Q. まゆさんからの疑問
バイトのときに、友達から質問されたのですが、そのときにはわかりませんでした。帰宅してから、インターネットで調べたり、他の友達に質問したりたのですが、いい答えが得られず、ここに投稿することにしました。
外国人の名前でファーストネーム、ミドルネーム、ファミリーネームの間を「・(ドット)」で区切るのと、「=(イコール)」で区切るのには何か違いがあるのですか? どうか誰か教えてください!
自分なりの予想としては、そういう名前の人は、出身地域が同じなのではないかと思うのです。どうなんでしょう??
あるいは、ただ単に表記の違いだけで、何も意味はないのとか……。実は、「・」でも「=」でも、そのときの気分で使い分けることが可能で、意味の差はなかったりして……。
★私の手持ちの「日本史用語集」「世界史用語集」には、
フランシスコ=ザビエル、レオナルド=ダ=ヴィンチ、オスマン=トルコ
とあります。「・」で区切る例が、ざっと見たかぎりでは、見つかりません。(星田)
A. Matthewさんから
ちょっと古い資料ですが、丸谷才一氏の著作『桜もさよならも日本語』(新潮社1986刊行)に、下記のような記述があります。これは、当時の小中学校の教科書を、著者が批評する下りなんですが、
外国人名の表記に当つて、世間の慣行どほりにナカグロ(・)を用ゐず、いまだに文部省内の書式にオベツカを使つて二本棒(=)を入れてゐるのには驚いた。
と書かれています。
ということは、「=」を使うのはお役所の書式で、「・」が一般的な書式ということになるのではないでしょうか?
A. タガさんから
これは、国語辞典か便覧の末尾で見た記憶があるので、文部省が決めたに違いないと思って、ちょっと調べたら、文部省教科書局調査課国語調査室「くぎり符号の使ひ方」では、「・」が標準になっていました。
「=」の方は、本多勝一氏がいつも著作の最初に載せている表記法の凡例で、列挙に使うナカテン(・)と分かち書きの混用を避けるため「=」を使うとしているようですが、他にも確かに見かけるので、もっと別の根拠がありそうです。
ちなみに私自身は「・」を使ってます。列挙の際は、「、」で区切ることにしています。
A. あるぶるさんから
ひとむかし前の小学校の国語の教科書には、欧米人の姓と名の間には「=」を入れると書いてあったはずです(いまはどうだか知りませんが)。
丸谷才一の『日本語のために』という本に書いてあったことですが、かつての文部省の書類は、欧米人の姓と名をカタカナで書く場合、それを「=」でつなぐという決まりがあったそうです。
それで、各教科書会社が文部省に好印象を与えるために、強制したわけでもないのに文部省のまねをして「=」を採用して、それが正式な書き方のように広まったのだそうです。でも、それはあくまで文部省の中だけの決まりなのだから、普通は「・」(なかぐろ)でいいのだということでした。
ただし、とくにフランス人に多いですが、姓にハイフン(−)が含まれることがあります。この場合、切れ目をあらわす「・」と区別するために、「=」を使うのが決まりです。
『星の王子さま』で有名なサン=テグジュペリは、フルネームは、
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ Antoine
de Saint-Exupery
といいます。この場合、「サン=テグジュペリ」がひとつづきの苗字なのですが、「・」だけで書くと違いがわからなくなってしまうわけです。
★J.Wさん、どらさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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