--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.540 (2006.08.08)

Q. ゆきゆきさんからの疑問

 蛇口にホースをつなぎます。水を出します。このとき、ホースの先を指でふさぐ(ホースの先を狭める)と、水圧が強まって、水の勢いが増しますよね?
 そこで、疑問です。
水を止めるために、蛇口を絞めます。このとき、勢いよく水が出ないのはなぜなのでしょうか? 蛇口を絞めるときも、ホースの先をふさぐのと同じ原理じゃないのでしょうか?

ホントだ。どうして、今まで不思議に思わなかったんだろ?
 「水の流れを止める」ということは、「出口をふさぐ」ということですよね? キュッツキュッと栓を締めると「出口が小さく」なるのだから、一時的に勢いが増すはず……。でも、そうなってない。なぜ?(星田)


A. Picorinoさんから

 水を止めるために、蛇口を絞めます。このとき、勢いよく水が出ないのはなぜか?
 じつは、締めているバルブのところでは勢いよく出ています。しかし、バルブから蛇口までは数センチから場合によっては十数センチあります。勢いは強くなっていても流量は減っていますので、その距離を流れる間に抵抗を受け拡散して、かえって遅くなってしまうのです。
 ホースで同じことをやるとわかります。口から10センチ程度のところを絞ってみてください。

A. ひよえさんから

 この答えは「蛇口の閉まる箇所が出口付近ではない」からでしょう。
 たとえば、出口から離れているホースの途中を指で狭めた場合、入り口の水勢は増すどころか出る水量が減りますよね。
 逆に蛇口であっても出口を手で押さえたりするとすごい勢いで水が出ます。(※これはうちの子供らも楽しそうにやってます(笑))
 すなわち通過する水量が一緒なので水勢と幅は反比例することになります。「幅が狭い箇所=出口」であった場合に水勢が増す、といった感じになります。

A. 江戸川三連豚さんから

「蛇口の構造が勢いが減らすようになってるから」が答えになると思います。
 今の蛇口の主流は、蛇口の中で下から上に抜けるようにした途中を上から押さえつける形で水の流れを止めています。この時点で、水勢は円方向に拡散されてしまいます。開口面積を減らして流速が増しても、流れの方向に直角で、360度に拡散された流れになります。
 流速は増していますが、「蛇口内部でぐちゃぐちゃになる」ので勢いが相されてしまいます。
 さらにその後に流路を下に持ってくるか、上に持ってくるかすることで、流路が曲げられ、勢いがさらに減らされます
 ホースの方はといえば、口を閉じても流れ方向が変わらず、水速が増すだけということです。

A. かいちょさんから

 簡単に言ってしまうと「そうならないように作ってある」からです。
 昔からある蛇口の形を思い浮かべてみてください。蛇口のハンドルの下の部分が球状になっています。蛇口の内部に仕切りがあり、水道管から来た水は一旦その球の中に溜まってから出口(スパウトと言うらしいです)に向かいます。
 水を出したり止めたりする構造は、蛇口内部の球体に、水道管からの水が入る穴と、水が出て行く側の穴(上に空いている)があります。
 ハンドルの軸の先に「栓」が付いていて、水を止める方向に回すと出口側の穴を塞ぎます。塞ぎきる寸前には、水の通路は「輪ゴム」の様な形になりその部分では水の速度は上がります。
 しかし、ホースをつぶしたときとは違い、水の進む方向が分散され、圧力はあまり上がりません。なおかつ、水の進む方向と出口が90度ずれているので、水は周りの壁に当たり勢いを失います。

A. 舞武さんから

 蛇口を閉めるのとホースの出口を塞ぐのとの違いが何かと考えたら、閉める場所が違うのではないかなと。
 蛇口もやはり、水の通り口を閉めている部品付近は、非常に勢いよく出ているのだと思います。しかし、その部品付近から出口までには、その水量を充分通せる太さの管があり、ここで、その圧力は拡散されてしまうのでしょう。
 水道の出口を指で塞げば、水は勢いよく出てきます。しかし、その出てきた水に更にホースを通した場合、ホースの出口から同じ勢いでは出てきませんね。
 面白かったので、ちょっと蛇口の構造も調べてみました。
 蛇口は、水を閉めている栓部分は、水が下から噴き出るのを、上から栓で押さえつけている構造になっています。つまり蛇口を開いたとき、栓の付近で水は上方向に噴き出しますが、この時に栓やら管の上部分にぶち当たって、勢いは簡単に殺されるのではないかなと。

A. 賢さんから

 端的に言ってしまえば、「内部の構造が違うから」が答えになると思います。
 ホースでは、たとえば、水道から1秒間に100の水が出ているとすると、ホースの先をどうしようと1秒に100の水が出なければならないことになります。ホースの先の面積を10分の1にしたら、出口が狭いので、10倍の勢いで水が出
て行き勢いが強まります。
 それに対して水道の蛇口は、内側から出ようとする水の「量」は決まっておらず「圧力」だけが一定になっていて、栓を開けると開いた面積に比例した量の水が出てくるように設計されているようです。
 たとえていうなら、長いペットボトルに水を入れて、上の蓋を開けた状態で底に穴を開けているようなものと言えるかもしれません。
 底に直径1mmの穴を開けたら(栓を少しだけ開けたら)落ちる水の量は少しだけですが、底を切り落として穴にしたら(栓を全開にしたら)落ちる水の量は多くなることは想像できると思います。

