--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.595 (2007.04.24)

Q. Hoshiyanさんからの疑問

 オーケストラの演奏を見ていていつも気になるのが、シンバルやトライアングルの演奏者です。
 失礼な言い方かもしれないのですが、
他の楽器の演奏者に比べて、楽なのではないかな……と、感じてしまいます。
 きっと、シンバル担当、トライアングル担当なりの難しさがあるのだと思うのですが、そのあたりを知りたいのです。
 ご存じの方、よろしくおねがいします。

音程のない打楽器ですよね。
 確かにマスターするまでにかかる期間は短そうに思えますが……
 実際はどうなんでしょうね。(星田)


A. ELFさんから

 直接の解答にならないかもしれませんが、以前テレビで、偽者を当てる番組をやっていました。
 プロのトライアングル奏者の方が出ていました。で、偽者でないことをアピールするために、演奏されていたのですが、ちょっとやそっとの練習ではたどりつけないぐらいレベルが高かったです。

A. 麻生有美さんから

 シンバルは、主に待ち時間が大変と言います。
 演奏法に付いては、擦るようにして音を出したり、下から上へ手前から前へと、意外と多くの演奏法があります。
 最も苦労するのが、音を止める方法です。大抵は、脇にくっつけて音を消すのですが。それを静かに下に置くのが、またむずかしいと言ったところですね。
 音楽の、臨場感を出すのに、必要な楽器です、手を抜いてもよいものではありません。

A. ごんたさんから

 私は吹奏楽をやっていましたが、シンバルやトライアングルのようなパーカッション担当では無かったので、傍目からの意見になります。
 綺麗に音を鳴らすというのはどのパートでも同じですが、パーカッション(打楽器)系の楽器は、音程のごまかしが出来ない分、タイミングがものすごく重要になってしまいます。他の楽器よりずれが分かりやすいので、その辺に神経を使うのではと思います。
 ただ、肉体的な疲労度の面で言えば、かなり楽だとは思いますが……。

A. たっちゅ♪さんから

 私は高校の頃、ブラスバンド部に所属していました。と言っても打楽器(パーカッション)ではなくクラリネットでしたけどね。
 実際に吹奏楽をやって、耳が慣れてくると判るのですが、トライアングルもシンバルも、叩き方や叩いた後の処理によって、音の大きさや響き方に違いが出ます。もちろん、その他の打楽器(ボンゴ、コンガ、ティンパニー、スネア、バスドラムetc...)も全て上記に該当します
 トライアングルであれば、強弱はもちろんのこと、叩く場所(真ん中、角)、叩く棒の素材や角度、叩いた後の処理として揺らしたり手で押さえて音を止めたり等で、聞き手に対する印象がガラリと変わります
 次にシンバルですが、実はかなりのクセモノです。
 実際に持ってみると判るのですが、意外と重量があります。そして叩くときは、両手に持っているシンバルが二枚貝の如くきっちり合うように叩かないと綺麗な音が出ません。
 また、真横から合わせるように叩くだけではなく、斜めから擦り付けるように(上手いたとえが見つからないのですが、火打石みたいな感じです)鳴らしたり、片方を胸に当てて音がスタッカート(すぐに音を停止させる)になる状態で鳴らしたり等、叩き方もいろんな種類があります。
 叩いた後の処理としても、すぐにシンバルを開く、ゆっくり開く、叩いた状態のまま止める等、こちらもまたバリエーションが豊富です
 トライアングルは曲の静かな部分、シンバルは曲の切り替わりや終わりなど、要となる部分でよく使われるのですが、ここでミスってしまうと曲全体に影響しかねない悪い印象を聞き手に与えてしまいます。トランペットやクラリネットなどが1箇所ミスった程度では、そこまでの悪印象になりにくいんですけどね。
 パーカッションでは、出番が少ない分、確実にポイントポイントでやり遂げる必要がありますから相当緊張しますし、それ相応のスキルを要求されます。一箇所しか出番のないシンバルなどをミスると本気で凹みますよ(笑)。
 余談ですが、パーカッションは他の管楽器や弦楽器と比較した場合、出番の少ない楽器が多いですから、一人の奏者が複数の楽器を掛け持ちしていることもよくあります。

A. こじまさんから

 オーケストラにシンバル、トライアングルの専任担当がいる場合は、ほとんどないと思います。普通「打楽器」担当です。大学の音楽学部でもたいてい「ピアノ専攻」や「バイオリン専攻」などに対して「打楽器専攻」です。
 打楽器は、叩けば音が出るから簡単と思われがちですが、実際、プロと素人とが叩く音はまったく違います。
 オーケストラの中で打楽器を鳴らすというのは、専門的な訓練をうけていないとできるものではありません。 オーケストラの音量と迫力は相当なものです。その音に負けずに鳴らすのは、かなりの技術が必要です。
 たとえばワーグナーの『ワルキューレの騎行』は、大音響で攻め立てるハードロックのごとき曲ですが、トライアングルが効果的に使われています。分厚いホーンセクションの音の中、トライアングルを正確に観客の耳に届かせるのは、高い技術が必要です。また打楽器にもチューニングも音階もあります。
 オーケストラの打楽器奏者の条件は……、

1・当然、オーケストラ譜が読める。
2・指揮を理解できる。
3・楽器のメンテナンスができる(シンバルやトライアングルなど、実はとても繊細な楽器です) 
4・姿がいい(出番でないとき、姿勢を崩さず格好よく待つのはプロフェッショナルな技術です) 
5・音色で「感情」や「情景」の違いを出せる。
6・鳴らすだけでなく音の「消え足」(余韻のフェードアウトの長さ)のコントロールが自在にできる。
7・自在に変拍子が打てる

