Q. コブタさんからの疑問
最近、ものすごく疑問に思ったことがあります。
トイレには、どうしてお化けや幽霊が出るんでしょうか?
小学校のころとか、学校の七不思議なんかには必ずトイレものがでてきたけど、冷静になってよく考えてみると、トイレなんて汚い場所で待ち伏せしているのもおかしい気がするんです。トイレじゃなくて、もっと違う場所を選んでもいいはずなのに……。
トイレ=怖い場所、お化けが出る場所
と公式ができてしまったのはどうしてなんでしょうか?
私は怖い話とか苦手なので、謎が解明されればすこしはトイレのイメージも変わるんじゃないかと……。よろしくお願いします。
A. えりっくさんから
出所はちょっと思い出せないのですが、
「便所(の穴)を通して、異世界と繋がっている」
「(半身が丸出しであるために)逃げ出したくても、すぐには逃げ出せない」
という旨の文献を見たことがあります。
A. ポポンさんから
あくまで私の予想です。
1.基本的に一人になる場所(直接関係ないですが、最近は男子トイレでも個室化だそうな……)
2.狭い場所
3.昔のトイレは母屋と別にあった
1と3は恐怖心を増長させる要素になります。そして、2は切迫感などを与える要素になります。
これらの要素と怪談、お化けというものがうまく結び付けやすいがために、古くから話が伝えられ(新しい話もそのイメージ上で伝えられ)、今に至るのではないでしょうか。
A. まいたけさんから
いくつか調べてみたんですけれど、由来や系統に関するものは見当たりませんでした。加牟波里入道という、大晦日にトイレに現れるという妖怪の話がありますが、そんな怖い妖怪としては伝えられていません(というか、トイレの神様ですし……)。
なので、勝手な解釈を。まず、幽霊や妖怪が現れそうな場所を考えて見ましょう。
1:暗くて静かなところ。
2:普段、人が集団でいないところ。
3:湿り気がある所。
次に、学校の中でこの条件を満たす場所を考えて見ましょう。すると、「人が集団でいないところ」という時点で、かなりかぎられてしまいます。
・音楽室や理科の実験室みたいな専門教室
・屋上
・更衣室
・トイレ
ぐらいではないでしょうか。
実際、これらの設備には大抵怪談話があると思います。これでなおかつ1と3の条件を満たす場所は、トイレかプールの更衣室ぐらいでしょう。特に学校のトイレってやつは、頻繁に利用する設備であるにも拘らず、ろくな照明もないですからね。加えて、そんなに衛生的に保たれているわけでもないため、幼心にも生理的嫌悪はあると思います。
さてそれに加えて、小学校に上がるまでに、ほとんどど全ての人が「夜中のトイレ」を経験すると思います。そもそも幼児期に夜中の真っ暗な廊下を一人で歩くのは恐怖ですが、それに加えて目的地がトイレであるため、
「おもらしして親に怒られるのもイヤだ!」
っていう逃げ場のない選択を否応なしに迫られる、二重の苦痛があります。
こういった経験を誰もがもっている以上、トイレと恐怖は結び付け易い関係にあると思われます。
と、いろいろ考えてみると、トイレって怪談に結び付けるにはかなりうってつけな材料なのではないでしょうか。
ひょっとすると、学校のトイレに対するある種の嫌悪感が、幽霊や妖怪みたいな形で語り継がれているのかもしれませんね。
A. 鰻田社会科雄さんから
最近のトイレは水洗が多く、綺麗で清潔です。
すこし昔には、トイレは汲み取り式が多かったです。汚く、臭く、不潔なため、母屋とは別に屋外にトイレ(つーか“便所”ですよね)の建物があることが多かったものです。その方が掃除するときもしやすいですしね。
小学校でも、昔々の木造校舎の頃の“便所”は、みんな校舎の外にあったものです。 すると、昼はともかく夜に“便所”に行くのは、暗いですし、「家の外」なんですから、とっても怖いわけです。
また、現実に悪い人間がいて悪さをしようと考えた場合、“便所”は
