--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.551 (2006.09.29)

Q. 天手羅さんからの疑問

 自動販売機やスーパー等で販売されている缶飲料には、アルミ缶のものとスチール缶のものがありますが、その区別は一体、どこから来るのでしょうか?
 この疑問を持ったのは、学校の剣道クラブの休憩時間でした。いつものようにスポーツドリンクを取ろうとしたところ、何気なく「スチール」と書かれているラベルを発見しました。
 今までは気にも留めなかったことですが、興味が出た僕は、いろいろ調べてみることにしました。
 その結果、炭酸飲料などでは「アルミ」と書かれている缶が多いことを発見しました。アルミ缶であれば、軽く握っただけで潰すことは可能ですが、スチール缶ではうまくいきません。
 僕はこの強度に秘密があるのでは、とみて、仮説を立てることにしました。それは、この強度の違いは気圧に関係しているのではないかというものです。炭酸水はスポーツドリンクやお茶とは違い、炭酸が入っているため内側からの圧力が強いと思うのです。だから、炭酸飲料にスチール缶を使用してしまうと内側から破裂してしまう。このことから、スチール缶とアルミ缶で分けられている。というものなのですが、どうでしょうか?

ご自身で予想を立ててみるというのは、大変よいことです。
 さあ、アルミとスチールの違いは、なぜ?(星田)


A. 麻生有美さんから

 スチール缶は、当然ながら、鉄を主成分としていて、酸に弱い。
 炭酸は、その名の通り、酸ですから、スチール缶に長く入れていると、缶を溶かす恐れがあります。だから、アルミ缶にしているわけです。

A. ポポンさんから

 たぶん「内容物の違い」で使い分けられてるんじゃないでしょうか。
 アルミ缶はジュース、炭酸飲料、スポーツ飲料など幅広く使われていますが、スチール缶はコーヒーなど結構限定されている印象があります。
 と、ここで調べてみたところ、やはりそうでした。各飲料メーカーのHPのQ&Aコーナーにその質問と答えがあります。総合して簡単にまとめました。

・アルミ缶→軽い、冷えやすいが柔らかい。そのため内部から圧力がかかる炭酸飲料、ビールに使われる
・スチール缶→若干重く、堅い。そのため温かい飲み物が冷えて内容物と若干の空気が収縮しても缶がへこまない

A. おやじうどんさんから

 アルミ缶とスチール缶の使い分けは、基本的には「中身を注入するときの温度」によって決まります。
 アルミ缶はリサイクル時のエネルギー使用量が少なめであるほか、軽いのがメリットです。缶の重さは輸送費のコストに直結するので、アルミ缶は適しているといえます。
 しかし、熱による変形に弱いという欠点もあります。スチール缶飲料の多くが、コーヒーやお茶など高温で注入するタイプであるのはそのためで、熱に強いスチール缶が使われます。
 ちなみに、飲料を注入するときに高温で入れるものは、内容量の表記が「グラム」で示されます。これは温度変化によって体積が変化するからで、逆に低温(凍らせる場合を除く)で体積に変化がない飲料は「ミリリットル、リットル」表記になります。

A. ごまさばさんから

 中に充填する飲料に違いがあるようです。
 アルミとスチールの大きな違いは、強度です。スチール缶は空っぽの状態でもその形状を保つだけの強度を有しています。しかし、アルミ缶は、空っぽであれば、簡単に潰れてしまいます。
 アルミ缶の内部に炭酸飲料を入れた場合は、内部の圧力が高くなりますので、簡単には潰れません。輸送時等に耐えられる強度を得るために使い分けられているのだと思います。
 ここで新たな疑問が出ます。すべてに強度が高くて安価なスチールを選べばよいと思いますが、(以下想像になりますが)炭酸飲料とスチールは相性が良くないのではないでしょうか?(腐食しやすい)
 そして、炭酸飲料の場合、炭酸による腐食に強く、リサイクルしやすい、そして軽量(輸送時に有利)のアルミを使うことが有利であるのではないでしょうか?

A. Picorinoさんから

「炭酸飲料にスチール缶を使用してしまうと内側から破裂してしまう」ということはありません。ドイツでは、ビールはスチール缶の500mlサイズが多いのです。その缶は、開けてしまえば側面はペコペコで握りつぶせるほどやわらかいが底面は結構硬いのです。
 おそらく選択の鍵は強度ではなく、製造と廃棄にかかるコスト。錆に対する対策の必要性とコスト(賞味期限の長さとの関係も)。缶が口に当たる際に感じる味覚や見栄えについて消費者の選択的嗜好をどう読むかなどでしょう。
 アルミに比べ展性に劣るスチールで500ml缶を「深絞り」で作るのはかなり難しい。ドイツはそれをクリアして実用化し、アルミ缶よりコストを下げているのではと推測しています。
 日本ではジュースであれ缶詰であれ、深絞りスチール缶を見かけた記憶がありません。薄メッキ鉄板を曲げて半田付けして胴体にするのは手間がかかりますが、深絞りだとプレスで押すだけで手間いらずなのです(うまくやるのが高等技術)。
 消費者の嗜好という面では、ドイツ人は見かけを重要視しないが、日本人は「アルミ缶の美しさを買うときの判断に入れそう」とメーカーが考えているのではないでしょうか。

A. アンギラスさんから

 この疑問の回答にはなっていませんが、アルミ缶入りのコーヒーを発見しました。チェリオ・ジャパンの「ブルース」シリーズの「キリマンジャロ」という商品です。
 炭酸飲料に比べて若干内圧が低そうで柔らかめでした。多分、窒素ガスを充填しているのだと思いますが詳しくは分かりません。アルミ缶入りのコーヒーは初めて見たんで驚きました。
 アルミ缶といっても、素材は100%アルミニウムではありません。純粋にアルミニウムだけでは柔らか過ぎて強度が無いので、本体部分に1%程度、フタ部分に5%程度のマグネシウムを混ぜて硬度を高めています。

A. くろちゃんから

 アルミ缶とスチール缶の違い、それはおっしゃる通り圧力の関係です。
 一般的にアルミ缶は「陽圧缶」、スチール缶は「陰圧缶」とされています。炭酸飲料のように内部圧力が外気圧より高いものは、薄いアルミ缶でもつぶれることがありません。しかし、ボトリング後に過熱調理するものなどは、冷めると内部圧力が下がってしまいますので、これではつぶれてしまうため、強度のあるスチール缶になっているわけです。
 もう一つの違いは、アルミ缶は2P(ツーピース)缶、スチール缶は3P(スリーピース)缶です。2P缶は、本体に上蓋を付けたもの。3P缶は円筒状本体に上蓋と下蓋が付いています。素材の違いによって、製造法も違うわけです。
 なお、コーヒーやビールなどを「飲缶」、シーチキンやゆであずきなどを「食缶」と区別することもあります。
 最近はステイオンタブ方式の飲缶が少なく、ネジ式の飲缶が増えてきています。これは、輪に指をかけて引っ張るとき、意外に力が要ることや、若い女性が直接口に付ける部分が非衛生的だと敬遠するため、ネジ式の蓋に変わりつつあるためなのです。さらに、男女問わず最近の若人は、開栓したら一気に飲んでしまうようなことはせず、一口ずつ間歇的に飲む人が増えました。これも、ネジ式蓋に変わっていく一つの要素です。
 たかが缶とはいえ、形状の工夫や飲み易さなど、多くの知恵が活かされているんですね。

h-sさん、らんくさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。