--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.464(2005.08.26)

Q. いかちゃんからの疑問

 昔、『八甲田山』という映画がヒットしたとき、どこかのおばあさんがその看板を見て、「やまだこうはち」と読んだ――という笑い話があります。
 そういえば、昔、日本語を横書きにしたときは、右から書いたり読んだりしていたのですね。
 今では、横書きの日本語は左から読むのがほとんどですが、
左から読むようになったのはいつ頃からで、左から読むようになったきっかけは何だったのでしょうか? やはり、外国の文化がたくさん入ってきた明治の頃ですか?

車体に広告用に書かれた文字が、たまに右から読む場合があります。
  あれって、「え!」と思いますね。(星田)


A. ポポンさんから

 これから書くことは、全て予想です、すみません。
 きっかけは「明治維新か第二次世界大戦」ではないでしょうか。かつての日本語の横書きが右から左だったのは、縦書きの場合右から左だったから、つまり「縦1文字の縦書きを続けたら、右から左に読む結果になった」みたいなことだと思います。
 そこに明治維新に脱亜入欧、列強に肩を並べるという時代になって、西洋式に拒否反応を示す度合いが弱くなったから、西洋式「左から右」と和式「右から左」の両方式が横書きとして混在するのは非合理的だから、という2つの理由で明治時代に変わり始めたのではないでしょうか。
 もしくは第二次世界大戦で敗戦し、GHQ統制下で文書記述上において不便がはっきり出てきたから、徹底的に横書きは西洋式に改められたとか。
 戦時中の新聞なんかは「右から左の横書き」が多かったように思いますが、敗戦以後のものはあまり見ない印象があります。

A. とんとんさんから

「昔は横書きを右から読んでいた」というのは誤りです。日本語にはそもそも「横書き」は存在せず、すべて縦書きでした。
 一見横書きのように見えるものはいろいろありますが、それらはすべて「一行の字数が一文字の縦書き」です。当然、一番右の行(の一文字)をまず読み、続いてその左の行(の一文字)を読む、という順番になります。それを、現代の感じ方で、右から書いた横書きのように思ってしまっているわけです。
 横書きが使われるようになったのは、当然明治以降の西洋文明を取り入れる時代でしょう。アルファベット表記や算用数字を扱うには縦書きは不便なので、日本語でも横書き(これは当然左から読むもの)が使われるようになったのだと思います。

A. ナタさんから

 結論から言うと、江戸時代末期の蘭学関係の書物から、すでに左から読むものがあったようです。印刷物としては江戸末期の浮世絵の中にある右横書きが早いようですが、どちらも横書きが始まった頃から使われていたようです。
 ただ、日本語がそれまで縦書きで右から左へ読んでいく書字体系だったため、ヨーロッパの左横書きを習わない人は、右から左へ読む方が取っつきやすかったようです。
 アルファベットやアラビア数字と一緒に使う場合など、横書きのみの文章は左から読む横書きがずっと使われてきました。
 ふつうの縦書きの場合に見出し部分をどちらから書くかでは、初めは右から読む横書きのみでしたが、左から読む横書きも出てきて混在していました。今でも、車の横に書かれている文字は、左から読むものと、先頭から読むために右から読むものが混在しているのはその名残だと思います。
「昔は横書きの日本語は右から左へ読んでいた」というのは、戦前の政治家が一行一字の縦書きを間違って横書きだと思いこんでしまったことが遠因です。反英米を唱えていた時代に、西欧文明が横書きで左から読むので、それに対して右から読むのが日本の古来の方法だということで、横書きも右から読むという偏った考え方が広まったためです。
 このあたりの詳しいことは、岩波新書の屋名池誠著の『横書き登場−日本語表記の近代−』という本を読んでもらえればよくわかると思います。

A. 八百万の神さんから

 日本語の横書きに付いて、チヨット気になって、
 結論から言えば公に使うようになったのは、大東亜戦争敗戦以降である。時の大新聞が左横を使い始め、追って文部省が認定というのが正しいと……。アタシャ当時生きていた人間でネ、戦後横から読むのに苦労したものだ。
 昔から横書きはあったが必要にせまられの類で、大正〜昭和初期に横文が……。横に書くのは看板字と言い、アタシが書くと看板字を書くなと、親父に叱られた。なぜかって言うと、看板は商売の表札でして士農工商の4位にあり、階級制度の時代の名残、また、左は凶とされ嫌われた。
 また戦後当時・日本はGHQの統治下にあり、英文が公用文に使われた(?)のにも理由があると思う、
 当時の噂ですが、彼の有名なコーンパイプのマッカーサー元帥が縦の物をなんでも横にシヤがってと、「陰」で平民は皆怒った、
 横書きが日本全国津々浦々に広まったのはまだ最近(?)、半世紀くらいのようで有ります。
 まだ読んでいませんが、岩波新書新赤版「863」等が面白そうです。

ごんたさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。