A. 4児の父さんから

 単純に、水の出口(アウトレット)と細くするところ(ボトルネック)の距離の問題だと思います。
 ホースの例ですと、アウトレットとボトルネックが完全に一致しています。ボトルネックでは、流速が高まりますから、水が勢いを増して出てきます。
 蛇口の例では、ボトルネック後、少し距離があってから、アウトレットがありますので、その間に流速も緩和されます。
 ホースの例でも、ホースのアウトレットより、元側のホースを細くしてみてください。ただ、流量が減るだけになると思いますが……。

A. bluestarさんから

 蛇口の止水には、大まかに2通りあります。一つは昔ながらのハンドルをぐるぐる回す方式。もう一つは、最近かなり普及しているレバーハンドル方式です。
 前者はコックの内部に「コマ」という部品が入っていて、ハンドルを閉めようとすると、そのコマの頭が押さえつけられて水の通り道を塞いで行きます。レバー式はコマの替わりにピストンのような物が上下して水を止めます。 いずれにしても、だんだん水の通り道が狭くなってくるので当然、勢いは増すでしょう。でも、ホースと違うのは、そのホースの先にもう少しパイプが付いてるということと、コックの下の少し丸くふくらんだ部分で、水の暴れを消しているんです。だから、チョロチョロ出すことも可能なんですね。
 古くなった水栓のコックを絞るとガタガタ音がすることがありますが、水の勢いがゆるんだコックを振動させて出る音です。
 蛇足ですが、ワンレバー方式はコック式に比べて、止水が急激に行われますので、配管内で圧力の逃げ場が無く、配管自身が震える「ウォーター・ハンマー現象」が起きやすくなります(ゴトンと言う音)。決してそれだけが原因とはかぎりませんが、洗濯機の水栓を開けっ放しにしてると起こりやすいので要注意。配管をしっかり固定してない場合も起こります。

A. Jesusさんから

 まず、水道の出口から出る水の勢い(流速)と、時間当たりに出る水の量(流量)は、どのように決定するのか説明します。
 流速は、水道の出口から、配水池や高架水槽までの高低差で決定され(摩擦等の損失を無視すれば)トリチェリの定理で求めることができます。つづいて、流量は流速×出口断面積で求めることができます。
 以上の説明を式にすると、以下のようになります。

 流速=√(2gh) ---------------------- トリチェリの定理
  g:重力加速度
  h:配水池から出口までの高低差

 流量=流速×断面積 ----------------- 1

この式を変形すると、

 流速=流量÷断面積------------------ 2

という式を得ることができます。

 水道管を流れてきた水の最初の出口は蛇口内部にある出口です。ここでの流速はトリチェリの定理によって配水池から出口までの高低差から求めることができます。そこではネジとパッキン(一般的にはコマパッキン)によって断面積を調整できるようになっています。1の式によりここで流量が決定します。
 その後、蛇口の最終的に水がでてくる口にむかって断面積を大きくしていきます。ここで2の式により、流速を落とすことができます。このように断面積を変化させることで、流量・流速を調整するのが蛇口の仕組みです。
 よって蛇口内部の最初の出口での流速(勢い)は配水池からの高低差で決定され、絞ったからといって増えるわけではないのです。(実際には文末の捕捉にあるように、損失を考慮すると「動水圧<静水圧」の関係により水圧が増え流速は増しますが、ホースを絞るのとは本質的に異なる。)
 ホースの先を指でふさぐと水の勢いがますのは、蛇口の出口でふくらませた断面積を、再び小さくすることによって蛇口内部の最初の出口の流速を取り戻しているに過ぎないのです。

(捕捉)
 今回の説明は、水の粘性や流れによる損失を無視したあくまでも理想状態の話です。実際には、水道管の曲がり管や摩擦等による損失は結構大きくて、トリチェリの定理で求めた数値とは大きく異なります。より正確な数値を求めるには流体力学や水理学を使った計算が必要です。
 一般的に蛇口を開けている状態の水圧(動水圧)は、閉めている状態の水圧(静水圧)に比べ低くなり、特に蛇口を全開にした時など、管内の水の流れが乱流となったときには大きな損失がかかります。
 また、蛇口を急にしめたときに衝撃波(ウォーターハンマー)により配水池の高さ以上の水圧がかかることもあります。

トンビーさん、ごんたさん、みし丸さん、麻生有美さん、kuDさん、御屋形さん、杉野実さん、まとさん、zzzzさん、ほえぇさん、sukeさん、浜猫さん、黒男さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。