--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.389(2004.10.07)

Q. 光太郎さんからの疑問

 自動車から自転車まで(飛行機はわかりません)、新しいタイヤには数ミリの長さのヒゲがあります。おそらく製造工程で生じるものなのでしょうが、どうしてできるのでしょう?
 また、今の技術ならヒゲを剃って(?)販売することも可能なのに、そのままにしておくのはなにか意味があるのでしょうか?


A. しこうさんから

 あのひげみたいのは、タイヤを製造するときに素材を流し込んで、ムラなく行き渡っているかをチェックするための穴の部分に流れ込んだものです。
 製造後、その部分をきれいにとってもいいのでしょうけども、特に使用上支障もありませんし、コストも掛かるのでそのままにしているのでしょう。

A. 麻生有美さんから

 タイヤは、型に溶けたゴムを流し込んで作ります、
 そのときのゴムは高温になっているので、冷えて固まるときに型崩れ(これを「ひけ」と言います)が起こらないように、多めに材料(ゴム)を流し込むことによって解消しています。あのひげは、ひけ防止のためのものです。
 だいぶ前までは、きちんと削っていましたが、工賃縮小のために、削るのをやめています、ひげがあっても、問題がないためです。

A. tsutikunitsukamiさんから

 これは本で読んだことですが……。
 タイヤは型にゴムを流し込むことで作られるものです。このとき、ゴムと一緒に空気が型の中に入り込み、抜けないまま固まってしまいます。当然、できたタイヤの中には空泡が残ってしまいます。
 そこで、これを解消するために、型にはあらかじめいくつもの細長い穴を作っておきます。そうすることで空気がその穴に逃げ込み、空泡を含まないタイヤができます。タイヤのひげは、この穴に流れ込んだゴムが固まって出来たものです。
 このひげの処理をしないのは、おそらくコストがかかるからだと思います。ひげは走行には差し支えありませんし、使用しているうちに磨耗して消えてしまうからです。

A. Picorinoさんから

 タイヤに見られる髭と同様のものは、プラモにも見られます。他にも型に流し込んで作る「鋳造製品」にはその痕跡が見られます。
 型に融けた原料を流し込むには、原料の入口と、最初に入っていた空気が出るための出口が必要です。複雑な形状や細長い形状だと、その出口はたくさん必要になります。出口が適切に存在しないと空気が残り、「ス」が入ります。タイヤの髭は、出口の穴にまで溢れたゴムを放置してあるだけでしょう。いちいち切るのは面倒ですし、邪魔にはなりそうにありません。
 ちなみに、航空機タイヤにもこの髭があります。B747を見てきましたが、特にショルダー部分は密度が高く、約5cm間隔かつ2cm間隔の同心円状にびっしり残っていました。

A. 銀次さんから

 最近は、タイヤのヒゲを発生させないための努力もされているようですよ。そんな記事を読みました。
 兵庫県三木市の機械金属工業技術支援センターの研究チームは、空気を通す特殊金属の低コスト生産方法を開発したそうです。これは、タイヤのヒゲを発生させないための成型用の金型に利用できるそうです。

A. たまさんから

 新品タイヤのヒゲはもちろん製造過程で生じます。
 タイヤの形を作るために、円形の型枠に外側から原料ゴムを流し込むのですが(トコロテンを想像してください)、その際の流し込み口の後がヒゲとなります。
 完成後のヒゲを剃るのは技術的には簡単なんでしょうが、型枠からタイヤを剥がし易くするために塗ってあるワックスを落としたくないからなんですね。
 このワックスは型枠から剥し易くするためだけではなく、輸送・保管時の劣化を防ぐためにも役立つので、ワックスを落とさないためにヒゲを剃っていないということになります。
 ヒゲを剃ってから、新たにワックスを掛けるとコストが高くなりますので、コストダウン戦略ともいえますし、ヒゲが残っていることが新品タイヤの証とも言えます。
 ただ、通常走行するのにヒゲは問題ないのですが、ワックスが残ったままだと滑りやすいので(二輪は特に危険です)、新品タイヤに交換したときは慣らし運転をする様にした方がいいです。

A. はりさんから

 あのひげは「スピュー」といいます。まさしく製造工程でできるものです。タイヤは、柔らかい生ゴムを180度くらいになる圧力釜で加熱処理することで硬くなり、ついでにその際に金型で水はけ用の溝やサイドの刻印が刻まれます。
 金型には、溝をつくるための型とともに「スピュー」の元となる穴も空いていまして、これ自体は加熱処理中にゴム内の空気を抜くためのものです。ですのであのヒゲは、空気が抜けていく際に引きずられたゴムです。
 タイヤは何層かのゴムシートを重ねて作るので、スピューがないと層と層の間に空気が残ってしまいます。ゴム内に空気が残っているというのは空間があるということで空間があると、異常発熱の原因となりバーストなどの危険な状態を招きます。
 で、なぜきれいにヒゲをそらないのか、ですが、きれいにヒゲをそるのがむずかしいからです。走るときと同様にタイヤを回しながらヒゲソリするのですがタイヤをキズつけないように、かつヒゲをそりつくすように、という微妙な力加減でそろうとしても、タイヤは真円ではないのでそれが非常にむすかしいのです。
 前述の釜から出てきたアツアツのタイヤは、20〜30mmほどのスピューで一杯でまさにヒゲもじゃです。店頭でみかけるタイヤは、あれでも随分すっきりしたあとなんですよ。

あのヒゲに、名前があったのですね!

A. 的場部副部長的場さんから

 あのヒゲを剃ることは可能ですが、剃る工程を入れることによって価格が跳ね上がります。また、すぐに摩滅してしまう上、性能にまったく問題がないので、ある程度の長さのまま出荷します。
 ちなみに、モーターショーやショールームに展示する車やオートバイの場合は、展示する方(カーメーカーやショップ)で剃っています。

チーフンさん、はぜぼんさん、かず★さん、はったんさん、はこさん、青木 眞さん、noridarさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。