Q. ちからさんからの疑問
先日、家族と電車に乗っていましたら、子どもが尋ねてきました。電車の下の方から「ゴー」って聞こえるというのです。たしかに聞こえます。
「ゴー」というか、「グー」というか、うまく表せませんが、これはいったい何の音なのでしょうか?
私は、電車で通勤していますから、通勤の度にその音は聞いているはずなの
ですが、答えが分かりません。よろしくおねがいします。
Q. たー坊さんからの疑問
普段、私は阪急や大阪市営地下鉄を乗り継いで通勤しているのですが、どちらもいつも乗っていて気になることは、駅などに停車中、突然足下から「ゴロゴロゴロゴロ……」という音とともに結構大きな振動が伝わってくるということです(走行中の振動よりもはるかに大きく、不快です)。すべての車両でそうではなく、ある特定の車両でのみ発生しています。また、最近製造された車両ではこの振動&音が小さく抑え込まれているようですが、それでも同じタイミングで聞こえます。
不思議なことは、電車が加速しているときではなく、多くの場合「停車中のとき」に鳴り出し、電車が動き始めると逆に止まって静かになるということです。当然、通常のブレーキやモーター音ではないことは確かです。
私の推測では、電車が動き出すときにとりわけ多くの電力を必要とするため、停車中に自家発電をして加速時の電力供給に備えているのかなあと思っているのですが……。この音は一体何なのでしょうか?
★はいはい。そういえば、ゴロゴロが聞こえますね。何なのでしょう?
他の方からも同様の疑問を頂いていました。今回は、代表してお二人の疑問を掲載しています。(星田)
A. 通りすがりさんから
「ごろごろ」という音とは違うかもしれませんが、電車の停車時に動いているものと言えば、コンプレッサーではないでしょうか?
コンプレッサーは、昔のバイクの空冷エンジンと同じような形状でバイクのエンジンを馬鹿でかくしたイメージです。素材はアルミだったような気がします。三菱電機とかが製造元です。
電車のブレーキやドアは全て圧縮空気で動作します(バスやトラックのエアーブレーキと同じです)。コンプレッサーは、空気圧が一定以下になると動作し、空気を圧縮し、エアータンクに注入します。一定圧になるとガバナーという装置が働いて、コンプレッサーを停止します。ガバナーが働いたときに、プシューという音がしてコンプレッサーが停止します。電車のブレーキは空気が抜けるとブレーキがかかるようになっています。ですから、万が一エアーホースに亀裂が入って空気が漏れれば、ブレーキがかかるということになります。
これは昔(20年前)私が電車のブレーキを製造する会社に居たときの話ですから、今では変わっているのかもしれません。
ちなみに、電車のブレーキにはエアーブレーキと電気ブレーキがあります。電気ブレーキは、車輪の回転でモータを回して発電する仕組みで、車で言うとエンジンブレーキと同じ仕組みですかねえ。
A. SHOWさんから
多分、コンプレッサーの音を言っているのだと思います。いわゆる「空気圧縮機」のことです。
用途は、自動ドアの開閉や、ブレーキのシリンダーに使う場合が多いです。つまり、ブレーキをかけるときや、ドアを開閉するときに、コンプレッサー内の圧縮空気が送り出されて、それらのシリンダーを動かします。当然、コンプレッサーの空気圧が減ります。すると、また新たに圧縮空気を作るために自動的に圧縮機が動き出し、あのゴロゴロ(僕はコンコンコン…と聞こえますが)という音が鳴るわけです。一定圧力になれば止まります。
だから、ブレーキをかけた後やドアを開閉した後の電車の停止時に音が聞こえる場合が多いのです(もちろん、走行中でも空気圧が減ると動きます)。
最近の電車(新幹線など)はコンプレッサーの音も低騒音型が多いですが、昔からの電車は確かにウルサイですね。ただ、僕は逆にその音が聞こえる方が、味があると思ってしまいますが……(笑)。
A. JH9IFGさんから
