--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.581 (2007.02.17)

Q. Julianさんからの疑問

 Windows95からパソコンを本格的に使い始めました。
 いまだに使う前にいちいち基本ソフトを立ち上げ、終わると「仕舞う」。なぜこんな面倒な手続きがいるのでしょうか?
 パソコンとて、今や電化製品の一部。
電源のオン・オフですぐに使えて、すぐ切れる、というふうにはいかないものでしょうか?

Vistaがでましたね。
 ノートパソコンはレジューム機能がありますから、デスクトップの話ですよね?
 私は、MS-DOSの頃から本格的に使い始めました。
 Windows3.1が出た頃には、まだ、MS-DOS。
 Windows98が出た頃に、まだ、Windows95。
 WindowsXPが出た頃に、まだ、Windows2000。
 今年に入って、ようやく、WindowsXPに乗り換えました。(星田)


A. にゃこさんから

 20数年前、パソコンが出た頃は電源オンですぐに使えました。それならなぜ今は時間がかかるようになってしまったのでしょうか。
 ROMカートリッジ式ゲーム機(ファミコン、Nintendo DS等)なら、カートリッジを挿せばすぐにゲームで遊べます。CD−ROMやDVDを使ったゲーム機(PSシリーズ等)は、ゲームで遊べるまでしばらく時間がかかります。
 なぜ、ROMカートリッジ式ゲーム機は、すぐにゲームができるのか? それは、ゲームソフトがROMという半導体メモリに記録されており、ソフトの読み出しが速いからです。
 一方、CD−ROM等を使ったゲーム機はゲームソフトをセットし、「ロード」してからやっと使えます。CD−ROM等に記録されたソフトをゲーム機に内臓されているメモリに読み込まなければならないためです。
 それと同じことがパソコンにも言えます。昔のパソコンは、OSは内臓のROMメモリに格納されていました。今のパソコンのOSはハードディスクに格納され、それをメモリに「ロード」してからOSが起動します。
 では、「ハードディスクなんてやめて全部メモリにすれば良いではないか」と思うかもしれませんが、コストがかかります。
 1万円で、ハードディスクなら300GBのものが買えるのに対し、半導体メモリでできたSDカードは4GB程度のものしか買えません。
 メモリとハードディスクの容量あたりの単価はハードディスクの方が安い上、単価の下落もハードディスクのほうが激しいので、当分今のような状態が続くと思います。

A. 4児の父さんから

 一言で言えば、製品としての設計思想の問題でしょう。
 最近はめっきり見なくなりましたが、20年以上前に、ワープロを使っていました。これも、広い意味では、コンピュータの一種と言ってよいと思います。
 このワープロは、電源を入れるだけで、すぐに使えました。その意味では、完結した製品です。
 ところが、このワープロ、完結しているものですから、最初からプログラムされた機能しかありません。すなわち、全く拡張性がないのです。
 一方、パソコンは、ハードウェアの上に、オペレーティングソフト(OS)を乗せて、そのまた上に、アプリケーションソフトを乗せるという、多段階の構成にすることで、わざと完結させず、自由度を上げ、拡張性を持たせたということでしょう。その分、面倒くさくなってしまいましたが……。
 昔のパソコンは、パソコン本体を購入後、まず自分でOSを選んだり、非常に限られた容量、機能の中で、自分が必要と思うアプリケーションソフトをインストールしたり、削除したりしたので、まさに自分がこしらえた自分のパソコンという感じがありました。
 ですから、まずOSが立ち上がって、次々に様々なソフトが立ち上がって行くのは、当たり前と思っていました。
 今のパソコンは、使い切れないくらいの大容量を誇り、購入したときから、OSはもちろん、基本的なソフトがインストールされていて、家電化してしまいましたね。

A. YOSHYさんから

 これについては、専門家の方が回答を多数寄せられると思いますが、基本的には、汎用プログラムおよび汎用の環境の中で使えるようにするための「必要悪」です。
 昔、「ワープロ」などというものがあり(実は今も使っています……)、今もゲーム機(ファミコンの流れをくむもの)がありますが、これらもれっきとしたコンピュータ(専用機)です。
 しかし、入出力環境、プログラムともそのマシン固有のものであり、他のものは使えません(たとえば、プレステ用のソフトは任天堂の機械では動かないでしょう)。
 すなわち、マシンを動かすプログラムというのは当然にして企業秘密ですから、100の企業の作ったマシンには100種類(以上)のプログラムが必要になり、それで動くアプリケーションは同じことができるものであっても、100種類のバリエーションが必要となってきます。
 それに対し、通常のコンピュータを含む汎用機メーカーでは、一定の汎用基本ソフト……、今はWindowsとかMacとかLinuxなどのごく少数のプラットフォームで動かせるとしたら、100種類のマシンのメーカーがあっても、数種類のバリエーションを作るだけで広く利用可能になるわけです。
 また、使用環境にあっても、いろいろなデバイスを増設したり、使い分けたり自由に変更することを前提としているため、最初に電源を入れたときに、または途中で入れ替えたときに、その都度システムプログラムの変更を行っているはずです。
 長くなりましたが、今の汎用機は、電源を入れると、そのマシンの専用プログラムを起動して汎用プログラムが動くようにし、汎用プログラムをロードし、パソコン本来の汎用プログラムを動かすという三階建ての仕組みになっています。
 難はプラットホームが巨大すぎるのです。まるで、日帰り旅行に一年分の衣食・身の回り品を持っていくがごとくです。

A. shionさんから

 確かに、パソコンの起動や終了には時間が掛かります。
 その時間に何してるのかというと、起動時はいろんな常駐プログラムの起動、接続されている機器の認識等をしています。終了時には、それらの終了処理、データ保存等を行っています。
 起動した直後、何も動いてない状態でCtrl+Alt+Delキーを押して、タスクマネージャーを開いてプロセスのタブを見てもらえれば、何もしてなくても、どれだけのプログラムが動いているか確認できます。
 あと、パソコンが普通の家電と大きく違うことは、「記録する」ことです。これが、すぐに電源を切ることを難しくしています。
 記録中に電源を切られた場合、そのデータは途中までしか書かれないため、データとして使えないものとなります。だから、電源を切る際は、その旨を全てのプログラムに伝えてプログラムに終了してもらう必要があるのです。また、ハードディスクの構造上、急な電源断はディスクを傷つける原因となります。余談ですが、ハードディスクレコーダーがすぐに録画開始したり、終了したり出来ないのも同じ理由です。
 電源オンオフですぐに使えて、すぐに切れるパソコンですが、出来ると言えば、条件付きですが現状でも出来ます。プログラムのインストールが出来ない特殊な手順が必要だったり、データを書き込んでも記録しなかったり、コンパクトフラッシュ等のメモリを利用するので容量が限られていたりしますが……。

A. 岐泊さんから

 以前、NHKテレビ放映『プロジェクトXで見た話では、東大の坂村健博士提案(1984年)のコンピュータOS「トロン(TRON)」で動くパソコンなら、電源入れりゃすぐ使えるらしいです。うらやましいですね!
 トロンとは、現在世界的に普及しているMS社のOSとは開発志向から異なる、様々な優れた特徴を備え今も進化し続けているコンピューターOS仕様です。残念ながら日米政治の事情もあってパソコンとしては普及しませんでしたが、トロン組み込み製品は現在、自動車や家電など様々な生活機器に及んでいます。それらはむろん起動後すぐ利用できます。
「起動後使えるまでしばし待つ」は現在普及しているパソコンの特徴ではあっても、パソコン一般の特徴とまでは言えないのかもしれません。

麻生有美さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。