--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.508 (2006.03.14)

Q. さっぱりさんからの疑問

 あれは、「凍結防止剤」っていうんでしょうか? 道路脇に置いてあるヤツです。特に、橋の付け根あたりに2袋程度ずつ置いてあるのをよく見かけます。
 それで、質問です。
 あれは、いつ、誰が置いているのですか? 置いている場面を見たことがあ
りません。
 さらに、
あれは、いつ、誰が使うのですか? 撒いている人を見たことがあ
りません。私が勝手に撒いてもよいのでしょうか?
 最後に、
あれは、どのような仕組みで、凍結を防止するのでしょうか?
 疑問ばかり並べましたが、以前から大変知りたかったのです。よろしくおねがいします。

はいはい。そういえば、ありますね、凍結防止剤。袋の口が開けられたままの状態で放置されているものがありますから、誰かがその一部を使用したのでしょうね。誰だろう?(星田)


A. YOSHYさんから

 凍結防止剤は基本的には道路管理者〜国道では国土交通省(おそらくその地方事務所)が置いているはずです。
 いつ置いているか私も見たことはないけど、交通量の少ない深夜ではないでしょうか。
 その原理は凍結開始温度を下げ、「氷」を「水」にするのです。薬剤は塩化ナトリウムと塩化カリウムがほとんどで、水より塩水の方が凍りにくいという原理です。その原理の行き着く先が、車の不凍液です。
 基本的に路面が凍結したら撒いていいのではないかな。

A. ぼのぼのさんから

 北海道に在住しています。道路脇の凍結防止剤についてですが、北海道では見たことがありません。
 その代わりというわけではないですが、滑り止め効果のある「焼き砂」が置いてあります。主に勾配のきつい坂に置いてあります。
 これは誰でも自由に使えて、設置者は道路管理者です。道道(県道)であれば北海道、国道は開発局(国土交通省)という感じです。
 物はその名のとおり、砂を炒ったものです。実際に補充している所を見たことはありませんが、定期的に道路の安全パトロールをしていますので、そのときに補充しているのではないかと想像されます。
 北海道では凍結防止剤(石灰)は道路の除雪の際に散布していますが、最近は車や排水施設などが錆びやすくなるとの理由より、散布量が減っています。

A. 黒男さんから

 今年の正月に事故を起こしました。スリップです(自分には自覚がなく、カーブを曲がったら車があらぬ方向に向いて民家にドーンと……)。
 で、そのとき、警察官が、
「エンカリ(塩カリ=塩化カリウム?)撒いとけ!!」
と若手の警官に指示していました。県土木事務所に連絡をするとかしないとか言っていたので、坂などにあるものは県土木事務所の職員が管理しているのではないでしょうか。

A. 田村みきさんから

 凍結を防止する仕組みですが、液体に物質を溶かすと、凍結する温度が降下するんです(「凝固点降下」といいます)。水は0度で凍結しますが、凍結防止剤(塩化カルシウムという物質です)を入れることで0度でも凍らなくなります。
 余談ですが、凍結する温度が上昇すると共に、沸騰する温度も上昇します(「沸点上昇」といいます)。★雑木話★
第六十四段の中で、「インスタントラーメンの粉末スープの袋に「火を止めてから入れてください」と書かれているのはなぜ?」というのがありました。火にかけたままスープを入れると沸点が上昇(沸騰)します。吹きこぼれや火傷の危険を防止するためだと思います。

A. アンギラスさんから

 凍結防止剤の袋ですが、ある市道でその道路を管理している市の職員さんが置いているのを見たことがあります。昼間か夕方に、軽トラックを停めて置いてました。国道なら国土交通省の管理事務所の職員さんが配備していると思います。
 使用に関しては、多分個人で撒いても問題はないとは思いますが、それを使用する場合は、深夜だったり雪が降っているような状況だと思いますので、路肩に一般の方が立って作業するには危険が伴いそうですので、やめられたほうが良いかと思います。
 凍結を防止する仕組みは、凍結防止剤(主成分は塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなど)を撒くと、水の凝固点が下がり0℃くらいでは固体の状態を保てなくなるからです。たしか融点(=凝固点)降下という現象です。
 氷や雪を溶かした上、気温がある程度下がっても凝固点が下がっているので、液体の状態を維持して再凍結を防ぐので重宝がられているようです。
 しかし、降下させた凝固点より低い温度まで気温が下がれば、この方法も意味がないですね(汗)。

