--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.631 (2007.10.06)

Q. ボストンさんからの疑問

 日本とアメリカの行き来で思うのですが、「日本→アメリカ」の飛行時間と「アメリカ→日本」の飛行時間とでは、アメリカ行きの方が短いです。なぜなのでしょうか?
 偏西風の影響は分かりますが、地球は右回転(東へ向かって)してるので日本行きの方が速くなってもいいような気がするのですが……。

同じ距離なのに、飛行時間に長短あるということですね?
 「日本→アメリカ」の方が短いというのは、知りませんでした。(星田)


A. よしなさんから

 余談ですが、飛行機(B747)の燃費は57m/Lだそうです。
 東京−ハワイで231トンの二酸化炭素が排出されます。人10人が一生かかって呼吸で排出する二酸化炭素の量に匹敵します。

A. やえさんから

 飛行経路の違いもありますが、最も大きな原因は偏西風の影響です。また、偏西風の強さは季節によって変わるので飛行時間もそれに合わせて変わります。飛行機の国際線の時刻表に載っている飛行時間が季節によって変わるのはそのためです。

JALカードのQ&Aのコーナーでも、同様の疑問が扱われているそうですよ。(星田)

A. ぶーんさんから

 実際にアメリカに行ったことはありますが、フライト時間に差があるなんて知りませんでした^^;
 はじめ、地球の自転が影響で、日本⇒アメリカのほうが遅く着くと思い、時間を調べてみたら、逆(アメリカ⇒日本)のほうが早くビックリしました。
 とりあえず、調べるだけ調べてなんとなく答えが見えてきたので、連絡します♪

 まず、 フライト時間と距離を下のようにします。

1)フライト時間について
関空のHPより、
関空⇒サンフランシスコ  9時間46分
サンフランシスコ⇒関空 11時間29分

2)GoogleEarthにて距離を計測
関空⇔サンフランシスコ 約8700Km

「風は地球の自転により西から東へ吹く」ので、関空⇒サンフランシスコの場合、追い風で、サンフランシスコ⇒関空の場合、向かい風である。
 飛行機は向かい風の場合、時速は750km/hまで落ちることがあり、追い風の場合、1200km/hまであがることがある(らしい)。

関空⇒サンフランシスコ の飛行機の時速は
8,700km÷9時間46分(9.76時間)≠891 (時速891km)

サンフランシスコ⇒関空 の飛行機の速度は
8,700km÷11時間29分(11.48時間) ≠757 (時速757km)

 つまり、向かい風・追い風によってフライト時間が左右されるものだと思われます。この現象はサンフランシスコ行きの便にかぎらず、フランクフルト行きの便にも同じ現象が現れました。

A. YOSHYさんから

 海外旅行など行ったことのない身ではありますが、大体次のようなものだと思います。
 前提条件として、燃料時間の節約のために最短距離を飛ぶであろうということです(つまり、帰りは行きと同じ道(?)をたどるということです)。
 ジャンボジェット(だけではないかもしれませんが)は10000m上空を時速800kmくらいで巡航するということですが、「質問」でも指摘がありましたように、風速50m〜100m(時速で180km〜360km)のジェット気流の存在が無視できません。これが追い風になるか向かい風になるかでは、巡航スピードに倍近い差が出ます(もちろん最初から最後までジェット気流に乗るわけではありませんが)。「質問」後半に地球の時点の影響がかかれていましたが、地球の地面だけでなく、大気も一緒に回っていますので、大気圏に存在するものには影響がありません。
 ちなみに、地面だけ回って大気が止まっているとすれば、地上では秒速で460m×cos(緯度)の「風」が吹き荒れ、飛行機が離着陸するのは無理ではないでしょうか。

A. 洞窟ピングーさんから

 この場合の地球というのは、表面の空気もふくめて右回転しているので、飛行機にとって地球の自転は関係ありません。よって、偏西風(ジェット気流)に乗る東行きの方が早くなります。
 同じ理由で日本→欧州より、欧州→日本の方が所要時間は短いです。
 また、偏西風の強さは季節で異なりますので、所要時間の差も季節により異なります。
 ちなみになぜ故風に乗ると速いのかといえば、飛行機の性能(最高速度、燃費の良い速度)は、対地速度でなく、風に対する速度できまります。だから、対気速度の稼げる迎え風で離着陸を行います。

A. MMPAPAさんから

 簡単に言えば、偏西風(その中で強いものをジェット気流)の影響です。
 飛行機は、空中を飛んでいます。その中をエンジンの推力で飛んでいるので、追い風、向かい風の影響をもろに受けます。大体、ジェット気流の風速は高度1万メートル付近で30m/sぐらい。これは時速に直すと108km/h。速いときは、450m/sという観測も有るので、風の影響は一般に考えられるより大きいです。
 この辺は、国内線でも現れていて、福岡ー羽田間では、上り便と下り便で時間が違います。また、日本上空はジェット気流の季節による変動が大きい(冬は比較的強い)ので、時刻表上でも季節により所要時間が異なっています。
 全日空の機長であった、石崎秀雄さんの著書『機長のかばん』によれば、鹿児島から羽田までの便で、時速450キロの追い風の中を飛んだら、土佐清水上空から三宅島まで27分で飛んだそうです。そのときは、
「お客様から早く着きすぎると困る。迎えに来るはずの友人を待たないといけない」
とお小言があったそうです。

