--- 素朴な疑問集 ---
トップページへ    [素朴な疑問集 TOP]


疑問No.521 (2006.05.16)

Q. はまさんからの疑問

 先日、地図をぼーっと見ていて驚きました。
「あれ? ザイールがない!」
 その地図はなんと9年も前に発行された地図でした。私は、全然、そのことを気づいていなかったのです。
 ザイールがあったところには、「コンゴ」という国がありました。しかも、そのコンゴのとなりも「コンゴ」という国です。
 たしか、昔、「コンゴ」が「ザイール」に国名を変えたと思うのですが、また、元に戻したのでしょうか?
 自分でも何を尋ねているのか、よく分かりません。ただ混乱しているだけかもしれません。
2つのコンゴの流れを説明していただけると、ありがたいです。

そうです! たしかに昔のように「コンゴ」が2つあります!(星田)


A. ぶっとこさんから

 もともとあの地域一帯をコンゴと呼んでいたみたいです。コンゴ王国というのがあったようですが、どちらが先かわかりません。
 植民地化の時代に、現在のコンゴ共和国はフランス領、コンゴ民主共和国(旧ザイール)はベルギー領となり、そのまま別の国として1960年に独立に至ったわけです。
 ザイールというのは、1970年頃に、当時独裁者だったモブツ大統領が国名を改名したもので、これもコンゴ川の別名だそうですが、1997年に政変があり、国名を元に戻したものです。

A. 異邦人さんから

 なぜコンゴは2つあるのかですが、やはりここは「コンゴの歴史」から入らないとイケないでしょうね(^^;
 コンゴは中部アフリカにあったコンゴ王国を源流にします。範囲は現在のコンゴ共和国、コンゴ民主共和国、北アンゴラに相当します。
 15世紀末頃よりヨーロッパとの間の通商が行われ、16世紀の中頃になり、ポルトガルによって征服され、19世紀の末にベルギーとポルトガルに分割統治されることになり、消滅しました。

(参考)アフリカの分割に関わるベルリン会議
 1884年11月15日〜1885年2月26日、ドイツ帝国の宰相ビスマルクがベルギーとポルトガルの利害調整を名目にベルリンにおいて開催した会議。

 分割当初は「コンゴ自由国」としてベルギー国王の私領地であったが、国王による圧制と搾取等が当時においても大きな問題となり、ベルギー政府の直轄地に編入されることになった。
  1960年に「コンゴ共和国(キンシャサ)」として独立。
  1967年に「コンゴ民主共和国」へ国名変更。
  1971年に「ザイール共和国」へ国名変更。
  1997年に「コンゴ民主共和国」へ国名を復する。首都はキンシャサ

 分割当初、ポルトガル領であったが1910年に仏領赤道アフリカの一部となる。
  1960年に「コンゴ共和国(ブラザビル)」として独立。
  1970年に「コンゴ人民共和国」へ国名変更。
  1997年に「コンゴ共和国」へ国名を復する。首都はブラザビル

 ポルトガル領コンゴが如何にしてフランス領赤道アフリカになったのかというのも面白い歴史の一齣(ヒトコマ)なのですが、それよりもベルギー国王領コンゴ自由国の状況は、ヨーロッパ各国の持つその他の植民地のどれよりも「異様」だと思います。植民地運営会社に国王が運営を委託していたという特殊な環境が原因といわれています。

A. ヒイロさんから

 現在、コンゴは、コンゴ共和国とコンゴ民主共和国があります。コンゴ民主共和国の方が旧ザイールと呼ばれていた国です。
 この2つの国はコンゴ川流域にまたがり、元々はコンゴ王国の元で栄えた1つの地域でしたが、ヨーロッパ列強による植民地時代に2つに分割されました。その理由は2つの宗主国によって植民地が分割されたからです。
 コンゴ共和国の宗主国がフランス、コンゴ民主共和国(ザイール)の宗主国がベルギーです。この2カ国の簡単な歴史ですが、以下のようになります。

<コンゴ共和国>
 1960年 フランスより独立
 途中、コンゴ人民共和国と国名が変わった時代がありますが、特に大きな動きはありません。そのまま現在に至ります。

<コンゴ民主共和国>
 1885年〜1908年 ベルギー国王の私有地(植民地ですらない)
 1908年〜1960年 ベルギー領
 1960年〜1967年 コンゴ共和国
 1967年〜1971年 コンゴ民主共和国
         ※モブツ政権がクーデターで政権奪取し独裁開始
 1971年〜1997年 ザイール共和国
 1997年〜    コンゴ民主共和国
         ※モブツ政権が内戦で倒れ、カビラ政権発足し国名を変更

 その後コンゴ民主共和国では、カビラ大統領が暗殺され長男が政権を継承しました。何度も停戦の調停が行われているが、依然内戦が続いており数十万とも言われる犠牲者、難民が発生している状況です。