--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.339(2004.03.11)

Q. トモユキさんからの疑問

 投手が投げたボールの「球質が軽い」とか「重い」とか、プロ野球のTV中継などで、アナウンサーや解説者が言ってますが、これはどういうことでしょうか??  ボールの回転が関係するのでしょうか?
「球のキレが良い」とか「打者の手元で伸びる」も言いますが、これも疑問です。
 プロ野球フアンは私の身近に大勢いますが、きちんと知っている人は皆無でした。是非教えてください。よろしくお願いします。

同じスピードでも、重さに違いがあれば、重い方が打ち返すのには力が必要となりますね。しかし、野球のボールは、規格が統一されています。したがって、「重い球、軽い球」はありません。では、一体「球質が軽重」は、何が違うのでしょうか?(星田)


A. あきあきさんから

 私は趣味でソフトボールをしており、疑問の内容の野球とは微妙に違いますが、よく似た感じなので回答させてもらいます。
 まず、球の重い・軽いですが、野球、ソフトボールに関わらずボールにはそれぞれの規格があり、質量の違いはさほどないと思います。
 一般的には、回転のよくかかっている球の方がバットの芯でとらえたときに軽く感じ、回転のすくない球のときは重く感じます。
 しかし、人間が速い球を投げようとすると、手首のスナップを使う必要があるので、どうしても強い回転がかかってしまいます。そのため、速い球でもバットの芯でとらえると、軽く感じ遠くまで飛ばすことができます。
 また、球の切れ・伸びですが、いい投手が投げた球は手元で伸びることが多いです。前述したように、速い球を投げようとすると、強い回転がかかり、上投げの場合は浮き上がる方向の回転がかかります。そのため手元で伸びるのです。
 投手じゃなくても、思いっきり投げるとシュート回転がかかる人は多いです。また、そういう回転がしっかりとかかっている時、私は「よく切れている球だ」と思うので、たぶん解説者もそういう感じではないでしょうか。
 余談ですが、ソフトボールは下投げですが、手首を反しながら投げるので上向きの回転がかかり、手元で伸びます。また、ソフトボールにも上投げと同じようにカーブ・シュート・フォーク・ナックル・チェンジアップ、と野球と同じくらいの球種があり、それだけの球種を投げられる投手もいます。

A. Jesusさんから

 ボールは回転していると、空気抵抗が減ります。ボールの回転数は、バッターが打ち返したあともほぼ一緒なので、同じスピードのボールをバッターが打っても……、

 高回転数の球……空気抵抗が少ないため、よく飛ぶ
 低回転数の球……空気抵抗が多いため、あまり飛ばない

ということになります。
 スピードが一緒なのに、低回転数の球は飛ばない。そこで、「重たい」などの表現がされるのだと思います。逆に高回転数の球は、球速のわりによく飛ぶので、「軽い」と表現されるのだと思います。
 それと、もう一つ。投球位置の違いがあります。
 一般的に球が重たいといわれるピッチャーは、身長の高い選手が多いです。普通、バッターが、球のスピードを判断する基準は、ピッチャーがボールを投げてから、自分の手前にくるまでの時間で判断しています。つまり、水平方向の速度です。
 しかし、ピッチャーの投球ポイントは、キャッチャーミットよりも高い位置にあり、垂直方向のベクトルも含まれています。この垂直方向のベクトルが、ピッチャーの身長(正確には球がピッチャーの手を離れる位置)によって違ってきます。
 バッターにとっては、同じスピードに感じても、それは水平方向のベクトルで、垂直方向との合力である、ほんとうの運動エネルギーは、違っている場合があります。その差が、球が重たく感じるもう一つの理由なのかな。と思います。
 最後に、手前でのびる。という表現ですが、やはり高回転の球のことを表現していると思います。
 理由は二つ
 一つは、先にのべたとおり、高回転の球は、空気抵抗がすくないので、減速がすくないということ(球速が、バッター手前であまり落ちない)。もう一つは、高回転で、バックスピン(一般的なフォームでストレートを投げるとバックスピンがかかる)がかかることによって、ボールが上に浮かび上がる力がかかるので、球が重力に逆らい落下しにくいということを表現しているのだと思います。

A. れこあさんから

 プロ野球で使われる公式球には規格があって、当然ながら反発係数や重さは一定の範囲内にあります。それでも、メーカーによってよく飛ぶボールとそうでないボールの違いが問題になったりすることもあります。
 また、昔、よくボールをはじくといわれる「圧縮バット」が問題になり、禁止になった経緯があります。これだって物理的特性からいえば、普通の木のバットと大差ないはずなのですが、禁止になった直後のホームラン数が減ったということもありました。
 つまり、プロ野球選手というのは用具などのわずかな違いを決定的な違いにしてしまうという技能集団だと言うことをふまえておかないと、ピントはずれな理解に終わってしまうおそれがあります。
 私はもちろん素人なので「重い球」と「軽い球」の違いを体感したことはありませんが、多くの人はその違いをボールの回転数で説明しています。つまり、回転数の多い球は「手元で伸びる」がはじかれやすい「軽い球」であると。 実際に、その説を裏付けるような高速度カメラでの撮影という実験をした番組を見たことがありますが、正直言って私には違いがわかりませんでした。もっと言ってしまうと、野球中継でストレートとスライダーの球筋の違いなんて見分けられません。でも、バッターはそのわずかな違いを決定的な違いにするだけの技量があるので、球が軽くてたくさんホームランを打たれる投手とそうでない人とがでてくるのでしょう。

A. Picorinさんから

 球質が重いという要素の一つに、バットの当たるときの速度があります。一般に「球速」と言う言葉を使っていますが、初速と終速には大きな違いがあります。そして、特に断りがなければ「初速」のはずです。したがって、それだけでは終速はわかりません。
 もちろん、終速度を測ることも可能です。終速度は、ピッチャーの手を離れてから、空気抵抗で減速する程度は球のスピン方向と回転速度によって異なります。また、手を離れる高さと投げ出される角度によって重力の影響が異なり、減速に影響します。つまり、高い位置から放たれた球は角度が低くていいので減速しにくいのです。

A. Kazukichiさんから

 球質の「軽い」「重い」には、「ボールの回転数」が関わっています。ボールの回転数が多いほど打球が遠くへ飛ぶので軽く、すくないほど飛びにくいので重いと言われます。したがって、フォークボールは「重い」ボールなのです。
 では、回転がすくない方がいいかと言うとそうともかぎりません。回転が多いほどボールが「伸びる」わけです。ただ、伸びるとは言っても、実際に上に上がるわけではありません。基本的にはどんな剛速球でも、重力には勝てないので、ボールの軌道は一直線にはならず多少はおじぎします(アンダースローは除く)。
 ただ、回転数が高ければ、そのおじぎの角度が少ないので、打者からすると一般的なボールよりも「伸びるように見える」のです。お分かりでしょうか?

さぬきうどんさん、dreamerさん、kenさん、panaderoさん、Julianさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。