Q. ボンバーさんからの疑問
都内の電車に乗っているときによく経験するのですが、駅に停車中にこんな
アナウンスが流れるときがあります。
「後続の電車が遅れているため、本車両は当駅でしばらく停車します」
後続の電車が遅れると、なぜその前を走行している電車が待たなくてはならないのでしょうか? 間が開いてしまうと、何か不都合があるのでしょうか?
A. しこうさんから
それは、きっと、後続の電車が遅れているのではなく、自分が乗っている電車が早く駅に着きすぎたため時間調整でそうなっているのでしょう。
まさかアナウンスで、
「本列車は早く駅に着きすぎてしまいましたので発車を見合わせます」
なんて言えないから後続の列車の責任にしてうまいこと帳尻を合わせています。
A. 里井夜瀬奈さんから
二つほど、よくあるケースがあります。
一つは、種別による追い抜きがある場合で、通過待ちの場合。
たとえば、大半の私鉄は地下鉄線を通って別の路線に連絡しますが、地下鉄を走る間だけはほぼ各駅停車みたいな状態です。ところが、元の私鉄路線に戻ると、本来の種別に戻りますよね。その列車が、またあとで前を行く列車を追い抜くダイヤである場合、後ろの電車が追い抜くまで待つ場合があります。
もう一つは、後続の列車と連結する場合。
具体例をあげると、京急では、快速特急(快特)を、とある駅にて8両から12両に増結します。が、後続車両が遅れた場合、先に来た車両は当然待ちぼうけを食らうことになります。
もしかすると、他のケースもあるかも知れません。
A. 隠れ鉄道ファンさんから
この疑問ですが、私もときどき思います。
多分列車の運行スケジュール上の問題ではないでしょうか?
たとえば、A列車とB列車が終着駅に向かって10分間隔で運行しているとします。A、B列車は終着駅にて、折り返し始発駅まで運転を行うとしたとき、B列車が遅れていると、終着駅から始発駅に向かう時間スケジュールに支障を来たすからではないでしょうか。
A. だいてんさんから
以前、地下鉄のいちばん後ろの車両に乗っていたとき、1つ前を走る電車にトラブルが発生して遅延しました。
そのとき、車掌室に入ってきた司令をずっと聞いていたのですが、確かに
「列車番号○○は××駅で1分、列車番号△△は□□駅で30秒待機」
というようなものが出されていました。
ここで注意すべきは、列車の待機時間が微妙に違うことです。
つまり、遅延した電車の前を走る電車が通常通り運行して先に行ってしまうと、その遅延した電車は各駅で大量の乗客を乗せなければならず、混み混みになってしまいます。そこで、列車間の間隔を調整することで、過度の混雑を避ける目的があるものと思われます。
A. いんべひろしさんから
確かによく聴きますね、このアナウンス。
この答えは元朝日新聞編集委員で今は交通評論家として活躍されている岡並木氏の書かれた「都市と交通」(岩波新書黄版155)にこのように書かれています。
「定間隔運行(定時運行とは限らない)は、運行回数、快適さ、低運賃のどれにも増して高く評価される。」
ということだそうです。
まあ、確かに1本逃しても、何分後に確実に来るとわかっていれば、よほど急いでいるのでもないかぎり、待とうという気にはなりますね。
もっとも、バス1本逃したからって、バス停に平然とタクシーを止めさせるような日本の利用者にこれは当てはまるかどうかは、疑問です。これって、確か道路交通法違反なような気はするんですけど……。
A. つかささんから
後続列車の遅れで、先行の列車が停止するのは、
(1)普通列車と急行、特急のように、追い越しが必要な場合
(2)単線区間の場合
(3)乗り継ぎの連絡列車の場合
等があります。
A. HAYATOKUNさんから
そもそも電車や路線バスは、前の車両が発車してからその次の車両が発車するまでに乗り場に来た人々を乗せていきます。そのために、次の車両との間隔を開けてしまうと、その分乗客が増えてしまうのです。
したがって、次の車両にが遅れないようにするためにも、前の車両が時間調整して、乗客が均等になるようにしているのです。
路線バスが頻繁に走っている区間では、前のバスが遅れていると、次のバスが前のバスに追いついてしまうことがよくあります。
A. ポポンさんから
これは上り下り線をまとめて一つの輪として考えればわかりやすいと思います(山手線など元々、輪の形ならその必要はないですが)。
とりあえず、輪として考えずに、遅れているのは上りの後続電車とします。
後続の電車が遅れる
→さらにその後続の電車も遅れさせざるを得ない
(遅れた前の電車と詰まってしまうため)
→そのまた後続の電車も遅れさせざるを得ない
→(以下繰り返し)
→上り始発駅でも電車を遅れさせざるを得ない
→上り始発駅は下り終着駅でもあるので、下り電車を遅らせざるを得ない
→その後続の下り電車を遅らせざるを得ない
→(以下繰り返し)
→下り始発駅でも電車を遅らせざるを得ない
→同じく下り始発駅は上り終着駅でもあるので、上り電車を遅らせざるを得ない
→下り始発駅でも電車を遅らせざるを得ない
→その後続の上り電車を遅らせざるを得ない
→(以下繰り返し)
→最終的に遅れた電車の直前の電車も遅らせざるを得ない
かなり長くなってしまいましたが、簡単に言えば「ダイヤが狂って電車が詰まってしまう」ということでしょうか。
