に到着したときにちょうど米粒10合分が落ちきったり、ランプの油が10合分なくなるなんてことはありえないことです。
 ある特定の山、たとえば、富士山だけをとっても、ちょうどそうなるなんてことは、まず偶然以外にはあり得ないと思います。登山の速度は人によって違うし、体調、天候、道の状態、荷物の重さ、パーティの人数でもかなり違います。
 最初に富士登山をした人がたまたま10合分の油を使い切って山頂に到着したとか、最初に富士山の登山道になんらかの目安(合数)を設けようとした人がたまたま10合分の米粒を使い切って山頂に到着したというのは、お話としてはおもしろいですが、事実ではないと思います。
 結局は、多くの場合、登山道から山頂まで、だいたい10等分したというのが真相でしょう。実際に多くの山を歩いても、合数が道標などに記されていても、距離、時間とも均等になっていると感じたことはありません。
 では、なぜ、そのようなものがあるのかと考えてみると、「登山者への配慮(サービス)」ということではないかと思われます。本来、登山はその山の地図を持ち、地形や現在地などを確認しながら行うべきものですが、「レジャー登山」に適した山には、子ども連れだったり、地図も持たなかったりで山に入ってくることが非常に多いのが実情です。
 飽きやすかったり、疲れやすかったりする子どもなどには、
「ここで5合目か、あと半分だな」
とか、
「9合目か、もうちょっとだ」
といった情報は、山頂まで登り続ける心理的な助けになります。また、地図を持たない人にも、山頂(目的地)まで、どのぐらいかと分かる情報として役に立つわけです。
 もちろん、「山頂まであと3キロ」とか「山頂まであと1時間」といった情報も道標に記されてますが、これは、上で書いたような要因による登山者の足の速度の違いのために、必ずしも有効な情報ではないのです。
「○合目」という情報は、これまで自分が歩いた時間を考慮すれば、山頂につく時間がだいたい分かるという利点がありますし、遅い時間に入山した登山者が山頂につけないと判断すれば下山することを促すこともでき、レジャー登山者の遭難止にも役立つと考えられます。
 それに加え「○合目」という道標を見ながら、それを1つずつクリアしていく方が、ゲーム性があって楽しくもあるのです。
 というわけで、レジャー登山者への配慮(サービス)という目的と遭難防止という利点があるので、昔から信仰登山の対象となった山(富士山、木曽御嶽山など)以外にも、地元の山岳会等の有志の方々が、「○合目」といった道標を登山道に整備していったのでしょう。
 この考え方は、江戸時代の「レジャー登山」である信仰登山についても当てはまると考えられます。
 それぞれの山の「講(こう)」の関係者が、信仰登山者(現在よりずっと装備が悪いので天候悪化等による遭難の可能性は高く、登山道も今ほど整備されず、ワラジで登ったので時間もかかった)のために配慮とサービス、遭難防止のために富士山や木曽御嶽山に合数を設けたのではないでしょうか。

A. 綾小路さんから

 実は、私も気になって、山梨県富士吉田市富士山課さんに伺ったことがあります。メールのやりとりが残っていましたので、ご紹介いたします。

(★星田注:掲載のご承諾をいただいています)

---- 綾小路さん→山梨県富士吉田市富士山課さん ----------------------
 かねてよりの夢だった親子で富士登山を、いよいよ今年の夏に決行しようと、計画しているおっさんの疑問です。
「どや、知ってるか?」と、子ども達に登りながら話してやろうと、富士山のウンチクをネットで掻き集めているんですが、
「誰が、5合目とか決めたんだろう?」
この疑問が解消されず、夜も眠れません。
 国語辞典によると
「登山路の概略を示す単位。頂上までを険阻の度を目安として一〇合に分ける」
とあります。しかし、実際の登山道等の距離なのか、当然標高差で変わってくる険しさつまりしんどさ度合いによって決まっているのか、単なる標高でないことは貴ページリンク先の山小屋のサイトにある表をまとめてみて解ったんですが……

