--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.563 (2006.11.21)

Q. たかおさんからの疑問

 先日、私の母が入院しました。手術はうまく終わって、それはよかったのですが、よくないのが、病院の食事です。
 噂には聞いていましたが、どうして、病院の食事は、おいしくないのでしょう? 母がお世話になった病院なので、悪く言うのは気が引けるのですが、しかし、まずい(私も食べてみたのです)。
 入院経験がある周囲の人に尋ねてみましたが、どうもやはり、一般的に病院の食事はうまくないようです。産婦人科の食事が豪勢だったという話も聞きましたが、その程度です。
 リハビリは食事からではないでしょうか? それなのに……。
病院の食事がまずいのには、何か理由があるのでしょうか?

私が入院したときの食事は、ご飯がやけに大盛りだったなぁ。(星田)


A. 地味頁さんから

 推測ですみませんが、病院食の場合、まず栄養というものが最重要視されます。何カロリーでないといけないとか……。
 病気の種類にもよりますが、調味料も制限はかけられていると思います。たとえば腎臓病の人には、塩分がまったくなしですから、油とか砂糖とかも控えないとダメでしょうし。
 そうなると必然的に、味にも制限が加わってきますから、普段食べているものとは、全然違うものになります。
 今は昔とは違って、味にもいろいろと気を使うようになってきているようですが、こういう制限がある中でのことですから、しょうがないと思います。
 入院しているとき時は、あまり動き回ることも出来ないので、おなかの空き具合も違うでしょうし……。

A. 麻生有美さんから

 美味しい食事には、塩分と、タンパク質、油脂分が含まれます。
 しかし、塩分は、肝臓に悪いので、控えます、
 タンパク質、油脂分は、病院という性質上、あまり動くこともないだろうから、エネルギーを控えめにするために、これらも控えます。
 ということで、美味しいと思われる成分が、減らされているので、まずくなるのは当たり前なのです。しかし、魚などはよく焼くことによってうまみ成分を濃厚にしたり、工夫はしています。
 どうしても、まずい場合は、医師に相談してみてください。

A. MMPAPAさんから

 病院の食事ですが、やはりまずいところが多いです。
 私が思うに、塩分、カロリー量、糖分その他諸々が医者から指定されていることが原因だと思います。病院の食事は、ほとんど一人一人違うと言っても過言ではありません。したがって、医者の指示が優先され、味がどうしてもその次になるようです。
 以前、大学病院に入院したとき(そこはあまりおいしくなかったけれど)、すぐ隣が小児病棟でした。食事のたびにアレルギーのチェック(一人一人違う)を看護婦さんが確認しているのを見ていると大変だと思いました。
「小児科は食事を作るほうも運ぶほうも大変です」
と看護婦さんが言っておられました。
 そこの、病院に入院する1年前、別の病院に入院しました。ベッド数が30床もない小さな病院でした。医者が、
「せっかく2週間入院するんだからMMPAPAさん、ダイエットもしましょう。糖尿病患者用の低カロリー食にしますよ。心配しなくても大丈夫ですよ。うちの食事はうまいんだから。間食はしたら駄目ですよ。飲み物も甘いものは駄目ですよ」。
 医療関係専門の給食会社の食事でしたが本当においしくいただきました。やはりこういうのにも専門家がいるんですね(朝食で、ときどき出てきた無糖のイチゴジャムはおいしかった)。ちなみに2週間の入院で食って寝るだけなのに3kgやせました。

A. SHOWさんから

 2年前、左膝の靭帯断裂のため、2ヶ月近く入院・リハビリをしていました。生まれて初めての入院経験でした。
 僕も病院食はマズイ!という噂を聞いていたので、さぞかし食事はマズイんだろうな〜と思っていました。
 しかし、僕個人の印象かもしれませんが、僕が入院していた病院の食事は思ったほどまずくはなかったです。むしろ美味しい食事もあったほどです。
 毎週、3食一週間分の献立表が入院患者に配られ、かつ昼食と夕食に限り2つのメニューが用意され、どちらかを選択することができました。入院患者の満足度を向上するために導入した方法らしいです。
 もちろん、やはり入院患者の献立だけに、脂っこいものや、カロリーの高い献立はなく、おかわりもできず、かつ食事制限のある患者には特別メニューが準備されています。
 おそらく、僕の印象では、病院食というのは、一般的に上記の理由により、薄味で味気のない献立のせいで「まずい」料理になってしまうのだと思います(祖母が入院していた時は、病院食は薄味でまずいと言ってましたから……)。 しかし、全ての病院がまずいとはいえないと思います。
 実際、僕が入院していた病院では、栄養士さんが、入院中に二回ほど患者に病院食のアンケートを取りに来ていましたから、最近は顧客満足度向上のために、食事制限やカロリー制限が許す範囲内で、美味しい食事を提供する努力をしている病院もあるということでしょう。