などがあります。
 また、微妙な「間」は譜面に表現できませんから、演奏の中で直感的に最適な「間」をはかるのは、極めて高い音楽的感性が必要です。
 私は音楽学部のある大学に通っていましたが、よく打楽器専攻の学生が、練習でひとつ叩いては5分も10分も考え込んでいるのを見ました。それも当然なのですね。実はとても難しいのです。
 ちなみに同じオーケストラの同じ階級の団員であれば、長いソロを取るバイオリニストやずっと弾き続けているチェリストも、シンバル奏者も、出演料は基本的に同じです。音楽への貢献は同じ、ということでしょう。ただ、打楽器奏者はスタープレーヤーになるには不利ですね。
 オーケストラで一般客が打楽器に注目して聞くのはシュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』とラベルの『ボレロ』くらいではないでしょうか?
 でも、最近では、オーケストラを離れて『ブラスト!』や『バチホリック』のような打楽器パフォーマンスも人気があり、打楽器の新しい可能性を感じています。
 また、ビートルズなどはクラシック系の打楽器を印象的に使っています。『Every Little Thing』のティンパニは典型的だと思います。ファンの方は改めて意識して聞いてみてください。

A. さやかさんから

 私は、3年間吹奏楽部で打楽器をしていました。この間、いろいろな楽器をやってきました。ドラム、バスドラム(大太鼓)、スネアドラム(小太鼓)、マリンバ(木琴)、グロッケン(鉄琴)、ティンパニ、マラカス、トライアングル、タンバリン、シンバル……等。
 私がやってきた中でむずかしかったのは、マラカス、シンバル、トライアングルです。
 この3つの共通点は、指揮と楽器の音が出るタイミングを合わせるのが難しいということです。
 マラカスは中の砂を指揮と合わせて音を鳴らすのがとても難しいです。ただ振るだけではダメなんですよ;
 シンバルはとても重いので長時間持っておくのも大変です。しかも重いために指揮とのタイミングを計るのも難しいです。
 それと、シンバルは演奏中少ししか出てきませんが、その一音一音が目立つのでとても重要な役割で、指揮とのタイミングを間違えたりすることは決してだめです。
 シンバルは音の大きさを変えることがとても大変です。大きい音でたたくのはわりと簡単なんですが、あのような大きな楽器で、小さい音を出すのは容易ではありません。
 トライアングルも、持ち方、構え方等があり集中がいる楽器です。私が教えられたのは、三角形から指揮が見えるようにに覗きこんでやります。トライアングルは叩いてからすぐバチを放さなければ音がこもり、響きません。だから集中力が必要になります。
 トライアングルやシンバルには他の楽器と違って音程はありませんが、他の楽器より集中力が必要となります。音を出すタイミングが他の楽器よりとても難しいです。

A. へろへろさんから

 アマチュアで吹奏楽・オケを若干やってたのですが、トライアングルとシンバルは、下手な人がやるとマトモな音がしません。
 まずシンバルは、両手に持った二つの金属板を合わせることで音が鳴るのですが、合わせる瞬間に空気が入ると「ばふ」という間抜けな音しかしません。
 また、二つの金属板がくっついている時間が長すぎると、金属の振動を殺してしまいます。
 楽器自体が結構重いので、正確なタイミングでまともな音色を出すだけでも結構練習が必要なのです。
 また、音を「キレイに止める」技術も必要で、下手な人がやると「じゃ〜んぎゅむ」てな感じに悲惨なことになります。複雑なリズムの場合、

  音を出す→止める→出す

のコンビネーションを適切に繰り出すのはかなり難しいです。
 しかも、音色的に一撃必殺の効果があるので、音楽全体をたった一人で台無しにする恐れがあります(打楽器は多かれ少なかれそういう面があります)。
 音楽全体を理解し、その場で必要な音色を考え、適切なタイミングで適切な音を出すのにはそれなりの実力が必要です。
 トライアングルも同様に、まともな音を出すのは案外難しい。下手な人だとトライアングルをきちんと振動させられずに「ち〜ん」という悲しげな音がします。澄んだ音を出すにはそれなりに実力が必要です。
 また、トライアングルを叩くのに使う金属の棒(ビーターといいます)を使い分けたり、トライアングルのどこを叩くかによって、音色を使い分けることができるので、適切にそれらを使い分ける能力も必要とされます。
 あと、シンバルより複雑なリズムをすることが多いので、

  音を出す→止める→出す

のコンビネーションはこっちの方が難易度が高いです。
 あと、打楽器は叩けば叩くほど当然壊れていくので、その辺のメンテナンスも奏者にゆだねられております。中学校の吹奏楽部でもはや単なる金属ゴミと化したシンバルを使い続けている……なんてよくある話です。
「叩けば音が出る」と「音楽で使える音を出す」のは全然違うんです。日常で「下手なトライアングルと上手なトライアングル」あるいは「下手なシンバルと上手なシンバル」を聴き比べる機会なんてあまりないので、見た目簡単な楽器の難しさって想像しにくいんですよね。実は大太鼓なんかもかなり難しい楽器です。

A. 前田憲男さんから

 これらの楽器は「打楽器奏者」が担当します。
 ところで、打楽器奏者はあらゆる打楽器の知識が必要です。たとえば、ティンパニー、グロッケン、シロホン、マリンバ、チューブラベル、スネアドラム、ラテンの小物等無数に存在します。
 演奏面から言いますと、指揮者の指示通りに音を出すタイミングが非常にむずかしく神経を使うのです。特にシンバルなどはクライマックスにドンピシャのタイミングで入らないと全体がメチャクチャになります。このプレッシャーは、相当なものだと聞いています。
 まあ、トライアングルだけ叩けてもオーケストラでは絶対に使ってくれません。アマチュアのブラスバンド辺りなら何とかなるかも。

4児の父さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。