  富士山頂 3776m
  九号五勺 3590m 差186m
  九合目 3460m 差130m
  八合目 3250m 差210m
  七合目 3010m 差240m
  新七合目 2780m 八との差470m
  六合目 2600m 七との差410m
  新六合目 2490m 新との差290m
  新五合目 2400m 90m
   (山小屋のサイトによっては標高と合目の表示が微妙に違います)

 標高は国土地理院とかが計測し、地図を発行しているのだと思うんですが、どうやって、この「○合目」は、決まったのでしょうか? 誰(どこの部署?)が決めたんでしょう?
 また、「新○合目」っていうのは、多分、登山道の整備か何かで変わったものと思われますが、いつからが「新」なのでしょう?
 この疑問を解消できるのは富士山課さんしかない! と思いメールさせていただきました。

---- 山梨県富士吉田市富士山課さん→綾小路さん ----------------------
 富士山の「○合目」という呼び方の由来についてですが結論から言いますとはっきりとはわかっておりません(謝)。
 昔から、登るときに照明に使った行灯の油の消費量で決めたとか、お米の消費具合で決めたとか……というような俗説はあるのですが、どれが正しく、またいつから呼び始めたのかはわからないようです。
 過去の文献を調べてみますと、江戸時代中期に賀茂季鷹という国学者が書いた『冨士日記』という書物に「○合目」という記述があるのが最初のようです。「富士吉田口登山道」にかぎって言いますと、「○合目」の区切り方は……、
「時代によって変化している」
だそうです。
 頂上(10合目)と馬返し(0合目?)は変わりません、また、5合目も昔から森林限界の地点とされていたそうなのでさほど変化はないのですが、その他の「○合目」については、登山道途中にある様々な目印(史跡や自然物)に合わせて決められているために、その間の距離や区切りのバランスがマチマチになってしまったのではないでしょうか?
 そうすると当然区間の長い「○合目」ができてしまうので、それを調節するために、「○合5勺」や「本○合目」「新○合目」という新しい区切りの地点を作ったと言われているようです。
 たとえば、吉田口登山道(山梨)と須走口(静岡)が合流する地点を「本八合目」としていますが、吉田口登山道をすこし下ると普通に「八合目」があります(笑)
 いつどのように「○合目」の地点が変化していったのかまでは残念ながらわかりませんでしたが、その時々の必要に応じてつくられていったことは間違いないようです、誰が決めたのかについてもはっきりしたことはわかりませんでした。
 また、他の登山道ではちがった解釈があるかも知れませんので念のため申し添えておきます。

---- 綾小路さん→山梨県富士吉田市富士山課さん ----------------------
 メールを送った後も、いろいろと検索語句を替えて検索してみたら、

富士宮市
のページの
豆知識19.2000年9月にも同様のお答えがありました。
 なるほど要は古くからの地名だと考えてよさそうですね。
 登るときに照明に使った行灯の油の消費量で決めたと、この俗説が結構すんなりと納得できるので、子ども達にはこの説を有力説のひとつとして教えてやろうと思います。
 ありがとうございました。

綾小路さん、すばらしい!
 最近、この探求心を失いつつあります。元気づけられました!(星田)

A. masaさんから

 合目について。
 昔の携行行灯(カンテラ?)で登山して、標準の明るさで歩いて灯油が一合無くなった場所が一合目と記憶しています。
 したがって、歩く人の速度とか山道の傾斜歩きやすさ等によって距離が変化しますが、それが目安になりますので「目」が付いてると聞いています。
 山の頂上が十合目とは少し矛盾を感じます。

そういう説も読んだことがあります。
 でも、たいてい、頂上が十合目で、七合目になったり、十六合目になったりってことは、聞いたことがありません。
 どこかの山で、そのような例があるのかな?


どらさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。

A.現在、調査中です。情報ください。 [メール]