Q. さよりさんからの疑問
私がよく行くスーパーには、コンビーフがいつも置いてあります。でも、じつは、この10年、コンビーフを食べていません。味を忘れてしまいそうです。
疑問は、コンビーフの缶に関してです。
普通の缶詰は円柱形なのに、コンビーフの場合は、広い面と狭い面があります。どうして、単純な円柱にしないのでしょう?
何か必ず理由があると思うのです。それが解決したら、10年ぶりにコンビーフを買おうと思います。
★コンビーフの缶は、ねじまわしみたいな道具で巻ながら開けますね。あの方法しかないのかな?(星田)
A. 黒男さんから
以前、何かで聞きかじった記憶があります。
初めのコンビーフの缶詰は、あの形状がいちばん詰めやすい形でした。今はそれ以上の技術がありますが、形を変えたところ、まったく売れなかったということで、ずっとあの形なのだとか……。
A. ごんたさんから
コンビーフの缶が台形なのは、中に詰める肉が隙間無く詰められるように考えられたものだと思います。広い方から詰め込めば、ペースト状の肉もきっちりと詰まりますね。
さらに、取り出しは、通常の缶詰のように端から開けると、詰まった肉の粘りで非常に取り出しにくいので、中腹の部分を巻き取り鍵と呼ばれる付属の工具で開けるのでしょう。
A. pencilさんから
他の缶詰は、中に汁やオイルが入っていますが、コンビーフは肉だけなので、円筒形だと、輸送中に中身が偏って隙間ができ、そこで肉が変色してしまいます。台形の容器に広い方から狭い方にぎっちり押し込んでいって、それを防ぎます。
現在の技術では、円筒形の容器でも大丈夫なようですが、イメージが定着しているのであの形を守っているようです。
中身が肉だけなので、巻き取り式で開けて上下を分離して、出すときに縁に引っかかって崩れたり、中身を掻き出さなくてはならないのを防いでいます。
A. ロッキー大輔さんから
コンビーフの缶詰があの形をしていることの理由は大きく挙げて3点。
1点目は、コンビーフの缶詰がつくられるようになったころ(19世紀後半)、缶詰の製造作業は手作業であり、口の広い方を上向きにして肉を詰めていくとすき間なく詰めることができ、保存にとって大敵の酸素の混入も少なくすることができたため。
2点目は、缶詰の製造技術が向上し、台形にこだわる理由がなくなったものの、そのままの形の方が肉を取り出すときにスポッと簡単に取り出せて便利だったため。
3点目は、「コンビーフの缶詰といえばこの形」というイメージが消費者に浸透しているので、変えにくいため。
以上が理由です。歴史的な意味では、1点目だけがその理由として最も妥当かと思います。
A. おやじうどんさんから
コンビーフは「缶を開けても中身がこぼれることがない」という非常に珍しい缶詰です。しかも中身を一杯に詰めるため、円筒形などの缶詰では箸やスプーンなどを使わなければなかなか出せません。そこで中身を出しやすく、食べたり使いやすくすることから今の形(便宜上、台形と呼びます)になりました。
昔は今のように缶切りなしで開けられる缶詰が普及しておらず、その中でもコンビーフは缶切りを使わずに開けることができるため、重宝されていました。以前、普通の円筒形のコンビーフの缶詰も発売されましたが、台形缶のイメージが強いためにあまり売れずに無くなったそうです。
なお、コンビーフの缶にも規格があり、日本の食缶規格では、
・コンビーフ2号缶(高さ約80mm 内径約62mmx42mm、約68mmx50mm[2種類])
・コンビーフ3号缶(高さ約47mm 内径約62mmx42mm、約68mmx50mm[2種類])
の2つがあります。
★アンギラスさん、sunriseさん、麻生有美さん、mbusさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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