A. ワニワニさんから

 飛行機の速度は、地球上の「空気」に対してのものです。日本−アメリカ間も、偏西風が吹いていないとすれば、行きと帰りの時間は同じはずです。
 しかし、実際は、日本からアメリカの方に向けて偏西風(上空ではジェット気流ともいう)が吹いているので、日本からアメリカに行くときの方が、時間は短くなるのです。
 飛行機はあくまでも、「空気に対して」ほぼ一定の巡航速度で飛ぶ物です。だから、地球に空気がくっついて一緒に回っているかぎり、ご質問のような、飛んでいる間に地面が東に動くので西に向かう方が早く着く、というようなことは起こりません。

A. アンギラスさんから

 日本からアメリカへ向かう飛行機の方が速いのは、偏西風の影響によるものです。
 長距離の航空機が飛ぶ高度10000mくらいには、蛇行したりもしていますが、概ね東に向かって常時30m/s以上の強風が吹いていて、航空機の飛行時間に大きな影響を与えます。
 偏西風は季節によって強さや流れる位置が変わり、冬の方が強いので、冬の方が飛行時間の差が大きくなっているはずです。
 ちなみに、日本の梅雨もヒマラヤ(チベット高原)に当った偏西風が南北に別れ、北にオホーツク海高気圧、南に太平洋高気圧を作るために起こります。
 飛行機の場合、地球の引力によって捉えられた大気中に揚力で浮かんでいるだけなので、電車の中のキャッチボールで「進行方向に投げようが逆に投げようが、両者の間を行き来する時間は一緒」なのと同じで、西へ向かおうが東へ向かおうが直接地球の自転の影響を受けることはありません。
 ただ、宇宙へ飛び出すロケットの場合、なるべく赤道に近く標高の高い地点で、少し東向きに発射しています。
 これは、赤道に近いほど回転半径が大きく自転速度が速いので、ロケットの初速に上乗せできる。標高が高いほどロケットを上に持ち上げる燃料が少なくて済む。東向きに回る地球の自転の力を有効に利用できる――などの理由によるものです。

A. Picorinoさんから

 飛行機の西行き東行き問題に補足します。
 偏西風(ジェット気流)の影響だけという論調ばかりですが、他の因子もあります。
「飛行機は地球に対して飛行し、空気の移動(流れ)の影響を受ける」だけと考える人がふつうでしょう。
 実際は、「飛行機に限らず全ての物体は空間に対して運動し、地球の自転の影響および重力の影響と空気の移動の影響を受ける」が正しいのです。
 飛行機は、地球上のある地点の運動と同じ状態から、離陸して巡航速度に達するまでエンジン推力により加速します。
 巡航速度に達したら、エンジンは空気抵抗を相殺するだけの推力を維持し、飛行機は慣性の法則(力が加わらなければ速度は変わらない)で速度を維持します。
 飛行機は、宇宙空間に対して一定方向に飛ぼうとします。その方向に地球儀に接線として物差しをくっつければわかるように、地球から離れる方向となりますから、それは地球の重力に逆らう方向、つまり上昇方向です。
 しかし、一定高度を維持するのが飛行機の要件ですから、徐々に下向きに方向を変えながら飛ぶことになります。
 これは、地球に対する遠心力と重力という関係で理解できるでしょう。したがって、東向きに回る地球の上を東向きに飛ぶということは、大きな遠心力が発生し、西向きでは少ない。つまり、飛行機の質量は同じでも、東行きは重量が軽いから燃費がいいのです。コンコルドのような高速機ではこの影響を計算に入れて燃料を算出しないといけません(かなり大きい量となる)。

・コリオリの力について
 飛行機が真っ直ぐ飛んでいるとき、地球は回転していますから、北半球では地球がドンドン左にズレていってしまいます。
 たとえば、北極点上空で真っ直ぐ飛んだと仮定しますと、地球は1時間当たり15度で回転していますから、その割合でズレていきます(日本付近では、8.7度/時)。
 つまり、目的地へ真っ直ぐ大圏コースで飛ぼうとするならば、一時間当たりその度数分だけ左旋回をしながら飛ぶので、飛行機は常に左に僅かに傾いています(南半球では逆)。
 この影響は、距離が延びるという形になりますが、量的に少なく燃料補正が必要という程ではないようです。

 風の影響は多くの方が述べているのが、ほぼ当りです。
 東行きは、なるだけジェット気流のコア(中心)を選びます。日本−北米間では、東京−サンフランシスコロサンゼルス用と、東京−ホノルル用がその日毎に風に応じて設定されます(東京−アラスカ−米国東岸は既存経路群の中から選択するケースが多いそうです)。
 西行きは風を避けますが遠回りになるので、総合的に最短時間で行ける経路を選びます。
 もちろん、上記の目的地別に複数の経路を設定する必要があるため、お互いの横間隔設定上、単独経路として最良の経路とはなりません。そこまで知る必要は無いかも知れません。蛇足かな。

賢さん、picorinoさん、江戸川三連豚さん、異邦人さん、4児の父さん、てくたろさん、Yoshihiroさん、サムサムオさんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。