--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.527 (2006.06.10)

Q. まさきさんからの疑問

 数多くある文学賞の中でも新人賞に関する疑問です。
 一般応募で集められた作家志望の原稿は、読むのにも大変時間が掛かると思いますが、どうやって選考されているのでしょうか?
 お忙しい選考委員の先生方は、駄作を読み終えたときに、
「私の貴重な時間をかえせー!」
とならないのでしょうか?
 さわりだけ読んで、その先もっと読みたいかどうかで絞っていると予想しますがどうでしょうか? もしそうならどんなにすごいクライマックスより序盤がすべて?

私の予想では、「下読み」をする人が別にいるのはないかと……。(星田)


A. ピチピチソーハッピーさんから

 回答ではないのですが、私も文学賞について素朴な疑問があるので、ずうずうしく便乗して送らせてもらいます。
 疑問はノーベル文学賞についてです。
 化学や物理学は、化学式や定理、数式など世界共通の表現で表されます。世界共通の表現だから、どの言語、文化で育った人でもその発見のすごさがわかります。論文も内容が正しく、素晴らしければ、どの様に書かれてあっても評価されると思います。
 しかし文学作品は、その国の文化、風俗、慣習、その言語の言い回しなどを理解して作品を深く読んだいえると思います。そして深く読んで初めて評価できるのではないかと思うのです。疑問に思い選考方法を調べて見ました。
 文学賞の選考は、
「各国のペン・クラブから候補が推薦され、これをスウェーデンアカデミーが
選考する」
とのことでした。本当にスウェーデンアカデミーでは深く読んで選定しているのかしら、と選定方法がわかった後も、もやもやした気持ちが残るのでした。

A. 雛優さんから

 作家さんが全部読んでいるかっていう話ですが、これは時間的にみてもまず無理です。ほとんどの場合は「下読み」という人が手分けして全ての作品を読みます。その人たちが選んだ作品が残り、賞によってはこの後二次、三次と続いていきます。そして最終候補までいって初めて作家さんの手に渡るわけです。険しい道のりですね。
 作家さんには読んでもらえない作品の方が多い訳ですが、必ず一人は絶対に全部読んでくれているはずです。
 これは新人賞にかぎらないかもしれませんが、大抵の賞、特に長編ものの賞はこのパターンだと思います。二次や三次は無い場合もあるかもしれません。また、短編ものの賞だとまた違うかもしれませんが、短編もので新人賞はあまりないでしょうから。

A. にゃこさんから

 下読み担当が「速読」で読んでいるようです。
『マンガでわかる小説入門』(ダイヤモンド社)の175ページにそのような記述があります。
 実際そうか、というところまで調べていませんが、そのような記述がある本があるということをお知らせいたします。

A. こじまさんから

 私の知り合いに売れっ子作家Kさんがいるので聞いてみました。答えは「いろいろ」だそうです。ちなみにこの人は作風がバイオレントなので、あまり審査員には選ばれないそうですが……。
 綿密に読んで、自分なりの資料を作ってくるような人もあれば、星田さんご指摘のように「下読み/要約」をアシスタントや編集者にさせる場合もあるそうです。
 特にセミプロや若い作家が「応募」してくる場合は、主催者側がかなり絞り込んでから、審査員に提出します。一人の審査員が代表して数編に絞り込み、審査会にかけることもあります。
 また、審査員といっても、作家、編集者、評論家、大学教授、著名人、タレント……、といろいろあります。人気作家の場合、応募作を綿密に読むという時間は物理的に無理な場合も多く、逆に編集者、教授などは「速読」が得意なのでかなり読み込んでくる人が多いとか……。
 Kさんは「いい作品は、ちょっと見ただけでピンと来る」と言います。そういう作品は念を入れて読み、そうでないものは途中でほっぽったりするようです(あるいは初めから読まない)。
 私も美術に関わる仕事をしているので、共通していてわかる部分があります。熟練したプロの、同業者に対する勘は不思議と外れないものです。余談ですがある高名な日本画家は公募展の審査をするとき、梱包したままの作品に触れただけでいい作品はわかると言ってました。いい作品は独特の空気を放っているそうです。
 Kさんも公募からデビューしました。受賞して人気作家になってから、当時の審査員に聞いたそうですが、Kさんは前年に次席で評価が高かったので、翌年は審査員全員が特に念入りに読み込んだそうです。
「じゃあ前年は何で読んでくださったんですか?」との問いには、「売れそうな原稿だった」からだそうです。やっぱりピンと来ていたんですね。