Q. うっきーさんからの疑問
東京のごみ埋立地の代名詞といえば「夢の島」。でも、今では立派な公園になっていて、ごみの埋立地(処分場)はそこから随分沖合いにあるようです。
そこで疑問なのですが、どこまででもごみなどを埋め立てていっていいのでしょうか? 日本の面積は広くなって、バンバンザイってわけにもいかない気がするのですが……。
日本中で埋め立てしたら国土が直線的になってしまいますよね。
★日本の最南端、沖ノ鳥島が浸食でなくならないように、護岸工事が施されています。簡単に「埋め立て」という方法を採らないということは……。(星田)
A. 黒男さんから
回答ではありませんが、すべての陸地を平らにしたら水深800m位の海だけになると聞きかじった記憶があります。
私の推測ですが、埋立地がポンポンと作られない理由は……、
・国際法などで領土の定義があり、領土拡大の制約があるのでは?
・水産資源の確保、水産業に従事されている方の保護の面から簡単にできないのでは?
・日本は地震大国なので、地盤が不安定になりがちな埋立地は安全面から選定、施工に時間がかかり、費用も莫大になるのでは?
もし、埋立地をいくらでも作れたら……、
・大阪〜淡路島あたりは埋め立てられてしまうでしょう
・東京湾をすべて埋め立てて首都機能を集約、旧東京都内は地価が下がり家賃の暴落が起こるでしょう
・今まで沿岸であったために便利であったコンビナートなどは移転を余儀なくされ、莫大な費用がかかり、物価が高騰するでしょう
・韓国あたりとの関係が悪化し戦争が起こるかもしれません。
・ゴミはすべて埋め立て用の資源となり、回収費用が安くなるかもしれません
他にもいろいろ利権やらなんやらがからんで、実現は難しそうですね。
A. YOSHYさんから
規制する法律等を考慮しなければ、単にコストパーフォーマンスの一言に尽きると思います。
夢の島の場合、同じ容量の施設を都内で確保するのと、海を埋め立てるのとどちらが低コストでできるか(その中には、環境被害等の社会的コストも当然含まれていますが)。
あのころは一石何鳥かをねらっていたようですが。
もう都市部の海岸に浅瀬が少なくなった現在、大規模な埋め立てはあまりないと思います。
A. ぎんぺーさんから
なぜ最終処分地を無限に海洋の埋立地に求められないかというと、簡単に言えば、近海の自然破壊につながるからです。ごみというものが、一般的に想像するよりも、毒性が強く、最終処分地が閉鎖的、衛生的なものではないということを考えてみましょう。
普通に考えても、あらゆるところを埋め立ててしまえば、砂浜がなくなります。海水浴も難しくなれば、近海の生態系に大きなダメージが起きます。ましてや、埋立地からは電池に含まれるような重金属も流れ出し、海洋資源が枯渇するに至ります。廃棄物の最終処分地を安易に埋立地に拡大できないのは、このためです。
A. アンギラスさんから
埋立地を広げれば、潮(海流)の流れが変わるし、何より今までそこに棲んでいた海中の生物が壊滅的な打撃を受けますから、良いことではないでしょう。
また、ゴミなどで埋め立てれば、ゴミの中に混ざっているだろう有害物質が海中への流出する危険性もあるでしょう。
埋立地が問題なのは、上記の理由の他に、海岸線を矢板鋼板やコンクリートなどを打ち込んで、船が接岸しやすいような垂直に切り立った形にすると、太陽光線が海岸線のごく上部にしか届かないため海草などが繁殖しにくくなり、それらを隠れ処やエサにする小魚やエビ・貝類などが生息しにくくなります。
そうなれば、それらを捕食する大型の魚も生存できす、海の生態系が保てません。
関西国際空港などは、埋め立てた部分の海岸線に緩やかな傾斜をつけることにより、海岸線の沖の方の海底まで太陽光線が届くようになり、広い範囲で海草が十分繁殖できて食物連鎖の輪が出来上がり、豊かな海になっているそうです。
A. SHOWさんから
某企業で環境に関する仕事をしています。
ご質問の件、もっともです。
一般的なお話を先にすると、現在環境問題として「廃棄物問題」というのがあります。これは、ご存知のように循環型社会を形成するために「資源保護」「リユース/リサイクルの推進」等の観点から排出するゴミを削減しようというものですが、この問題の根源となっているのが、実は「埋立処分場が確保できない」という問題なのです。
