Q. とんとんさんからの疑問
医師・看護師は「師」、弁護士・保育士は「士」。
「士」は本来男性を表し、かつては「看護婦」に対して男性の「看護士」と呼んでいたと思います。今は男女の区別をせず「看護師」となっていますが、「保母」「保父」などと呼ばれていた職業が男女の区別をしなくなったとき、「保育士」になったのは不思議です。
この「師」と「士」は、どのように使い分けられているのでしょう?
★パソコンの辞書では、「薬剤師」「保育士」と出てきました。この使い分け、私も是非知りたいですね。(星田)
A. epokheさんから
この問題は私も長年疑問でした。あえて分けるとすれば、「師」は社会状況がどうなってもとりあえず食べていけそうな「手に職」系の職業が多いと思います。
医師、看護師、美容師、庭師、調理師、教師、詐欺師(?)……
「士(さむらい)」は、国のお墨付きによって成り立ち、絶対その人がいないと成り立たないというわけでもない、そんな職業が多いような気がします。
弁護士、税理士、栄養士、臨床心理士、保育士……
以上はかなり強引な区分ではあるのですが、本当に一体何が境目なのでしょうか??
A. ともやさんから
思ったままを書きます。
教師、医師。「師」は先生ですから、その道を極めているのです。教えの道、医術道。剣道や柔道の先生も師です。集団のトップです。
一方、「士」は「サムライ」です。集団のメンバーあるいは一匹狼です。武士とかですね。道を究めようと日々戦っているのです。弁護士なんて法廷で切った張ったですよ。保育士も子どもと格闘です。
そう考えると看護は日々患者との格闘ですから「士」であるべきですが、「男の看護婦を看護士と呼んでいた」歴史がありますから、都合が悪いと感じたので「看護師」にしたのでしょう。
でもね、薬剤師はいまいちフィットしないんだな。
A. namieyさんから
「師」とは、自分で判断した正解を出す人(正解に幅が有る)。
「士」とは、ルールブックに則った判断を出す人(正解に幅が無い)。
A. セラピストさんから
私は病院で働いています。
他の職業的にはよくわかりませんが、病院内においては以下のようなところで「士」と「師」の区別を行います。
「師」は業務独占ができる職業で、「医師」「看護師」などがそれにあたります。業務独占とは、他の人がその業務に携わることができないものを指します。
一方「士」は名称独占ができる職業で、「理学療法士」「作業療法士」「栄養士」などが病院内にいます。これは他の人でも精通していれば、その職業を行うことができます。しかし、同じ業務を行えるけれども、保険点数がとれません。
このように、「業務独占」「名称独占」の違いというもの関係あるのではないでしょうか。
参考までに、「業務独占」「名称独占」の違いについて。
○業務独占
資格がなければその業務が行えない。資格がない状態でその業務を行うと刑罰の対象となります。医師、看護師、准看護師、薬剤師、診療放射線技師など、多くの医療資格が当てはまります。
○名称独占
資格がなくてもその業務が行えます。しかし、資格がなければその名称を名乗れません。理学療法士、作業療法士、調理師、介護福祉士、社会福祉士などが該当します。
医療や介護の世界で働くスタッフは、ほとんどが何らかの資格を持っています。これらの資格は、実は「業務独占」と「名称独占」というものに大きく分かれています。
たとえば、人の命に関わる医療の場合、医療行為というのは基本的に禁止行為となっており、専門的な教育、訓練を受けて、その禁止行為を行うことを許されたのが「免許」です。
車の運転もそうです。基本的には禁止行為であり、訓練を受けて免許を取得して、初めて運転行為が許されます。
このように、禁止行為が可能となる免許が必要な資格のことを「業務独占」といいます。
一方、「名称独占業務」は、資格がなくても業務が行えるため、当然ながら業務独占より給与面等で待遇が悪くなってしまいます。しかし、医療の施設基準や介護の人員基準などで、「名称独占」の資格者数が規定されている場合は待遇はよくなることがあります。
A. やすさんから
「士業」は代理業と聞いたことがあります。
弁護士は、被告もしくは原告の「代わりに」裁判を戦います。
税理士は、納税者の「代わりに」税金の計算をします。
公認会計士は、株主の「代わりに」経営者が作る決算書を監査します。
保育士は、両親の「代わりに」子供の面倒を見ます。
これに対して、「師」は一般的にその資格を持つ人しかやらないことをやります。
医師は病気かどうか、さらには何の病気かを判断しますが、これはその人の「代わりに」やっているわけではないですよね。医師にしか分かりません。
教師は、生徒に勉強を教えますが、親の「代わりに」教えているわけではなく、学校などで教師として教える事に固有の意味があります。
薬剤師は、薬を飲む人の「代わりに」薬を調合するのではないですね。薬剤師にしかできません。
調理師は微妙ですが、「料理をするのがめんどうだから今日は自宅に調理師を呼んで自分の代わりに作ってもらおう」とはなりません。
「士」の仕事は、能力があれば自分でやり、能力が無い場合に「士」に頼む。
「師」の仕事は、資格を持っている人にしか能力がないから「師」に頼むということだと思います。
★これはかなりスカッとした区別ですね。もっとスカッした区別ができるという方、お知らせください。(星田)
A. 西宮さんから
いつも楽しく拝見させていただいております。
さて、さまざまな答えがあるようですが、私の知っている範囲で回答をさせていただきます。
「師」とつく職業は 免許が必要なもの
「士」とつく職業は 資格が必要なもの
と考えられます。
実は私は、幼稚園教諭免許と保育士資格を持っているのですが、大学で、この二つの大きな違いは免許と資格だと言われたのを思い出しました。
そう考えてみると、医師・看護師・臨床検査技師・美容師・調理師・教師などは全て免許が必要です。しかし、弁護士・栄養士・介護福祉士などは、国家資格が必要です。
「師」と「士」の違いは、免許と資格という部分で分けられることができるというのではどうでしょうか?