・母屋とは別にあり、通常鍵もないので忍び込みやすい
・暗く、隠れやすい
・通常、相手は一人で来る
などのため、本当に危険な場所でもあります。
さらに加えて、汲み取り式の場合、個室の方ですと床に暗く深い穴がぽっかりとあいています。まるで奈落の底のよう、死の世界に通じる穴のようです。この下は魔界なんでは? 今にも恐ろしい化け物が、この中から這い出してくるんじゃないだろうか? そんな不気味な幻想がわいてきます。 そんな暗い穴に向かって、わざわざ裸のお尻という、人体でもっとも弱い部分をさらすのです。怖くないわけがないでしょう。
また、本当に子どもが足を滑らせ、便槽に落ちて死ぬことだって、ないわけではありませんでしたしね。そういう危険な場所でもあったのです。
このように、子どもにとってトイレというのは、怖い、今にも化け物が出てきそうな恐怖の場所だったのですよ。
今では清潔で綺麗な場所になったとはいえ、そういう固定概念はなかなか消えないのですよ。
A. アンギラスさんから
便所は、昔は薄暗くて、基本的に一人でいる場所ですね。
動物としての人間は明るいときに集団で生活するもの、だから「暗い」「一人」の状態が基本的に「恐怖」という潜在的心理状態を作り上げ、それの象徴的なものとして「お化け・幽霊」がいるものとしたのでしょうね。怖いと思うと、手拭いが風に揺れているだけでも人魂等に見えてしまいます。
余談ですが、よく日本画などで幽霊を描くとき、後ろに柳を描きますが、あれは陰陽思想で「陰」の幽霊に対して「陽」の柳を添えて釣り合いを取っているんだそうです。だから、柳を不吉な木とするのは、柳に対する不当評価ですね(笑)。
A. 眠多さんから
便所は、雪隠、厠とも言われ、厠は川屋からきています。古代においては、川に簡単な小屋をつくって便所としていたようです。川は禊ぎを行い、穢れを払うところでもあり、払った穢れは根の国へと帰っていきます。
黄泉の国から帰ったイザナギも川で禊ぎをしましたネ。つまり、川は異界への入り口なのです。
また、便所には民間信仰においては「厠神」仏教おいては「烏枢瑟摩明王」が居るとされています。
この厠神は竈神や井戸神と夫婦だという伝承もあり、いわゆる境界を守る神の仲間とされています。
ここでは、便所は家と外界の境界と考えられます。つまり、便所の戸の向こうは異界であり、異界にはこの世ならざるものがいるわけです。
なお、便所では、「入っていますか」と聞かずにノックしますネ。異界との交信ですから、これにはノックで答えなければなりません。異界で声を発しますと、その世界に捉えられてしまい元の世界に戻れなくなると考えられていたからです。
先のイザナギやオルフェウス。『千と千尋の神隠し』の食事などは、このモチーフが根底にあるのでしょう。
A. ひろさんから
幽霊が出るという所はトンネルや井戸、トイレなどがあります。これはいずれも人工的に作られた穴ですね。このような穴は冥界、すなわち死者の国につながっているそうです。
一方天然にできた洞穴や鍾乳洞は異界に通じているそうです。異界とは、確か、おむすびころりんやアリスの国のようなものだったと記憶しています。
かつてはこの世と冥界は自由に行き来できたのが、日本神話でイザナギがイザナミに会いに行った帰りに、途中の穴を岩でふさいでから、境界がはっきりしたそうです。トンネルや井戸、トイレなどの穴から冥界のものがたまに通り抜けてくるため、そのような場所が霊がよく現れる場所と言われるそうです。
★Yackyさん、愁さん、アイオーンさん、江戸川三連豚さん、ashi225さん、麻生有美さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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