ゴミ、つまり廃棄物は、原則としてさまざまな形でリサイクルが繰り返されます。が、最終的にどうしてもリサイクルができないものが残ります。それが「埋立物」と呼ばれるものです。これは「埋立処分場」に持っていって埋め立ててしまうしか方法がありません。この埋立処分場は法律上、都道府県知事の許可がないと設置できません。
しかし、近年、「ゴミ不法投棄問題」や「ダイオキシン問題」、また国民の環境問題への関心の高まり、設置場所の近隣住民の反対などもあって、なかなか許可が下りなくなっているのが現状です。つまり埋立処分場が確保できないのです。
ただ、「埋立処分場」には一般廃棄物だけでなく有害廃棄物も埋め立てられるので、きちんと有害物が地下浸透しないような処置を施したものでないと埋め立てることができません。
そう考えると、法律上、きちんと管理された埋立処分場でさえあればどんどん埋立てることが可能なはずなのですね。ですから、法律さえ守れば、どんどん国土を広げられる……というのは一見可能なように思います。
しかし、現実問題それができないのは、やはり近年の環境問題に対する国民の関心の高さなのでしょうか。もし、何か事故があって、有害物が自分の住んでいる土地、川、井戸水に流れ込めば……と思うと、住民の反対運動も当然と言えば当然です。それが広げられない理由だと思います。
A. Morleyさんから
この問題にしっかり答えると、本が一冊書けてしまいそうです。また、一冊書くだけの知識が私にないのも残念です。
さて、どこまでも埋立ててよいのか?
埋立てをすると、様々なところに影響が及びます。例えば漁師さん(漁業権)、船舶(航路)、あるいは潮流など環境に大きな影響が及ぶ場合も考えられます。
埋立てをするには都道府県知事の許可が必要です。許可受けるにあたっては、そういった様々な条件をクリアする必要があります。その辺りを決めている法律に公有水面埋立法というのがあります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T10/T10HO057.html
東京湾などの場合は、そこで漁業をしている人もいますし、船舶も頻繁に往来しているので、その辺りの調整がとても大変なようです。またゴミを埋立てる場合、環境に対する配慮もより大変なものになることでしょう。
【ここから先はいろいろ複雑なので、ある程度端折った説明になります。】
埋立てをすることによって、領土は増えます。これを「領土の添付」といいます。では、それに伴って領海は増えるのか?
領海は基本的に海岸線より12海里(約22.2km)(排他的経済水域の場合200海里)のエリアを領海としています。
しかし、それは日本の海岸線の形を綺麗にトレースしているわけではなく、基線という領海を定めるための直線的な線を定めていて、そこから12海里を領海としています。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/kakudai/itiran.html
したがって、基線の内側を埋立てても、領海は増えないことになります。
【ここから先は、事実と想像を交えた、いい加減な説明になってしまいます】
日本政府は沖ノ鳥島を島と主張し、そこからの領海と排他的経済水域を設定しています。
一般的に自然現象による隆起などで、満潮時に海面から顔を出している部分を島といいます。
自然現象により海面から顔を出している部分(つまり埋立てて無い部分)が、侵食で海面下に消えてしまうと、そこは島ではなくなってしまいます。
面積的にはちっぽけな存在ですが、それが存在することによって設定される排他的経済水域はとても広く、多額の費用をかけて島を守る意味がそこにあります。
おそらく、大規模な埋立てなどによる地盤沈下などがあって、「島」の部分が海面下に沈んでしまうと、沖ノ鳥島は島ではなくなり、そこから設定される領海や排他的経済水域を失ってしまいます。
イメージとしては、洋上に固定された巨大な船のような建造物のイメージになってしまうのだと思います。
ですから、そうなってしまうと、例えば沖ノ鳥島の近くで石油が発見されたとしても、日本が独占的にその権益を主張することはできなくなってしまいます。
さらに、国際条約上の「島」とは何を指すのかについては、様々な各国の思惑を含めた多様な解釈がある面白い問題なのですが、それこそ本が何冊も書ける程の難しい問題なので、説明は御容赦願います。
|