★そういえば、私も幼稚園免許を持っています。使ったことないけど……。(星田)
A. Sweetさんから
これまでの回答の中で、
「師」とつく職業は 免許が必要なもの
「士」とつく職業は 資格が必要なもの
とありましたが、そうではない例があります。
歯科技工士は、医師等と同じ大臣免許の必要な職業です。
★う〜ん。なかなかうまくいきませんね。でも、よく考えてみれば、「免許」なんて制度が生まれる前から「師」は、存在してましたからね……。(星田)
A. ポテトさんから
弁護士、税理士などの「士業」と呼ばれる業種について、オンライン百科事典のウィキペディアでは以下のように説明しています:
主に、法務関連の資格で、弁護士、行政書士など、「〜士」とつくものが「士業」と呼ばれている。また、これは法律に基づいている国家資格である。
「士業」は、各々に専門分野があり、それを独占業務として他の干渉を受けずに職務を行うことができる。ただし、一部競合して行なえるものがある。
法務関係においては「師=業務独占」「士=名称独占」という区分は成り立たないようですね。
ここからは自分の予想ですが、基本的に士と付くものには2種類あると思います。
(1)法務分野における専門的な国家資格で、独占的に業務ができるもの
→弁護士、行政書士など。
(2)業界の慣習で使われている技術専門職 →運転士、機関士など。
(3)1と2の中間的な存在 →保育士、理学療法士
「士」に対して「師」は、どうも手先を使う専門職の傾向がある気がします。医師、美容師、調理師、みんな手先が器用なイメージがあります。そこで「師」に関しては以下の分類方法はどうでしょうか。
(1)手先が器用な専門職 →医師、調理師、あんま師、手品師……。(詐欺師は口先が器用?)
(2)「師」本来の、学問・技芸を教授する人という意味のもの →教師
「師」の区分の(1)と(2)について、もしかしたら手先の技術の必要な専門職は師弟関係を作りやすい、というような関係があるのかもしれません。
A. ざ〜さんから
全く根拠のない思いつきです。
「師」のつく職業は、明治維新以前の古くからあった専門職を指します。医師、薬剤師(薬師)、陶工(土師)、美容師(髪結師)、漁師、猟師などです。
この時代の「士」は武士(もののふ)だけです。
一方、維新後に生まれた専門職は「士」です(弁護士、飛行士、士官など)。むしろ「士」の方が敬意をもった特別な職業を指しているのではないでしょうか。
ただし、日本語の音感としては、「師」、「士」、「司」(行司、菓子司など)はほぼ同じ語源で、「〜をする人」という程度の意味ではないかと思います。看護師は、平成年代に制定された多分に政治的な名称と考えます。
A. おやじうどんさんから
これは、それぞれの漢字の持つ意味から使い分けられています。
「士」は「物事を処理する才能のあるもの」。才能をもって官に使えるのが本来の意味。そのため、武士、力士(江戸時代では藩のお抱え)、騎士などに使われます。職業(資格、免許などが必要なもの)における「士」も同様で、行政書士、弁護士、税理士、公認会計士、不動産鑑定士などが「士」になります。
「師」は人を集めた大集団であり、そのことから「人の集団を導く者」「教え導くもの」になったとされています。このことから、教師、能楽師、牧師などに使われます。職業による「師」では、医師、美容師、薬剤師、理容師などがこれに当たります。
「保育士」も集団を導くと考えられますが、その対象が子どもに限定されていることもあり、「士」になったと思われます。
なお、もう一つ「司」がありますが、こちらは「役所」という意味で、その役に対して責任を持つ者ということです。そのために行司、国司など使用例は多くありません。職業としては児童福祉司、保護司などです。
※参考…言葉に関する問答集(文化庁編集)
A. MEさんから
師と士の違いは、
師→業務独占
士→名称独占
という意見がありましたが、やはり、例外があります。
臨床工学技士という職業は、業務独占です。医療技術職でも、必ずしもその
違いは成立しないのではないかと思います。
★なかなかスカッとは、いかないのですね。
A. こみゃんさんから
士に必要なのは技術、師には知識なのじゃないでしょうか。
運転士・機関士みんな技術でしょう。弁護士は言い負かす技術。医師には病気の知識。教師も教科の知識。
でも、栄養士は例外で本当は栄養師みたいだし、看護師はもともとは看護婦と看護士だったのを医師のまねして名称変更したもの。
士がつく人には頼るしかなく、師がつく人にはなかなか反論しにくいというか性格がむずかしい方が多い。やはり、看護師は異例というか本来の師からはずれそう。
衆議院議員は代議士だけど、やっぱり言い負かす技術なんじゃんないでしょうか。
★Kanbaさん、鬱兵さん、モラさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
A.現在、調査中です。情報ください。 [メール]
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