駅に停車中に電車の床下から発生する「ゴロゴロ」音は、エアコンプレッサーが動作している音でしょう。
電車は、当然「電気」で走るのですが、「空気」を使ってブレーキをかけたり、ドアの開閉をします。その空気を一時的に貯めているのが、列車一編成中にいくつかの車両に取り付けられている「元空気溜め」と呼ばれる一種の空気ボンベになります。大抵は、その「元空気溜め」と一緒の車両に取り付けられているのがエアコンプレッサーです。
そのエアコンプレッサーで、「元空気溜め」に空気を圧力をかけて一定量(規定量)の空気を溜めておいかないと、安全装置が働いて、電車は走行することができない構造となっています。
駅に停車中に「ゴロゴロ」音が発生しやすいのは、駅に停車するために、ブレーキをかけ、そのあとドアを開けるので、「元空気溜め」の中の空気圧が低くなり、規定量の空気圧に戻そうとエアコンプレッサーが動き出すからです。当然、エアコンプレッサーは特定の車両にしか取り付けられていませんから、「ゴロゴロ」音が発生する車両、発生しない車両が存在します。
A. にゃこさんから
音の正体は「コンプレッサー」です。圧縮空気を作り、タンクにためています。
なぜ、そんなものが搭載されているのか? それは、ブレーキ、ドア開閉等に圧縮空気が使われているからです。
電車がブレーキをかけるとき、「シュー、シュー」という音が聞こえてくることがありますが、これは圧縮空気を使っているためです。この音は、空気が抜ける音なのです。また、ドア開閉時に「プシュ」と聞こえることがありますが、これもまた、圧縮空気を使ってドアを開け閉めしているからです。
駅に停車するときには、ブレーキを使って停車し、ドアの開け閉めをします。すると圧縮空気が少なくなります。そこで、圧縮空気を補給するために、コンプレッサーが動作します。そのため、駅で停車中に「ゴロゴロ」音が聞こえたりします。
もちろん、圧縮空気が足りなくなると、コンプレッサーは動作しますので、カーブ等で減速のためブレーキを多用した後では、走行中でも「ゴロゴロ」音が聞こえたりします。
最近では、音の静かなコンプレッサーが開発されたり、ブレーキやドア開閉で圧縮空気を比較的使わない車両が増えてきたので、「ゴロゴロ」音が聞こえることが少なくなりました。
A. MMPAPAさんから
コンプレッサー(空気圧縮機)の音です。
かっては、小説に都会の鼓動といわれ、ある意味では憧れの音でもあったのですが……。
電車は確かに電気で動くのですが、圧縮空気も大変重要です。ブレーキ、扉の開閉、乗り心地を良くするスプリング(現在の車両は空気バネといって、ゴムの空気風船の上に車体がのっているのです)、パンタグラフの上下、電気の遮断などなどです。
駅に止まるときは、ブレーキを作動させて圧縮空気を使います。止まれば扉の開け閉めがあるので、また空気を使います。扉を開け閉めするとお客さんが乗り降りするので空気バネの空気圧が調整されてまた、空気を使います。
そんなわけで、駅に止まるとコンプレッサーが作動して使った圧縮空気を補充するというか、タンク内の圧力を高くする必要が生じる可能性が高くなります。
なお、コンプレッサーは停車中だから動くのではなく、タンクが一定の圧力以下になったら動作し、ある程度以上になると自動的に止まります。
運転室には、このタンク内の圧力を示すメータの取り付けが法律で義務付けられており、運転士は駅発車時、走行中はある程度の間隔で圧力が決められた範囲(高すぎず低すぎず)であることを確認することが義務付けられています。
A. いんべひろしさんから
その音はコンプレッサ(空気圧縮機)の動作音です。
自動車のブレーキは油圧を利用します(大型車だと圧縮空気も使います。中には圧縮空気だけ利用するものも)が、電車の場合、何両も連結して使用すること、また、連結が何らかの理由で切り離されても大丈夫なように圧縮空気を利用します。この圧縮空気を作るためのコンプレッサの動作音です。
