--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.545 (2006.08.24)

Q. チョビンさんからの疑問

 冥王星が揺れています。
「惑星」の定義をどうするかによって、冥王星が惑星となるのか、惑星ではなくなるのか、微妙なところらしいですね。
 そもそも、どうして、冥王星がそういう微妙なスタンスに立っているのですか? 大きさですか? 形ですか? 太陽からの距離ですか?
 これまでの9惑星以外にも、「惑星」候補があるらしいですね。ということは、太陽の周りを回っているけれども、「惑星」じゃない星があるということですね? 惑星でも衛星でもない星は、何と呼べばいいのですか?

来ましたね〜、この疑問。星に詳しい人! 回答をお待ちしています。(星田)


A. ポポンさんから

 今日(2006年8月24日)に決まりましたね。
 国際天文学連合(IAU)において、「セレスなどを追加、惑星を12個にする」案と「セレスなどを追加せず、冥王星を惑星から外し、計8個(水金地火木土天海)とする」案のどちらかに決するということで後者になりました。
 冥王星は格下げということですね。
 なお惑星の定義は……、

  1.太陽を周回
  2.自分の重力で固まって球状をしている
  3.その天体が軌道周辺で圧倒的に大きい

で、全てを兼ね備えて「惑星」となります。冥王星は3を満たせず、降格となりました(また、軌道が他の惑星からかけ離れているため、という意見もあります)。

A. YOSHYさんから

 答えは、「dwarf planet」だそうです。現在、日本語の名称を募集中のようです。新聞等では、「矮惑星」としていました。
「矮」とは「問題を矮小化(わいしょうか)する」というように「小さい」という意味です。
 天文の世界では、太陽のような普通の星に比べ、ばかでかい星を「巨星」といい、逆に燃え尽きて小さくなってしまった星を「(白色)矮星」と言います。
 ただ、話がややこしくなるのは、概ね火星と木星の間にうんざりするほどの惑星のかけらがあり、「小惑星」と言います。
 今回話題に上った「セレス」もそのうちの一つですが、ほとんどが、ごつごつした不定型なかけらのような形で、大きさも数十キロ以下と小さいものほとんどです。
 それに比べ、今回の「矮惑星」はちゃんと球体をしており、800km以上など、かなり大きいことが条件のようです。
 なお、冥王星が惑星として疑義が唱えられていた理由ですが……、

1.大きさが小さい(最近の観測では、月よりも小さいが、発見されてからかなりの間は、地球ぐらいの大きさと思われていたようです)こと。
2.実は、海王星よりも遠いところを公転しているはずが、海王星の内側を回っていた頃があるのです。他の惑星では考えられません。
3.他の惑星は、公転面がほぼ太陽の赤道上にあるが、冥王星のはかなり傾いており、一時期海王星の衛星ではないかと思われていた頃があります。

というようなことで、昔からハテナが一杯付いていたのが、今回の新天体の惑星への昇格話で吹き出したというようなことのようです。
 ところで、太陽の周りを回っているものは、惑星だけでなく、彗星もあります。あと、細かいですが、人工衛星の一部は太陽を回る軌道に打ち上げられています(ゴミとして回っているものもありますが)。
 で、面白いのは冥王星が惑星から降格されていちばん困ったのは、天文界でなく星占いの世界だそうです。
 追加情報があります。ついに、冥王星に小惑星番号「134340」が付番されたそうです。

A. ひいろさんから

 冥王星が他の惑星と大きく異なるものとされる理由は、3つあります。
 1つ目は、その大きさです。他の惑星に対して、あまりにも小さすぎるのです。その大きさというのは、直径で約2300kmと言われています。地球の衛星である月ですら直径は3500kmあり、冥王星は月よりも小さい天体ということになります。
 2つ目は、公転面の形です。
 地球やその他の7つの惑星は、太陽と中心にほぼ円を描いて公転しています。しかし冥王星だけは、いびつな楕円形をしています。
 3つ目が公転面の角度です。
 これも冥王星以外の8つの惑星は、ほぼ同じ公転面上で公転しています。しかし冥王星だけは、その他の惑星の公転面に対して、大きく傾いた公転面を持っています。
 このような理由から、近年の天文学の科学者レベルでは、もはや冥王星は惑星とはいえないというのが、もっぱらの定説となっていたようです。
 冥王星がこのような騒動に巻き込まれた原因の1つに、観測技術の向上が挙げられます。冥王星が発見された1930年当時では分からなかったことが、近年の観測でぞくぞくと分かってきたということということです。冥王星が、実は月よりも小さかったということもその1つです。
 また、もともと冥王星を発見したのはアメリカ人ですが、最近同じアメリカの科学者が冥王星の外を回る「2003UB313」という天体を発見し、これも惑星にしようとした政治的な原因もあるようです。
 冥王星が惑星でなくなるとアメリカ人が発見した惑星がゼロになるので、それに対する配慮があったのではと言われています。結果的には欲張りすぎて、墓穴を掘ったとも言えると思います。
 また今回の学会で、冥王星などの天体を新たに定義するために、「ドワーフプラネット」という定義が提唱されました。日本での正式な和名はこれからだそうですが、報道では「矮惑星」と訳しているようです。

たーさん、麻生有美さん、鬱兵さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。