Q. kenjiさんからの疑問
たとえばです。
造幣局で臨時に数億円のお金を印刷し、ある地域に、あるいはある人々に配る――こういうことは本当にできないのでしょうか?
むずかしい言葉でいうと、貨幣流通量とその国の経済、その関係がいまだによく分かりません。
造幣局で紙幣を多めに印刷して、右から左に、国民に10万円ずつ配ってしまう。そういうことをすると、どんな困ったことが起こるのでしょうか?
ちょっとぐらい多めに紙幣を印刷しても経済に与える影響なんてないのでは……と思えます。
そのへんのこと、優しく分かりやすく教えてくれる方、お願いします。
A. tsutikunitsukamiさんから
前にテレビ番組で見た説明ですが……。
国民全員に10万円を与えると、個人的には確かに裕福になります。けれどもこれを日本全体で見ると、実に12億円ものお金が増えたことになります。すると、お金の価値が下がります。これは、数がすくなければ価値が出て、多いものは価値が下がってしまうという考え方です。お金の価値が下がれば、売り手側はその分値段を上げることによって以前と同じ価値の利益を得ようとします。つまり、物価が上昇します。
これに困るのは外国です。
これまで1000円であったものが1500円になった場合、仮に「1ドル=100円」とすると、それまで10ドルで買えた物が15ドルもすることになります。結果、外国は値段の上昇した日本の製品を輸入することを渋ったり、全くやめてしまったりするわけです。
となると、今度は日本が輸出の減少により利益を得られなくなる、という話だったと思います。
A. 杉野実さんから
そうすることで、景気が刺激される場合もあるでしょう。
それが限度を越えて「お金が物より多い」状態になったとしても、単に「お金の価値が変わる」だけでどうってことないと思いきや、実際に「全国民に平等に」お金を配るなんてほとんど不可能なのです。
現実に「お金を増やして」しまった国では、政府と取引がある業者など、一部の国民の収入だけが増えて、その他の国民は物価高に泣くことになったんですね。
なお、「実際にお金をふやしてしまった」例としては、徳川綱吉治下の日本、第一次世界大戦後のドイツ、戦後のブラジル、アルゼンチン、チリなどが有名です。
★全国民に配る場合ではなく、たとえば、被災地域だけに配る場合ならいかがでしょうか?(星田)
A. ともやさんから
物価と貨幣流通量の関係は……、何て私にもむずかしくてわかりません。
そうですねー、10万円臨時でもらえば新しいゴルフのクラブを買いたいです。定価でだって買っちゃうかもしれません。
ということはですよ、みんながみんな、定価で買っちゃえばお店は安売りセールをしなくても売れるんです。だから、結局はモノの値段が上がることになるでしょ。
それが限られた地域であってもそうだと思います。同じモノが1万円くらい安くたって2時間車をとばそうとは思いません。だってリッチになったんだから!
そして、このように地域によって価格差があるというような情報は、一般消費者よりも業者のほうがいち早く手に入れることが多いのです。そうなると、困ったことに、高価格の地域に商品が集中するわけですから、その他の地域の人には商品が行き渡らない可能性があります。
A. 音橋彼哉さんから
右から左に全国民に10万円ずつ配ることは可能です。ですが、それにより貨幣量は確実に増えます。お金が余るのですからこれはインフレを起こします。
インフレで困るのは、物価は簡単に上がっても、たとえば給料などは簡単には上昇しないことです。労働争議などを経るこのタイムラグだけでも、お金が足りないという困難があります。
これは10万円ではなく、たとえば一兆円ずつ配ったと考えれば、分かりやすいと思います。給料が据え置かれていれば、経済が立ち行かなくなるでしょう。
また、仮に1兆円ならば、貯金の価値も下がります。今までせっせと1000万円貯めていたとしても、いきなり全員にその十倍ものお金が配られれば意味がなくなります。つまり損をします。
これは借金も同じで、借金は貸したり借りたりした時に、利子率を決めています。予期しないインフレやデフレは、借金が無駄になります。
まぁ、10万円程度ではそこまでの混乱はないかもしれません。ただ、安易に貨幣を増刷すれば、誰かが損をし、誰かが得をすることだけは間違いないでしょう。そしてその誰かはおそらく真面目に働いている人です。
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