コンプレッサはモータで動くピストンの往復運動で空気を圧縮するため、どうしても騒音と振動が出てしまいます。それなら、回転式ピストンで空気を圧縮すればいいではないか、という発想もあり、それを採用した車輌もありましたが、これは振動は少なくなる分かえって音が大きくなることもあって、今は往復式がほとんどです。
停車中に鳴り出すというのは、各車輌につけてあるエアタンク内の圧縮空気がブレーキをかけることで規定の圧力以下に下がったのを検知して、コンプレッサが動作し出すということです。
なお、この圧縮空気、ドアの開閉を行うドアエンジンにも利用されていました。今も圧縮空気でドアを開閉させる電車も多数ありますが、最近登場した電車では電動のドアエンジンが増えています。
最近の電車のコンプレッサ音が静かになって来たのは、車体の遮音技術の向上と共にドアエンジンの電動化に伴い、容量が小さくなったとか、コンプレッサ自体の改良(ピストンを垂直方向でなく水平方向に動かすとか)、気筒数を増やして1気筒あたりの圧縮量を減らしたとかも寄与していると思います。
なお、質問の中に「自家発電」という話が出てきましたが、確かに冷暖房装置や照明等の電力は架線の電気を直接利用せず(冷暖房はそうでもないものあるけど)、専用の発電機やインバータから供給しています。加速時の電力供給ためではありません。
A. かいちょさんから
それはコンプレッサーの音です。
電車はタンクに圧縮空気を溜めて、ブレーキやドアの開閉に使用します。タンク内の空気圧が下がると、自動的に空気を補充します。そのときのコンプレッサーの作動音です。
走行中に作動することもあるはずですが、停車中にコンプレッサーが作動することが多いのには理由があります。
それは、駅を発車して次に停車するまでの流れ中で、減速し、停車するためにブレーキで空気を使い(ブレーキシリンダから空気を抜くとブレーキが掛かります)、停車して、ドアを開くのに空気を使いタンク内の空気圧が下がります。そのため、必然的に停車中にコンプレッサーが作動することが多くなります(走行音もなくドアも開いているため、特に音が大きく聞こえます。)。
余談ですが、最近の電車は「回生ブレーキ」なるものを採用している物が多くなっています。電車は(電気自動車も)電気を使ってモーターを回転させているのは当然のことですが、回生ブレーキは、惰行(惰性走行)中のモーターの回転で発電し、その電流の一部を抵抗器で熱に変えて消費することで、モーターの回転を下げるものです(自動車のエンジンブレーキのような感じで)。残りの電気はトロリ線(架線)に戻して、他の電車に使います(電気自動車はバッテリーに充電します)。
自動車のエンジンブレーキと同じで、高速走行中は従来の機械式のブレーキより回生ブレーキのほうが滑らかな操作ができるらしく、機械式のブレーキで空気を使うのは停車寸前のごくわずかの間だけのようです(運転士が使い分けているわけではなく回生ブレーキのみか、機械式を併用するか車両が判断します。念のため)。そのため、ますます走行中ではなく停車中にコンプレッサーが作動することが多くなっているようです。
ちなみに、特定の車両(ひとつの列車の中のと言う意味ですよね?)でとのことについてですが、一般的にコンプレッサーは走行用モーターの付いた車両(JR等でいう「モハ車」)にのみ付いていて、付随車(モーターの付いていないサハ車・サロ車)にはタンクしか付いていません。
★ごんちちさん、YOSHYさん、トミーさん、ものぴーさん、工場長さん、つきみそうさん、ごんたさん、ともひろさん、あいちゃん、しんたさん、bluestarさん、ケンちゃん、hiroさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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