A. くろさんから

 病院食は、一度に大量に作られます。また、ずっと継続して食べることになる食事です。食材、味付けの両方において、「ある人にはとても美味しいが、別の人は大嫌い」と言うのでは病院食として不適なのです。
 たとえば、手術に向けて体力をつけなければならない人が、「今日の食事は大嫌いなのでパンで済ます」というようなことになっては、病院食の意味がないのです。
 結果として、ひどく没個性な、「美味しいとはいえないけど、誰でも食べられる」という味になるのです。

A. ちっぴーさんから

 私の父が病院の厨房で働いていたことがあるので、同じ疑問をぶつけたことがあります。
「なんでまずいの?」
 病院食は、栄養士が決めたとおりの調味料の量で作らなければならないそうです(きっちりです)。塩分もやはり普通より少なめですし、味は現代人には物足りないだろうな、とのことでした。

A. 4児の父さんから

 病院のご飯、確かにおいしくないですねえ。私が愚考するに、以下のような理由があると思います。

(1) メンタリティの問題
「病人は美食などという贅沢をするな! 必要最小限のカロリーや栄養がとれていれば、それで十分」という考えが、病院給食の根底にあるのではないでしょうか? こういう、ホスピタリティの欠如は、あると思います。

(2) 収益の問題
 病院は、入院患者に給食を提供し、診療報酬+患者からの実費(定額)、という形で収益を得ます。このシステムでは、1人の患者から得られる収益は一定になるので、当然、病院側は食費を安く抑えようとします。
 大体、1食の食材費を250円くらいに抑えるのが普通ではないでしょうか?
 これでは、食材も自ずと限られてしまいます。一方、産科は保険診療ではないので、もっと贅沢な食事を提供できます。

(3) 栄養学的な問題:
 今の御時勢、みんな舌が犯されているんですよね!
 たとえば塩分。厚労省は、1日摂取量を5g以下にしようなどといっていますが、これでは全く味がありません。倍の10gでも、「うすい!」と文句を言って、結局、自分で醤油をかけたりしております。
 せっかく、病院側が健康に良い塩分を設定しても、「病院の心、患者知らず」で、台無しです。皆が、濃い味に慣れてしまっていることも、病院食がまずいと感じる一因でしょう。

 だいたい、以上のようなことが、病院食をまずくしている理由だと思います。

A. ざ〜さんから

 そーかなあ?
 私は医者ですけど、若い頃から当直のときや、夜遅くなるときにはよくお余りを頂戴しました。もちろん検食(病院の食事は、毎食医者が食べてチェックしなければならない)のときには病院食を頂きます。美食とはいきませんが、普通の食事だと思いますけどねえ。贅沢なんじゃないですか。
 それに、病気のときって食欲が落ちますから、印象悪いんじゃないですかねえ。
 ただし、病院食は普通食でも食塩量が1日10gまでと決められているから、薄味になれてない人は食べにくいのかも知れませんね。

