--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.405(2004.12.16)

Q. ひいろさんからの疑問

 最近、地方と国が補助金とかでもめてますが、
「もうこんな国には頼らない。日本から独立してやる」
とか言い出す知事はいないのかなと考えることが多くなってます。東京都の石原都知事くらいなら言いそうだと思ってますが、
果たして今の日本の法律で都道府県の独立は可能なのか? という疑問がふと湧いてきました。
 たとえば東京都だと、現実的にも世界何位とかの経済規模があるので国家として十分成り立つとは思います。やろうとすればできるものなのかどうなのかが知りたいです。

独立して、経済的にやっていけるかという問題はさておき、今の日本の法律で、平和的に独立ができるものかどうか? また、独立してはいけないという法律があるのかどうか? 教えてくださいね。(星田)


A. Shinya Kさんから

 この疑問については、『東京独立共和国』という小説がちょうどよい解答になると思います。
『東京独立共和国』は、東京都が日本国から独立するという話です。小説内では、東京都は独立し、沖縄や大都市を有する府県がそれに続いて独立。日本は連邦制に移行するというストーリーです。
 警察官などの地方公務員は、都から共和国に所属が変わったり、都民が税金を納める場所が共和国になり、日本国に納めていた消費税などを納める必要がなくなったり……。いろいろと面白い記述が各所に見られます。
 ただし、小説内で独立を進める東京都知事は、日本国によって逮捕されそうになったりするので、現実には独立はむずかしいかと……。
 小説は、面白いので読んでみるとよいでしょう。

A. Picorinoさんから

 私見ですが、可能であるとも言えるし、不可能であるとも言えるでしょう。
 まず、不可能から考えましょう。
 日本は法治国家であり、法には独立するプロセスなどに関する条文がありません。だから、合法的に独立することは不可能です。
 次に、可能について。
 独立というのは、ある国家の支配を離れるということです。つまり、その国家の法の力を超えた力、つまり武力などによって可能となります。ある地域に、そこを支配していた国家の力が及ばない状態を作り出し、独立を宣言し、世界の国々に支持されるようになることで、独立が成就します。単に独立宣言を出しても、実効的な支配が確立できていなかったり、世界のどこからも独立を支持されなければ、独立したとは言えないでしょう。

A. ぶっとこさんから

 この質問は、井上ひさし氏の『吉里吉里人』のテーマの一つで、答えは、できる、だったと思います。
 むろん、日本の法律で、独立のプロセスが規定されているわけもありません。肝腎なのは国際法で、確か、独立を宣言した場合に、他国から承認を得られるかどうか、が鍵でした。
 逆に日本国は、電気、水道等を止めたり、内乱罪等の国内法を適用して阻止にかかる、とそんな展開でした。
 日本政府の妨害をいかに食い止め、逆に他国の承認を得るためにどんな秘策を練っていたかは、実物に当たっていただくのがいちばんです。

A. とんとんさんから

 日本国憲法には「第8章 地方自治」がありますが、「都道府県の独立」については触れられていません(当然か)。
 で、地方自治法もざっと見てみましたが、都道府県の独立禁止条項、または独立する場合の手続き条項など独立に関するものはありません(これまた当然か)。
 憲法に戻って見てみると、94条の地方公共団体の権能では、
「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し……」
とあるので、独立の発議をする権利はあると思われます。
 手順としては、

  知事・県議会が独立発議→
  市町村議会での承認決議→
  県民投票→
  国へ申請→
  独立許可(非許可)

でしょうか。
 というわけで、都道府県の独立は法律的に不可能ではないと思います(憲法、地方自治法以外で国家と都道府県の関係を明確に表している条文があって、独立できないと解釈ができるものもあるかもしれませんが……)。
 ただ、以下の理由で現実的ではないですね。
1.省庁の地方局など国の機関があったりする問題
2.都道府県にない司法など(行政・立法機能は有る)の早急な設置の問題
3.市町村単位で独立賛成、反対で独立後の国土が虫食いになる可能性がある
4.それ以前に国土、それに伴う様々な権益、利益を考えると日本政府がおいそれと認めるはずがない
 関連事項として、刑法77条の「内乱罪」を紹介します。
 内乱罪は、
「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし……」
と規定されています。
 一見、これでは都道府県の独立は「法律的に」不可能なのではないかとおもわれるかもしれません。しかし、条文中の「暴動」とは「少なくとも一地方の平穏を害するに足りる程度のもの」と解釈されていますので、平穏に、(規定はきっちりされていませんが)相応の手続きを踏んでいけば、「法律的に」は独立は可能だと思われます。

麻生有美さん、わんわんさん、江戸川三連豚さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。