--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.532 (2006.06.30)

Q. とんぼさんからの疑問

『ヒカルの碁』というマンガの中で、江戸時代からやってきた碁の名人の幽霊が、現代の状況に驚くというシーンがあります。ただ、「傘」だけは進歩してないとからかうのです。
 たしかにそうです。傘をさしたからといって、雨から完全に逃れられるわけではありません。
 でも、江戸時代からは100年以上経っています。
じつは、最新式の傘がすでに考案されていて、高価であるがゆえに私たちに届かないのでは? 最近の傘事情を教えてください。

たしかに! 傘は苦手です。どうして、あんなに濡れてしまうのでしょう。効果的な傘のさし方があれば、同時に募集します。(星田)


A. ごんたさんから

 上から落ちてくる水滴を自分に当たらないようにするのが傘だとすれば、基本的な構造は、大きな葉っぱを傘の代わりにした昔(?)と変わってませんね(笑)。
 せいぜい、使わないときにいかに邪魔にならないように携帯できるかが、今までの改良の歴史だと思います。
 雨を避けるという目的から言えば、商店街のアーケード、地下街なんかも傘の進化と言えるんではないでしょうか? 昔はなかったんだし……。

A. 麻生有美さんから

 傘の進化は、折り畳みにあります、いかに小さく持ち運ぶかを主目に、最近の最新の物では、携帯電話並の大きさと薄さになっています。
 これには、意外にも、日本の伝統遊戯折り紙の技術が使われています。折り紙の技術は、近いところでは、薬の説明書、持ち運び用の地図に応用されています。最も意外で最新のところでは、人工衛星の太陽電池パネルの折り畳み収納に応用されています。
 次に、効果的な傘の差し方です。
 まっすぐ地面に平行にさして、ゆっくり歩く。多少速く歩くときには、斜め前向きにさすと比較的濡れずに済むでしょう。
 現代人が、傘をさしても濡れるのは、主に速く動きすぎるから横から雨が、当たるせいですね、皆さんもっとゆっくりあるきましょう。急いで行っても、そんなに変わらないですよ。

A. 舞武さんから

 通常の傘は確かにあまり進歩しませんね。なんとなく江戸時代と比較して、
「これは進歩かな?」と思うのは、

   ・折り畳み傘
   ・撥水効果のある傘
   ・ワンタッチ傘
   ・超軽量傘

くらいかと。どれも、傘本来の機能がパワーアップしたものではないですね。おそらく、それだけ完成された形なのではないかなと。
 が、その完成形のはずの傘を差していても、結構濡れます。この原因は、一つは雨の降る角度。もう一つは水飛沫です。
 まず角度についてですが、仮に、傘の半径が35cm、傘を広げた端から地面までの垂直距離が170cmとしましょう。すると、傘の端から足元までが成す角θを式で表すと、

   θ=arctan(tanθ)=arctan(170/35)=78.36°

 つまり、およそ78°の角度を持っているという訳です。よって、雨が振る角度がこの78°より低い場合は、カバーしきれないと言う事になります。
 逆に、雨が振る角度が60°以下になることはないと仮定して、必要な傘の半径の長さLを式で表すと

   L=170/tan60°=170/√3=98.15

 つまり、半径98cm! 直径にして、およそ2mも必要です。あまつさえ45°の雨に耐えようと思ったら、垂直方向と同じ長さである170cmの半径を持つ傘でなくてはならないわけですね。
 直径3.4mの傘って一体……。しかも、今のはあくまで静止している状態での話であって、歩けばそれだけ足が中心軸より前に出ますから、傘の大きさにさらなる考慮が必要となります。絶対濡れない傘……、作られないはずです。
 さらに、霧雨に至っては、宙に水が舞ってしまっています。この場合、もはや傘ではどうすることもできません。また、たとえ霧雨でなくても、雨が地面にぶつかると、水飛沫は起きます。水飛沫は、思いの外、よく飛びます。
 つまり、雨は上だけではなく、横・下に対しても何かしらの対策を行わなければいけないのです。ここに、傘の限界があると言ってよいでしょう。
 傘を差すときは、常に雨の降ってくる方向を意識して傘を向けておけば、ただ普通に差すよりは効果的です。

やまさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。