Q. 横井さんからの疑問
新聞に掲載されている小説のことで、教えてください。
掲載されている紙面の広さは、毎回同じくらいですよね。その中で、毎回、読者を飽きさせず連載を続けるのは、並大抵ではないと思うのです。
たまには、紙面が埋まらなかったり、紙面をオーバーしたりすることもあると思うのですが、そのあたりはどうやってクリアしているのでしょうか?
ほかに、連載小説のならではの、裏話などを教えてもらえるとうれしいです。
★小説は、ミステリー小説ぐらいしか読まないのです。(星田)
A. 麻生有美さんから
小説コラムに書いているのは、プロの小説家です。字数を合わせるのは当然できなければならない技能です。コラム内に納められる技能が無ければ、小説家でないとも言えます。
「プロを舐めるな!」ということですね。
A. こじまさんから
実際に連載を持っていらした方に聞いてみました。
紙面が埋まらないとか、足りないということはまずないそうです。理由は、
「プロだから」。
その方の場合は、
1.依頼の打診が合った時点で、構想を作り、担当者とすり合わせておく。
2.引き受けた時点でプロットを作り上げる。
3.おおまかに「この月はこのあたりまで」「次の月はこのあたりまで」話をすすめるという「全体設計」を作る。
4.あとは何となく。ということのようです。
新聞連載で困るのは、現代が舞台の小説のばあい、連載の最初に設定した社会情勢が途中で変わってしまうことだそうです。
同じ紙面に最新の情勢が載るだけに、過去の設定を引きずる訳にも行かず、しかし、変えてしまうとストーリーも変えなければならないというジレンマに陥ります。だからできるだけそういう要素は始めから排除しておくのが大事なようです。
また新聞小説の楽しみに「挿し絵」があります。むしろ、小説家よりこっちの方が大変なようです。遅筆の作家の場合、掲載の日が迫っているのに文章が上がらず、挿し絵画家が冷や汗をかくというのはよくあるようですね。
池波正太郎は「画家に迷惑をかけちゃいけない」と必ず一日早く、原稿を上げていたようです。
私の美術学校時代、著名な洋画家である教授が挿し絵を担当していました。毎回毎回、絵を作っていくのは、いかに先生といえど大変らしく、時折、学生が描いていたモチーフが紙面に登場していました。「あ、今日はおれのモチーフだ」「先週のは僕のらしいぞ。」とみんなで笑いあったものです。
心の中には先生に認めてもらえたような誇らしさと、たとえモチーフだけでも、自分の意志が入ったものが新聞に載ったうれしさがありました。25年ほど前ですが、まだまだおおらかな時代だったのですね。
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