A. ヒロシさんから

 凍結防止剤ですが、今手元にあるものの主成分は「塩化カルシウム」です。地域によって違うかもしれませんが、市町村などの道路管理者とか、交通安全関係の団体などが配備していると思います。
「置いている場面を見たことがありません」ということですが、特に人目を避けて夜中に配ったりしているとは思えませんので、偶然出会わなかっただけかと思われます。
 誰が、いつ撒いているのかということですが、これも地域によって違うでしょう。基本的には道路管理団体の担当者が来て撒くのだと思います。しかし、すべてを回りきれないと思うので、ほとんどの場合、地元の関係団体の役員さんとか付近に住む住民の方に依頼して、必要なときに撒いてもらうことが多いと思います。
 あえて人目を避けて撒いているわけではないと思います。撒いてから溶けるけるまでにはある程度時間が掛かりますので、通行量が増える時間帯の前に撒いていることは考えられます。
 凍っているからと言っていろんな人が勝手に撒くと無駄になってしまうことが多いと思います。手元にある袋の注意書きには、「植物を死滅させる可能性があるので、道路に散布する際は撒きすぎに注意してください」と言ったことが書かれています。
 また、自分が今そこを通行する場合には、間に合いません。速攻の滑り止めには砂の方が効果的です。
 最後に、凍結防止の仕組みです。要するに、水に塩などを溶かすと0度より低い温度でも凍らなくなるという性質を利用していると思います。
 ちなみに、凍結防止剤は自動車などの金属部分をさびさせます。高速道路など、凍結防止剤が大量に撒かれている所を走行したときはできるだけ早く洗車した方がよいです(特に車体の下側を重点的に)。

A. Pすけさんから

 この冬(2005〜2006年)は格別に寒さが厳しく凍結防止剤の出番が特に多かったような気がします。近所はとても坂道が多いので、昼間中途半端に雪が溶けた後、夜に冷え込むと道路がさながらスケートリンクのようになり、車が坂道を上れなくなることが何度となくありました。
 そんなときは、凍結防止剤(融雪剤)の出番です。
 白い小さな粒ですが、ぱらぱらと撒くとみるみる雪や氷が溶けていくのを見ていると不思議な感じがしますね。
 この凍結防止剤とはどういう物質でどうして凍るのを妨げたり、雪や氷を溶かしたりできるのでしょうか?
 純粋な水は理論的には一気圧(地上の気圧)では0℃で凍ります。ところが、この水に他の物質が混ざると、凍結する温度が下がるのです。もし、1kgの水に18gのお砂糖を溶かすと凍結する温度は0.186℃下がります。溶かすお砂糖を18g増やす毎にさらに0.186℃ずつ凍結できる温度は比例して下がっていきます。昔のワンドア冷蔵庫の製氷室ではかき氷やアイスバーが溶けてしまうのはそういうことだったのですね。
 さて、お砂糖18gというのは0.1モルという単位で表される物質の量です。水1kgにつきどんな物質であっても0.1モル他の物質が溶けるごとに0.186℃ずつ凍る温度が下がっていきます。

        │純水│0.1モル水溶液│0.2モル水溶液│0.3モル水溶液
凍りはじめる温度│0℃│-0.186℃   │-0.372℃   │-0.558℃

 一般的に凍結防止剤として使われて来たのは、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどでした。
 0.1モルの塩化ナトリウムは5.85g、塩化カルシウムは11.1gです。ですから、塩化ナトリウムは水1kgにつき5.85g、塩化カルシウムは水1kgにつき、11.1g加えればお砂糖と同様0.186℃ずつ凍る温度が下がっていくはずです。
 が、実際には塩化ナトリウムは0.1モルにつきお砂糖の2倍、塩化カルシウムにいたってはお砂糖の3倍の凍結防止効果があるのです。それは、これらの物質が塩と呼ばれる、イオンが結びついてできた物質であるからなのです。
 塩化ナトリウム0.1モルが水に溶けると0.1モルの塩化物イオンと0.1モルのナトリウムイオンに分かれ、結果として水の中には0.2モルの物質が溶けているのと同じ意味になります。
 同様に、塩化カルシウム0.1モルが水に溶けると0.2モルの塩化物イオンと0.1モルのカルシウムイオンに分かれ、結果として水の中には0.3モルの物質が溶けているのと同じ意味になります。
 ですから、より効率良く凍りにくくすることができる塩化ナトリウムや塩化カルシウムが主に凍結防止剤として使われてきたということなのです。(さらにわかりやすくモルではなく重さで比較すると同じ重さのお砂糖の能力を1とすれば、塩化ナトリウムがおよそ4、塩化カルシウムがおよそ3ということになるでしょうか)
 しかし、塩化ナトリウムといえば、食塩。食塩水に釘を入れるとただの水に入れたときより早く錆びるということや潮風に植物が当たると枯れてしまうということ、憶えてませんか? これらを「塩害」といいます。
 塩化ナトリウムや塩化カルシウムは凍結防止剤として非常に優秀なのですが、同時にその性質故、強い塩害をもたらしてしまうのです。そこで、最近は塩害を起こしにくく、生物の力で分解されやすい酢酸カリウム系など有機系の凍結防止剤の利用も進んで来ているようです。凍結防止剤も日々進歩してるんですね。
 最後に、「凍結防止剤は誰が撒いているの?」というご質問への答ですが、私の住んでいる市(東北地方)では、ある程度の積雪がありそうなときにはあらかじめ市(または市から依託された業者)が専用車で凍結防止剤を撒きに来ます。家庭用の凍結防止剤も希望者には市から支給されます。また、市民センター(集会所)にも大量のストックがあるのを目撃しました。それで足りない場合は各家庭ごとに購入して撒いているのではないかと思われます。

七誌さんから、麻生有美さん、zensin78さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。