Q. elmoskatesさんからの疑問
地球の中心に向かって重力という力が作用しているのはよく知られていますが、ここで1つ疑問が浮かびます。
もしもマントルだの溶岩だの考えずに、地球を1つの巨大な岩石と考えて、ビーズのように表面から反対側まで一直線の穴を通すとします。その中に飛び込んで地球の反対側へ落ちていくと、「地球の中心」ではどのような重力が作用するのでしょうか? 地球の真ん中で止まるのでしょうか?
★マンガではよくありますが、実際はどうなるのでしょうね。(星田)
A. しげ3さんから
地球に穴を開けて反対まで落とすという質問ですが、やったことはありませんが(笑)、たぶんこうなるのではないかと思います。
イメージとしては、ブランコが自然に止まるように、落としたときには、反対側の少し手前まで行き、戻ってきて、また少し手前まで行き……、となって最後には真ん中で止まると思われます。
A. ごんたさんから
簡単に説明すると、振り子のような動きをすると考えてください。
振り子の両端が地球のうらおもて、振り子の中間地点(最下部)が地球の中心と考えればよいのです。最初は上下に移動を続けますが、次第に振れ幅が狭くなり、最終的には中心で止まってしまいます。
中心から逆向きに作用する重力だけでなく、空気抵抗なども振れ幅を小さくする要因ですが、抵抗をゼロにしたとしても、反対側から飛び出してどこかに飛んでいく、というようなことはありえないでしょうね。
A. Julianさんから
空気抵抗の有無で回答が異なります。
マントル、溶岩を無視するとの前提でのご質問ですが、穴を開けるのに支障があるかないかの前提と捕らえました。天体の内部構成は、天体の質量、つまり重力に影響しますので、計算上は現在の地球と同じ条件で考えます。空気抵抗を無視した方が力学上簡単ですので、そちらから説明します。
落ちた人は永久に往復運動を繰り返します。穴に飛び込むと中心地点までは重力の影響でどんどん速度を上げて落ちて行きます。
中心地点では、人工衛星を打ち上げるのに必要な秒速約8km(時速28800km)に達します。あまりにも「落下」速度が速いため、重力はその人を引き止めることができず、中心地点を越えても今度は反対側の穴の出口へとまた「上がって」行きます。
中心地点を超えると、重力に引き戻され速度は徐々に弱まります。そして、落ちた標高と全く同じ標高の地点まで上がります。たとえば、エベレストの頂上から落ちたとすると、南米チリ沖約1500kmの南太平洋上の海面から9000m近く上空まで舞い上がってしまいます。ここが興味深いところです。
出口で誰かに捕まえてもらえないと、また中心地点に向かって落ちて行き、入り口まで戻る、の繰り返しです。これが永遠に続くわけです。入り口から出口を経由して、また入り口に帰って来る「往復旅行」にかかる時間は84分24秒です。
空気抵抗を考慮した場合は、往復運動は次第に弱まり、最後には中心地点で止まってしまいます。
A. とんとんさんから
これは昔からある物理の問題で、厳密な話はけっこう難しいようですが、「空気抵抗を考えない」「地球の密度が一定である」という仮定をするとかなり簡単な話になり、高校の物理程度の問題になります。 むかし、次のような文を書いたことがあります。
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落下運動だから、穴を落ちていくとどんどん速くなっていくね。
でも、地球の中心に近づくに連れて、引力はだんだん減っていくんだ。そのわけは、地球の内部だと、自分より地球の中心側にある岩石からの引力は減るし、自分より外側の岩石からの引力は打ち消しあうし、という事情があるんだ。(球殻状の物体の内部では引力が働かない、というのは積分計算で示すことができるのですが、ここでは省略)
それで、地球の中心では引力は0になるんだが、ものすごいスピードになっているので、そのまま中心を通り過ぎてしまう。その後は引力がだんだん増してくるので速度は落ちてきて、空気抵抗などがなければ、反対側の地上に達したところでぴたりと速度が0になる。
このとき受け止めてやらなければ、また穴の中におっこちて元の地上までもどってしまい、この振動はずっと続くことになる。
なんだかばねにつけた物が振動するのと似ているね。地球の内部の密度が均一ならば、本当にばねの振動と同じになるんだよ。
地球の反対側までいくのに、どのくらいの時間がかかるって?
面白いことに、地上すれすれを回る人工衛星の周期と、地球貫通トンネルの中で振動する物体の周期は同じになるんだ。片道40分とちょっとかな。
これを利用すれば、地球の反対側まですごく短時間でいけるね。しかも、特別な動力は要らない……。
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A. picorinoさんから
地球に反対側まで穴を開けることができるかどうかは別にして、できたとしましょう。
穴の中が真空で空気抵抗や摩擦が無いとします。
落とした物体は、重力加速度によって物体はドンドン加速しながら落ちていきます。地球の中心点で最大速度になり、今度は重力加速度によって減速しながら上昇(向こう側から見ての話になりますが)します。そして、ちょうど地面に達する点で速度はゼロになります。
放置すれば、この往復運動を繰り返します。その周期は、地球半径の長さの振り子の周期(シューラー振り子:周期約84分)に等しいそうです。
同様のことが、地球中心を通らなくてもおきます。
たとえば、東京から真っ直ぐ福岡へ向けて穴を作ると、穴は地面から徐々に深くなり中間点で最深となって、だんだん浅くなっていきます(丸いスイカの端っこを切ったとして、表面が地表、切った面にトンネルがあると考えてください)。
ここにモノを落とすとして、抵抗摩擦無しと仮定すれば、同じ周期で往復運動をします。もちろん、最大速度は、地球中心を通るものよりずいぶん遅い。交通機関をこういうふうに作ると、燃料費はかかりません(実現するとしたら、摩擦とか抵抗に対する分が少量必要)。もちろん、トンネル建設費がムチャクチャかかりますが……。
★bluestarさん、くやっちさん、SZLさん、S31さん、瀬川さん、ZZZさん、しょうごさん、4児の父さん、アンギラスさん、麻生有美さん、熱田さん、YOSHYさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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