--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.458(2005.07.28)

Q. とてもとてもさんからの疑問

 たとえば、500ml入った烏龍茶のペットボトルが店によって値段が違うということがよくありますよね。仕入れの関係とか、店の利潤を調節したりなど、いろいろあって値段が違うのだろうなと思います。
 ところが、本(書籍)は、だいたいどこの本屋でも、同じ本なら同じ値段になっています。ということは、
どこの本屋でも、その本が1冊売れたときの利潤は同じということなのでしょうか?
 それと、たとえば、1000円の本だったら、本屋に入る利潤ってどれくらいなのでしょうか?

食品と違って、賞味期限がありませんから、在庫管理は楽かもしれませんね。(星田)


A. 異邦人さんから

 書籍、雑誌、文庫本と各種ありますが、定価(再販維持価格)が設定されていて、中でも文庫本は買い切りになります。そのため売り切れなかった場合、文庫本は返品できませんので、利益率を大きく取っているところが多いのです。
 文庫本以外は返品できますので利益率は小さくなっています。

A. Tetsuさんから

 1985年頃 街の小さな本屋でバイトしていたときには粗利20%でした。
 返品制度があるから楽な商売に思われるかもしれませんが、返品率が高いと、人気の新刊やまんが雑誌の配本数を減らされてしまうので、結構大変でした。

A. Misterさんから

 書籍一冊販売あたりの利益は、どの書店でもほぼ同じと考えて差し支えありません。書籍の場合は基本は2割、1000円の本であれば約200円が書店の取り分となります。
 書籍は一般の商品と異なり、出版社が定めた価格を書店は値引販売することができなくなっています。通常、このような契約は独占禁止法の取り締まり対象となりますが、この法律では一部の「著作物」を過当な競争から守る目的で適用除外しています(再販売価格維持制度、通称、再販制)。ただし、このままでは書店は売れ残った本を値引き販売できないまま、ずっと在庫として抱えなくてはならなくなります。そこで書店は売れ残った商品を問屋に返品し、さらに問屋は出版社にそれを返品することができる仕組みになっています。
 そのため書店は返品期限を把握するため商品の在庫管理が必要になってきます。また極端にライフスパンが長い商品になると、発売期間中に消費税の税率改定などを迎えることもあり、書店、出版社に大きな負担となることもあります。
 余談になりますがブックオフなどに代表される中古買取型の販売店は、書店ではなく古物商として登記を行っているため再版制度の制約を免れることができ、自由な値付けができるようになっています。

A. ふぇんりるさんから

 以前、近所の書店で本を購入したときに、店の人が取り忘れたのでしょうが、ページの間に取次ぎからの納品書が挟まっていました。納品書には、20タイトルほどの書名、出版社名、納品数、定価、卸価格が記載されていました。
 翌日、その書店に納品書を届けたときに、懇意にしている店長さんにいろいろお話を伺ったのですが、文芸書・専門書は定価の約70%、文庫・新書・コミックが定価の75〜80%、雑誌は定価の約90%が卸価格だそうです。
 一般の書店の場合、雑誌の売上が多いので、平均すると本の売上価格の20%が書店の利益になります。
 それと、本の間には、在庫を管理したり書店が本を注文するときに使う、売上カードというものが挟まっていますよね。昔はあれを出版社に送ると、売れた部数に応じて一枚あたり数円の販売奨励金が出たようです。現在は、POSによる販売部数管理が普及しているために、そういった奨励金は出ていないみたいです。
 本の価格が全国一律で定価販売されているのは、書籍の再販売価格維持制度というのが、法律で認められているからです。食品や家電製品などは買取制といって、小売店が商品を買い取り、自由に値段をつけることができますが、販売地域によって流通コストや総売上数が異なることや、売れ残った在庫の返品ができないことから、地域によって商品の品揃えや、小売価格が大幅に異なるといった面があります。再販制度は書籍、CD,新聞などに適用されていますが、これは定価販売・返品を認めることで、流通コストや売上数の地域差に関係なく、どの地域の人でも平等に文化を享受ことができることを目的に制定されたものなので、法律の趣旨からも書店によって卸価格を変えるといったことはしてないのではないかと思われます。

A. 舞武さんから

 はい。本屋の利益はどこも同じです。
 一般に流通している品物の中で、本は全く値引きをしません。というより、値引き・値上げをしてはいけないのです。
 出版物は、独占禁止法の唯一例外となる商品で、メーカー(版元)が定めた価格一本で販売しなければなりません。これは、本と言うものが実に多彩なジャンルに色分けされることに起因します。
 本の中には、長期に渡って出版するロングセラー物や、一部の人々をターゲットとして短期に少数販売する物がありますね。版元は、それを見越して発行部数と価格を調整しています。
 そんな中、小売価格を本屋が勝手に決めてしまったらどうなるでしょう。答えは簡単。販売競争の挙句、本屋にはベストセラーばかりが並び、少数販売を狙った本は極端に高い値段で棚に並ぶか、ともすれば本屋に並ぶ前から淘汰されてしまいます。早い話、小説と漫画のみが横行し、それ以外の本は一般人にはお目にかかれない代物となってしまうでしょう。
 さて、これは、著作者と読者にとって、そして何より、本という存在意義の観点からして、メリットでしょうか?
 著作者の表現の自由と、読者の情報選択の自由を根底から支えているのが、この「再販適用除外」という政策です。
 本屋で「この本、読む人なんているのかな……?」と思ったことあると思います。そういった少数出版・少数販売の本でも出版できるのが、この政策の最大のメリットです。
 本屋は売れ残ったら版元に返品することが許されていますし、返品された版元は注文が来るまで在庫しておけば良いんです。価格は絶対不変ですから、長い目で見ればいずれ元は取れるのです。
 古本屋がよく問題になっているのは、これらを揺るがしかねないからなんですね。

wakaさん、こばやかわさん、麻生有美さん、ゆきむすめさん、skulinecoupeさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。