--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.558 (2006.10.27)

Q. ろんろんさんからの疑問

「寺」と「院」は、どのように違うのでしょうか?
 金閣寺や清水寺などの「寺」と、三千院や平等院などの「院」とのことです。
 両方とも「寺」という範疇で、その「格」の違いを、表しているのでしょうか? それとも、全く、別種のものなのでしょうか? 明快な回答を、お願い致します。
 これは、私の母が20年前から、「どう違うんだろうねー」と言っていることです。

きましたね〜。「どう違うのか」というタイプの疑問です。
 スカッとわかる解答をお願いします。(星田)


A. Koaraさんから

 私は仕事で初詣情報を制作している関係で、寺と院のちがいについて調べてみました。
 特に寺と院で格式などに違いはないとのこと。どちらをとったかだけだそうです。
 ちなみに、浅草の浅草寺は「金龍山伝法院浅草寺」だそうです。

A. ぐるまるさんから

 インターネットで調べてみました。
 結論からいうと何の違いもありません。院も寺も、長い正式名称の略だそうです。
 浅草寺は「金龍山伝法院浅草寺」で、知恩院は「華頂上知恩院大三寺」だそうです。
 つまり略称に寺を取るか院を取るかの違いだけだそうです。

A. 黒男さんから

 簡単にまとめますと、寺院の「院」は中国では宿泊所の意味で、出家している僧侶を宿泊させたところ。「寺(じ)」は役所・官舎の意味で、インドの僧(西域僧)が中国に仏教を伝えたときに建てて住まわせたもの。以後、宿泊所に因んで僧の住処を「寺」と呼ぶようになったようです。
 違いということでいうと、布教に来た僧を宿泊させたところが「寺」、出家した僧を宿泊させたところが「院」ということでしょうか……。
 寺の語源はパーリ語のthera(長老)からきているというのが一説です。
 本来はもっと複雑な成り立ちがあるようですが、寺と院の違いということなのでこのあたりで……。

A. こじまさんから

 本来は禅寺の分家が「院」です。
 寺の師が亡き後、弟子たちが寺の敷地や周辺に別の建物を建て、修行を続けたものを「塔頭(たっちゅう)」または「塔院」と呼びました。代表的なのは臨済宗妙心寺で、妙心寺は大本山(本家)でその敷地内には46の塔頭があり、「院」と称しています。ただ一つだけ「寺」と称する「金臺寺」がありますが、これは公式に「明治になり、因縁により例外的に」と説明されています。
 その他、平等院のように元は寺でなかったのに、後に寺に転じた場合や寺の縁者が出家し庵を結んで仏門に入った場合なども「院」と称することが多いようです。
 将軍の妻は将軍の死後、仏門に入ることになっていました。この時、名を院号にしたためではないかと思われます。

A. 異邦人さんから

 寺院の「寺」と「院」の違いですが、スッキリするかどうかは判りませんが、一応……。
 寺は本来「宗教儀式を執り行うところ」を意味しており、院は中国語では「(僧侶が)宿泊するところ」を意味していました。そこから中国では堂塔(本来の寺)と僧房(院)を併せ持つところということで「寺院」と呼んでいたものと思われます。
 それらが日本にそのまま伝来しましたが、僧侶が居ない無住の寺と僧侶の居る寺が出来るなどしたことから僧侶の居ない寺は規模が小さく、僧侶が居る寺は規模が大きいなど、副次的な意味が付帯されて規模の大小、格式などの高低で寺と院を別に考えることも起りました。
 ちなみにサンスクリットで寺を「ヴィハーラ」といいますが、これは僧侶の起居する場所を意味しており、宗教儀式を執り行うところは(僧房も含めて)「ラヤーナ」といいます。