A. 幸喜さんから

 病院食はどうしてまずいのかにお答えさせてくださいな。
 私は地方の大きな病院の給食室に勤務しています。もう4年目ですかね。献立は管理栄養士さんや栄養士さんが悪戦苦闘しながら、おいしい食事を出せるように考えて作ってくれます。
 料理は糖尿食とか腎臓食は栄養士さんが。調理師もたまに作ってますがw。そして、普通食は調理師が主に作っています。
 やはり糖尿食なんかはカロリー制限と塩分制限があり、大体7gまでに抑えていますね。塩分を抑えるために、朝だけ味噌汁がついて昼、夕はフルーツがついたりしてます。
 普通食は塩分制限が10gになっていて、こっちは朝は味噌汁、昼夕どちらかが汁、どちらかはフルーツとなっています。
 普通食は朝はご飯とパンから選べ、昼夕も患者さんが食べたいほうを選ぶことができるようになってます。肉、魚どっちかとか。
 こってりしたものはないと思われがちですが、うちの給食では、カツ丼、天丼、天ぷら、ハンバーグ夏には蕎麦なども出しています。正直そういうメニューの日は大変で皆走り回ったりしてますが、おいしいご飯を提供したいという気持ちの下、頑張っております。
 カツ丼や天丼は糖尿食の方にも提供しますが、1600キロカロリーの方ぐらいまでで、1400、1200キロカロリーの方には違うメニューになってしまいますね……。
 そして、どうしてまずいのかっていうと、味の薄いご飯に食べなれてないからっていうのが大きいと思います。私はこの職場に入って4年ですが、味覚も変化したみたいで、我が家のご飯の味付けが濃く感じてます。だから1週間、2週間の入院ぐらいじゃまずく感じるんじゃないかなと思いました。
 患者さまの味覚もいろいろで、「いつもおいしく頂いてます」というメッセージをくださる方もいれば、「すごくまずかった!!」というメッセージを残す患者さまもいらっしゃいます……。

A. にゃこさんから

 昨年から今年にかけて入院していました。病院の立場で推測してみます。

1.予算がかけられない
 病院が患者1人に対し1食提供すると、640円の収入となります(うち患者負担分260円)。1日1920円です。
「うちは家族4人で一日あたりの食費はこのくらいだが、あんなにまずくない」「町の食堂に行けば、そのくらいの値段でもっとおいしいものがあるよ」
との声が聞こえてきそうですが……。

2.配膳まで時間がかかる
 一箇所の厨房で作られた食事が患者の元にくるまで時間がかかります。その間に、さめたり、乾燥したりして、おいしくなくなってしまいます。どのような料理も作りたてがいちばんおいしいですよね。
 最近は、保温カートを導入するなど、病院側も工夫しているようですが、それでも、おひたしはしなびていたり、りんごは茶色くなっていたり、シチューには膜がはっていたりとしていました。

3.時間との戦い
 患者は出されたものを食べていればよいのですが、作るほうは、短時間に、大量に、そして、各患者ごとに異なった内容の食事をつくらなければなりません。のんびり悠長に「今日は一日かけて煮込み料理を作ります」なんてことはできません。どうしたって、「やっつけ仕事」にならざるを得ません。

4.味付け、だしの問題
 たぶん、ここが皆さんの関心のあるところだと思います。
 市販の食べ物で「おいしい」といわれるものは、塩分が多かったり、脂肪が多かったりします(栄養士に確認しました)。
 病院食は塩分や脂肪を抑え目にしています。それでは、素材の味を生かした献立を、といっても、低予算ですので、たいした食材は使えません。
 また、病院食は「だし」がほとんど出ていませんでした。予算と時間がありませんから、悠長にだしを取っていることはできないのでしょう。
 だしが出ない分、塩分や甘味料を入れてごまかしているようですが、かえっておかしな味になっていました。

5.摂取栄養のノルマ
 一日の取得栄養価はカロリーがこのくらい、脂質がこのくらい……と決まっています。この「ノルマ」を達成するために、変な組み合わせの食事となることがあります。
 たとえば、ごはん、味噌汁、焼き魚、おひたしに牛乳がついてくる、といった感じです。ごはん食に牛乳はないよ、と思いました(中には、食事で出た牛乳を飲まず、おやつにとっておく、という人もいました)。

 長くなってしまいましたが、いろいろ推測してみました。
 学校給食や学食、社員食堂がなぜおいしくないのか、という理由と共通している点もあるのではないか、と思います。
 参考までに、病院食が「物足りない」と言う場合は、看護師に相談すると、ごはんが大盛りや特盛りになったりします。患者の自己負担額は変わりません。ちょっとトクかもしれません。
 一方、各種疾患を持っていると、食事管理料として余計にお金がかかります。私の場合、糖尿病を持っているので、1日350円取られました。余計にお金がかかる上に、一般の人に比べごはんが10%程度少なく、デザートがカットされたりと、なんだか損した気分でした。

アンギラスさん、黒男さん、セブンさん、暗闇料理人さん、29さん、異邦人さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。