--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.360(2004.06.08)

Q. バカボンさんからの疑問

 毎年、毎年すごい数の本が出版されていますが、書店で売れ残った本はどうなるのでしょうか?
 回収先もすべて古紙に回してしまうのでしょうか? 環境問題という点から考えるとすごい量の紙……、いいのかなあ〜。


A. 餡道なつさんから

 雑誌などの場合は 新しいものが出ると出版社に返品するそうです。バックナンバーとして売られているのが たぶんそれだと思います。
 その他の本のことはよくわかりませんが、参考までに。

A. きくちゃんから

 以前テレビで見たことがあります。
 出版は「委託配本制」をとっていて、通常、書店は配本されてから105日間は自由に返すことができます。
 売れ残りの本は、「書店→取次→出版社」と、最終的に出版社に戻ります。在庫(商品)として残しておくと税金がかかるので多くは切断してしまうそうです。期末在庫が増えると当期売上原価が小さくなり、課税所得が増えてしまうということでしょうか?
 切断した後のことは覚えていませんが、古紙として再利用しかないでしょう。もったいない話です。

A. glucoseさんから

 この疑問を出した本人ですが、自分でも調べてみました。
 もともと、この疑問の発端は、電車内などで「○○万部突破!」などといった広告を見て、
「へえ〜、本ってそんなに売れるんだ」
と思ったことでした。同時に、
「書店の本ってすべて売れているのかな」
という素朴な疑問が湧いてきたのです。
 日本の書店では本の返品・再販制度(正しくは「再販売価格維持制度」)があって、売れ残った本は出版社へ返送されるそうです。大体、書店で並んだ本のうち初版は約6割しか売れないそうです。残りのは4割は、出版社や取次店などが引き取って別の書店に再販するそうです。
 初版は、一般書で5000部、専門書で3000部というのが一般的なところで、再販されたものを含めて大体数年で流通し終えるようです。また、完売すれば、再度1500部とか3000部発行するみたいです。数年たっても残った書籍は最終的に処分されるみたいです。この紙資源の破棄がまたものすごいらしいです。
 再販制度ですが、諸外国ではあまりないようで、ちょっと業界的に問題をかかえているようです。
 雑誌もそうみたいですが、印刷部数の発表はあっても、実売部数とかは機密事項(タブー)みたいですね。マスコミ対策や見栄もあるらしくて、
 「○万部突破!」 → 売れている本 → みんなが読んでいる本
  → 読まないと話題についていけないetc.

A. ひいろさんから

 学生時代にマンガ専門書店でバイトをしていたので、その時得た情報です。
 まず本の流通を整理しましょう。
 本の流通は、一般的に出版社から直接書店に発送されるのは稀で、そのほとんどを取次店を経由して流通されます。そのため書店は本の注文を出版社ではなく、取次店に対して行います。
 取次店は、いわば本の卸業者で、本の流通基盤、管理・保管設備を備えています。日本では、トーハン、日販という大手取次2社がほぼ市場を2分しています。
 また、本の販売方式は、他の商品と違って、買取方式と委託方式の2つの方式があります。
 買取方式は、その名の通り書店が本の代金を最初に払って仕入れる方式です(本来はこっちが普通ですよね)。それに対して、委託方式は取次店が書店に本を置いてもらって、売れた本の分だけ書店から代金が支払われる方式です。日本では、ほとんどの本が委託方式で販売されています。
 なぜ委託方式が大半なのかというと、この方式だと本の販売に対するリスクを取次店、出版社が負い、書店がリスクを負う必要が無いというメリットがあります。そのため日本の書店のほとんどを占める家族経営の零細書店でも毎日膨大に発行される本をどんどん仕入れることができます。
 で、ここで質問にもある通り売れなかった本はどうなるかという問題が出てきます。普通ならどんどん仕入れれば、書店の中が本で溢れ返ってしまいますよね。
 この問題を解くキーワードが「委託」です。
 つまり本は書店に置かしてもらっているだけなので、売れ残れば書店は取次店に本をそのまま返品します。返品された本は基本的に取次店で保管・管理され、将来の書店からの新規の注文に備えられます。
 ただ、取次店で保管される本は、ほとんどがコミックス、文庫、ハードカバー等の書籍、写真集等のムックなどで、週刊誌などの雑誌はそのまま出版社まで返され、その後の処分方法は出版社任せです。バックナンバーとして保管されたり、古紙として再利用されたりします。
 ただし返品がきくのは当然「委託」の本だけで、「買取」の本は返品できません。したがって、古くなって誰も買わなくなった本でも返せないのでずっと本棚に並んでたりするわけです。
 ちなみに、予約時に前金や内金を取っている本があれば、その本は買取と思っていただいて間違いないと思います。キャンセルされれば書店の在庫になりますから、キャンセルを1冊でもすくなくさせるためです。

A. うめねずさんから

 私は大阪市内に在ります某大手書店に勤務していますが、毎日毎日返品作業をしていますよ。何せ商品管理課に配属されていますから。
 ついでに言いますと、「毎年毎年」ならぬまさに「毎日毎日」新刊が出ています。平日の一日ではすくなくとも20点は発刊されてます。平均すると100点はあるはずです。
 売れ残った本にかぎらず、店の側として売れそうにない商品に見当を付けた上で自動発注(一冊売れるごとに取次(本の問屋さん)へ同書を一冊、自動的に発注するシステムを使用)の処理を押し留めたりします。
 売れ残って無駄な在庫となりそうな場合は、取次を通して各出版社に返品します。うちのような大きさの書店であれば、その量はとても大きいですよ。
 残念ながら、出版社に戻った商品のその後は完全には知りませんが、通常なら出版社自身の在庫として蔵しています。そして、書店や個人のお客さんからの注文があれば出庫します。
 全く売れずに在庫を長期に亙って多量に抱えて困ってしまう場合には、泣く泣く、何らかの方法で処分しているのではないでしょうか。

しこうさん、Aterm WD600さん、杉野実さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。