Q. ひさたむさんからの疑問
紀元前をあらわす表記「B.C.」は、「before Christ」の略であり、英語です。しかし、その対義語である「A.D.(anno Domini)」はラテン語です。これはなぜなんでしょうか?
2つのこの言葉は作られた時代が違うのでしょうか? だとすれば、どちらが先に使われた表記なのかも知りたいところです。なんとなく「B.C.」が先にできたからこそ、「A.D.」の定義付けが設けられたような気がしますが、正しく知りたいもので……。よろしくおねがいします。
A. ひいろさんから
「A.D.」は、キリストが生まれた年を紀元1年とする暦として、6世紀のローマ帝国で生まれ、一般化したのは15世紀だそうです。「B.C.」は17世紀に発案されて、一般化したのは18世紀になってからだそうです。「A.D.」がラテン語なのは、おそらく制定にローマ教会がかかわっているからではないでしょうか。ローマ教会の公用語がラテン語ですから。
ちなみに「A.D.」「B.C.」は英語圏のみで、フランス語では、
「Apres Jesus-Christ、Avant Jesus-Christ」
( Jの次のeは、eの上に「’」がついたような文字です)
と言うそうですね。
A. ナタさんから
「A.D.」と「B.C.」については、とりあえず講談社現代新書の『聖書
vs 世界史』(岡崎勝世著)に載っています(手元にある本で即座に引っ張り出せたのはこれだけですが)。
「A.D.(主の体現より)」については、6世紀後半のローマのキリスト教徒がキリスト紀元として創ったもの(現在のA.D.は「主の年に」の短縮らしいですけど)。当時のローマは当然ラテン語ですから、「A.D.」もラテン語ですよね。かなりの間、ヨーロッパの公用語はラテン語でしたから、ラテン語のまま通用してるのだと思います。
「B.C.(キリスト前)」の方は、17世紀に創り出されて、18世紀に広まったものらしいです。それ以降の世界の公用語といえば英語ですから、「B.C.」も英語ですね。
ドイツ語では、「v.Chr.」みたいですが、日本では英語の表現を使っているということですね。
現在の日本では全く気にされないし、世界的にみても宗教色は薄まってるとは思いますが、まかり間違えば宗教戦争物ですよね。
A. 素人Aさんから
西暦の表記法、「Anno
Domini」とは、英訳しますと「Year of the
Lord」、つまり「主(キリスト)の年代」と直訳できると思います。
日本古来の元号とは別に、古今東西を問わず年代の表記法は為政者の名前にちなんで「○○王(○○帝)何年」と、記されてきました。日本の場合でも、記紀には、たとえば「推古天皇3年」などど見えています。
中世から近世に至まで西欧諸文化に大きな影響をあたえたキリスト教、特に西方教会(現在のロマ.カトリック教会)はラテン語をその公用語としてきました。教会史を中心とした歴史文書の中では、キリスト生誕から数えて何年目、というような年代設定が行われました(このため、厳密に言えば、宗教の違う諸国、たとえばイスラム圏では年代や暦が、いわゆる西暦とは異なります)。
これは、それ以前の「○○王(○○帝)何年」という年代設定法の発想に基づき、キリストを過去から現在、そして未来永劫に君臨する王と定義した上での「キリスト○○年」という表記法を採用したために、そのイニシャルをとって「A.D.」として、一般に広まったものであると思います。
ちなみに今年、「西暦2004年」を意訳して表現しますと、「キリスト降誕後2004年」となります。なお、日本のキリスト教会では一般に「救主降誕(降世)2004年」と表現しています。
さて、それに対する「B.C.」、つまり「Before
Christ」ですが、これは近世になって、英語圏の考古学者、歴史学者が、キリスト以前の年代を一括して表現する為に使いはじめたものです。したがって、「A.D.」は「B.C.」よりはるか昔から使われていたといえましょう。
★ashi225さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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