冒頭のように輪として考えると非常に簡単です。後続の電車が遅れていると、その後続も遅らせざるを得ない。すると最終的には、遅れている電車の直前の電車も遅らせなければ、スムーズに電車は回らないのです。
A. しのさんから
後の電車が遅れてるので停止するわけですが、間隔が空くと乗る人が増えてしまうからです。
たとえば、以下の仮定条件で話します。
1分間に20人乗客が駅に来て半分の10人がその電車を待つ。本来は前の電車が出てから10分後に次の電車が来る。
さて、遅れてなかったらこの駅から電車に乗ろうとする人は、
10人×10分=100人
となります。
ところが、10分遅れになった場合、
10人×(10分+10分)=200人
通常の倍の人が乗ろうとします。これが、次の駅、その次の駅、と繰り返されます(正しく言うと降りる人も増えますが、それ以上に乗る人が増える)。
ということで、1つの電車に乗客を集中させないように、運転間隔を調整しているはずです。
A. 洞窟ピングーさんから
後続の電車は遅れたことにより、本来その電車に乗れない時間に駅に到着した人まで乗れるようになります。乗降客が増えるにしたがい、停車時間も増加します。その結果、さらなる遅れが生じてしまうという悪循環に陥ります。
そこで、遅れが生じた前の電車を意図的に遅らすことにより、電車の運行間隔を調整し、後続電車の乗降客数を本来と同様にすることで更なる遅れを防ぐのです。
バスを思い出すと良く実感できると思います。散々待たされた挙句、2〜3台続けてくるのは、最初のバスがどんどん遅れて後続に追いつかれるからです。
つまり、ラッシュ時の電車やバスは一定の間隔で走ることで、ダイヤを維持できるのです。
A. うにうにさんから
列車のダイヤの設計や、遅れが生じたときの変更の仕方には、さまざまな要因が絡んできますので、「後続列車が遅れているので時間調整のため停車」とアナウンスがあったとしても、それだけでは、その詳しい理由が何であるか、一つに決めることはできません。
たとえば、接続・通過待ち、単線区間でのすれ違い、車両の運用の都合などで、他の列車の遅れのあおりを食らって、遅れていない列車まで待たされるというケースもあります。
これらは、他の列車が来ないと物理的に自分の列車も動かせないという制約がありますので、時間調整をするのは言ってみれば当たり前です。
しかし、今回このような質問が出たのは、おそらく、
「そういう当たり前の理由があるのなら分かるが、そうでないときでも後続の列車が遅れているというだけの理由で時間調整することがあるが、それはなぜか」
ということでしょう。
おそらく、質問された方は、
「単線のすれ違いなどなら、相棒の列車が来ないうちに発車したら衝突してしまうから、来るまで待つのはわかるが、後続が遅れているというだけなら、自分が乗っている列車は、今すぐに発車しようと思えばできるじゃないか。なのに、なんで待たされるのか」
と感じたのだろうと思います。
それに対する回答は、すでに出ているとおり、
「後続列車が混雑しすぎてしまうと、遅れを取り戻すどころか、ますます遅れがひどくなってしまい、ダイヤの復旧が困難になる」
という点です。
しかし、
「自分が乗った列車が遅れてしまったのなら、到着が遅くなるのも仕方がないが、せっかく定時運行の列車に乗れたのに、時間調整と称して遅くなるのは、何となく釈然としない」
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
ですが、逆のケースもあり得るわけです。
自分が乗った列車が、たとえば車両故障を起こした当事者(当事車?)であるなどして、「遅れの先頭」の列車だった、つまり1本前の列車までは定刻通りに走っていたような場合です。
このとき、そのまま走り続けると、乗客の乗降に時間がかかりすぎるため、ずるずると遅れが拡大して、ますます遅れてしまうおそれがあります。 スピードを上げて遅れを取り戻せばよさそうに思えるかもしれませんが、今の列車ダイヤでは、車両の性能や、線路の勾配・カーブなどを考慮して、限界に近い時間設定をしていますので、これ以上所要時間を短くしようとしても、大して縮まりません。むりにスピードを上げたりしたら、かえって事故の元です。
しかし、もし自分の1本前の列車が、すこし発車を遅らせてくれたおかげで、ホームで待っている乗客の数が適正に抑えられ、たとえば本来なら1分30秒停車の駅で、全員が乗り降りするのに1分0秒ですんだとしたら、遅れが30秒取り戻せたことになります。
ただ、そういう場合でも、車掌がいちいち
「この前の電車は遅れていないのに時間待ちをしてくれたので、この電車は遅れを全体で5分取り戻すことができました。前の電車の乗客の寛大さにみんなで感謝しましょう」
などとアナウンスしたりはしないので、気がつかないだけです。
★しげ3さん、windomさん、工場長さん、dreamerさん、タガさん、杉野実さん、MMPAPAさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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