--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.580 (2007.02.10)

Q. ようこさんからの疑問

 私の疑問がうまくつたわるかどうかが心配なのですが……。
 羊の毛から糸を作ります。また、カイコの繭から糸をつくります。
 ところが、羊の毛にしたって、カイコの繭にしたって、1本1本は大した長さではないと思うのです。でも、長〜い糸を作ることができているようです。途中で結んでいる様子もありません。
 化学繊維なら長い糸を作ることができるというのが、なんとなく理解できるのですが、
どうして、天然の素材からあんなに長い、また強い糸を作り出すことができるのでしょう? 不思議でなりません。

言われてみれば、不思議です。さて、どうやって糸を作っているのか?(星田)


A. hikkunさんから

 『アルプスの少女ハイジ』で、ペーターのお祖母さんがしている仕事が、糸車で糸を紡いでいるのです。『ああ野麦峠』も、紡績工場に働きに出る女工さんの話です。また、藁から縄を作るのと同じです。
 たぶん全然想像できないと思いますので、科学技術振興機構のサイエンスチャンネル内にある「THE MAKING (126)絹糸ができるまで」を見ていただければ分かるんではないかと思います。
http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B030601&i_renban_code=126

 明治維新を支えた繊維産業が忘れ去られているんですね。
 あまりの衝撃にメールしたんですが、子どものころに祖父さんに縄の作り方を仕込まれたのを思い出しました。祖父さんは小指の半分くらいの太さに均一に作るのに、自分で作ると太くなったり細くなったりで、親指ぐらいになったなぁ。30年ぐらい前なので知らない人がいても当然かも。

A. 異邦人さんから

 ワタから採れる綿糸、ヒツジから採れる羊毛、アサから採れる麻糸というものは確かに長いものでも数m。蚕から採れる絹糸(生糸)は、ちょっと長くて1000m前後。糸を長くしたり、絹糸のように1本では弱いので複数の糸を束ねるためには糸を縒ることが必要です。
 糸を作る「紡績」は古くは人が原料の糸を手で撚って紡ぎました。その後、手回しや足回しの糸繰り車を使うようになり、やがて水力や蒸気機関などを使自動紡績に移り変わりました。

A. Picorinoさんから

 繊維の一本一本を拡大して見ると、絹であれ綿であれツルツルではなく、様々な引っかかりやすそうな凹凸があるのがわかります。
 複数の繊維を寄せ集めて捻り合わせると、繊維同士が摩擦で抜けられなくなります。これが糸です。

A. mogamiさんから

 短い繊維が絡んであるだけです。
 たくさんの繊維が絡むと、摩擦力が大きくて、しっかりとした糸になるわけです。
 吊り橋の巨大ワイヤーも実はそうなんですよ。だから、ワイヤーが伸びるので、定期的に伸びた分を切ります。

A. ごんたさんから

 羊毛やカイコの糸の長さがどれぐらいなのかは別な方にお任せするとして、糸の作成方法を説明します。
 素材となる繊維を何本か束にして、それをより合わせていくのが基本的な作り方です。
 束ねた繊維の一本の長さまで来たら、新たな繊維を継ぎ足していきます。束ねる繊維の本数は数十〜数百になりますし、一本一本の繊維は長さがまちまちですから、同じ所で繊維が終わりになることはまずあり得ません。出来上がる糸は相当長い糸になります。
 とはいっても、実際には繊維の強さにもばらつきがありますし、何本かが同時に無くなれば強度も落ちるでしょうから、無限の長さとまでは行かないでしょう。
 実家の近所に製糸業を営む家があって、よく遊びに行って見学をしたり、手伝いの真似事をやったことがあるのですが、そういう糸切れが発生する前に糸巻きが定量に達してしまい、取替えのために切らざるを得ないことが多かったと記憶しています。

A. YOSHYさんから

 ご質問の趣旨が天然の「短い繊維」をいかに長い糸に作り上げるかということとして、情報提供します。
 一言で言うと、「紡ぐ」のです。
 天然の繊維というのは、表面に節があり(動物の場合は、キューティクルというらしい)、うまく束ねるとほどけないで長い「糸」にすることができます。
 視覚的にわかりやすい例としては、藁縄をなうというところでしょうか(若い人はわかりにくいかもしれませんが、神社等の特大のしめ縄を想像してください)。
 なお、生糸の原料たる繭を形成する繊維ですが1000mくらいあり、「短い」とはいえない長さのようです。

A. イブパパさんから

 元々の繊維は短くて弱くても、より合わせながら継ぎ足していけば長くて強い “糸” になります。絹糸は数十個の繭糸をより合わせたものです。
 藁から縄を編むシーンをときどき見かけますが、原理は同じです。数本ずつをより合わせ、途切れる前の途中で数本ずつの追加を繰り返して作ります。より強い物にするには,編んだ細い縄を数本より合わせます。
 化学繊維も非常に細い繊維をより合わせています。初めから太いと、硬くて柔軟性が得られないからです。アクリル繊維と水族館の水槽面のアクリル板は、基本的には同じ素材です。
 絹糸を作るシーンは、「ああ,野麦峠」が印象深かったなぁ〜。

A. 舞武さんから

 一本一本は、確かに大した長さではありませんが、それを繋げるために、結ぶのではなく縒って(よって)います。単純に言えば、捻っていると捉えて頂ければよいかなと。
 試しに、ティッシュペーパーを縦に5〜10分割くらいにしてください。そして、その内一つを端から丁寧に捻っていってください。で、残り3分の1くらいの所から切れ端を一つ重ね、一緒に捻っていきます。
 それで、また追加した切れ端の残り3分の1位になったら1枚を追加して……、とやっていくと、切れ端1枚の長さよりもはるかに長い紐が出来るはずです。丁寧に捻ってあれば、それだけでも結構な強度がありますし、一度に捻る枚数が多ければ多いほど強度も増します。
 糸はこの構造を、もっと細い物を大量に使って実現していると考えて頂ければよいんじゃないかなと。
 なお、長さに関しては大元の繊維は大量にあるので、縒っていれば勝手に繋がっていってくれます。
 それと、蚕だけは元の糸の長さは短くありません。蚕の繭はたった1本の糸から出来ており、ほどくと1000m以上になります。絹糸は、これら一本一本を縒り合わせることで作ります。

A. アンギラスさんから

 天然繊維には「羊毛」「綿」「絹」などがありますが、繊維製品のおよそ1/3を占める代表的な繊維「綿」について、
 綿の繊維として利用している部分は、綿の種子の表面の細胞が変化したもので「ちくわ」のような形をしていて、一般的な「ラプランド綿」は、平均で長さが25mm位で直径は30μm(マイクロメートル)位です。
 高級品である「海島綿」は繊維が長く布にしたとき、柔らかな感触があり、繊維の短い「アジア綿」は布団などに利用されます。
 さて、綿の繊維の一本一本は全体的に「よじれた」形になってます。「よりをかけ」捻りながら引き出すと、これらが絡み合って文字通り「糸を引く」ように糸になって行きます。
 すなわち、一本一本の繊維の摩擦力が「綿糸」の強さを支えているわけです。おそらく、羊毛も短い羊の毛が絡み合って長い糸になっていると思います。
 ただ絹の場合は全く違っていて、細いパスタを束ねたような構造で、全体は直径30μm位ですが、とてつもなく長い「一本」の細い繊維で出来ています。一つの繭から取り出せる糸の長さは、なんと800〜1200mもあります。 

麻生有美さん、るねぞうさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。