Q. せいやさんからの疑問
恐竜の足跡の化石について、疑問があります。
恐竜の骨が化石になるのは、なんとなくですが、納得できるのです。「化石」というからには、何か物体があって、それが「石」になるのだと思うのです。
足跡は「跡」であって、「物体」ではありません。
ただ、地面がへこんでいるだけですよ! そんなの風や水の浸食作用で、わからなくなってしまうような気がします。
なのに、それが「発見される」というのがよくわからないのです。足跡の化石は、どうやって発見するのですか?
★浸食作用が影響しないような、何か特殊な状況なのかなぁ?(星田)
A. トンビーさんから
以下、全て推測です。
化石というのは普通は土の中に埋もれているものではないでしょうか。土の中に保護されているから風化しないのであって、もし地上に露出していたら、骨などの固いものでも1000年とかからずに風化してしまうのではないでしょうか。
逆に、土に埋もれてしまえば植物の葉のようなものでも化石になるようです。もっとも、葉の化石といっても葉そのものが化石化しているのではなく、土中で葉が占めていた空間が化石化したというか葉の周りを取り巻いていた土が化石化しているという方がふさわしいのではないかと思うのですが……。
足跡の化石は、足跡が出来た直後に洪水がおきて土砂に埋まってしまったか、火山灰が降り積もったかして保護されて風化を免れたのだと思います。足跡がついた土よりもそれを覆ったものの方がもろければ、足跡の上下どちらも化石化したとしてもそれを分離することは易しいのではないでしょうか。
A. よしなさんから
足跡など物体でないものの場合は、浸食される前に化石になりうる条件になってしまう場合と、浸食されにくい条件の場合の2つがあります。
前者はたとえば足跡の上に火山灰が降り注ぐような場合です。後者はたとえば粘土層の上についた足跡が日光などで乾燥し、その後雨期になって上流から泥や土などが運ばれて埋もれた場合などです。
その他に不思議な化石としては、雨粒の化石というのもあるそうです。これは火山灰が雨粒に溶けたものが化石になったそうです。
ちなみに日本で初めて恐竜の足跡の化石が見つかったのは群馬県の神流町。ここにある恐竜センターでは化石の発掘体験などもできるようです。
http://www.dino-nakasato.org/
A. ヒロシさんから
私は専門家ではありませんので、想像です。
たしかに、ただ単に雨の日や水辺のぬかるみに足跡が付いただけでは、いずれ壊れて形がなくなってしまいますよね。実際、私も今まで土の上などに、数え切れないくらい足跡を付けたことがありますが、今現在すでに残っているものはないです。
昔、刑事ドラマの鑑識さんが、土の上に付いた足跡に石膏のような物を流し込んで型を取っているのを見たことがありますが、恐竜の足跡もその凹んでいる部分に、火山灰などが降り積もったとか、洪水などで元々そこにあった泥とは別の材質の泥が流れ込むなどして、質の違う物で覆われてしまって形が固定され、それが化石となった物だと思います。あの石膏が化石になったような物かと……。
いずれにしても、無数にあったであろう足跡のうち、ものすごい偶然が重なってできたものだろうと思います。
A. ごんたさんから
分かりやすい例で説明します。サンドイッチを思い浮かべてください。パンの間に様々な具が挟まれています。そして、上のパンを取り除くと具が見えますね? そして、具を取り除くと、下のパンには具が乗っていた「へこみ」があるはずです。
つまり化石というのは、具の乗った状態か、具を取り除いたパンの状態を石に置き換えたものなのです。へこみだって化石となる可能性はあるのです。
足跡が出来た土の上に火山灰や泥など、成分の異なる物質が体積し石化した物なら、うまく分離出来れば足跡を見つけることができるのでしょう。
A. おやじんさんから
私も化石大好き人間ですが、魚や昆虫、植物といった「物」があってそれが石化したものが化石だとずっと思っていました。
しかし、あるとき化石の定義なるものを知ったとき、「な〜るほど」とうなずいてしまいました。
いわく、古代といわれる地層から、その頃生息していた生物(動物、植物問わず)の痕跡をすべて化石と呼ぶのだそうです。だから、恐竜や人の足跡でも化石に分類されるのです。
足跡が化石になる条件は、おそらく水辺の柔らかい泥土についたものが形が崩れないうちに性質の違う別の土(多分火山灰など)が積もってそのまま保存され地層になったもの。それが水の浸食で上の柔らかい層が削られ表面化し発見されたのでしょう。
A. うにうにさんから
化石は大きく2つに分かれます。
1つは、生物の体そのものが化石になったものです。恐竜の骨や氷漬けのマンモスなど、多くの人が想像する化石はこちらだと思います。
もう1つは、生物が生きていたあと(痕跡)が化石になったもので、これを生痕(せいこん)化石と呼びます。典型的な例として、恐竜などの足跡の他に、海底や海岸の砂地に棲む貝などの巣穴が挙げられます。
生痕化石の中には、動物の糞のように、現物が化石化するものもありますが、足跡や巣穴の場合は、くぼみや穴そのものがその形のまま何千万年とか何億年も残って現在に至っているわけではありません。質問者さんもお考えの通り、風や水によって侵食されてなくなってしまいます。
では、どうやって足跡や巣穴が今日まで残るかというと、
1. 足跡や巣穴の上に、別の物質(砂とか泥など)が降ってきたり流れ込んだりする。
2. 当然、足跡や巣穴の中にもその物質が入り、中を埋める(いわば、「型を取る」わけです)。
3. その状態のまま、何十万年、何百万年も経過すると、足跡や巣穴の中も、その外側(もとからあった地面)の部分も、ともに固まって石になる。
4. 足跡や巣穴は地層の境界面のくぼみとして残る。
5. 地質調査をした際に、そのくぼみが発見される。
ということになります。
以下、話を足跡に絞りますが、こうやって化石となって残る足跡はごくごくわずかです。まず、堅い岩場の上では足跡そのものができません。また、海辺の砂浜ですと、ある程度足跡はできますが、波打ち際に近すぎると、すぐに波で消されてしまいます。水を抜いたばかりの田んぼのような、軟らかくそれなりに粘りもある泥などであれば、割と適しています。足跡が付いた後、あまり雨が降ったり水が流れ込んだりしなければ、やがて水分が抜けて固まります。十分に固まったあとでその一帯にまた水が流れ込んでくると、水と共に上流から土砂も流れてきますので、固まった足跡の上に堆積します。あるいは、火山が噴火すると火山灰が上から足跡を覆います。やがて、長い年月の間に、足跡の付いた泥の層も、その上に覆い被さった砂などの層も、徐々に岩石となっていきます。
しかし、そもそも、そうやって「型を取る」ことができる前に、侵食されて足跡自体が消滅することも多いでしょうし、また、水が流れ込んできたときにその勢いで壊されることも多いでしょう。
こういう難関をクリアして今日まで残っている生痕化石は、まさに過去からの貴重なメッセージといえるでしょう。
(注)「浸食」でなく「侵食」と書いた理由は、(1)
さんずいの「浸」を使うと流水の作用に限定されるような誤解を与えるおそれがあるから、(2)
文部科学省の学術用語集が「侵食」で統一されているから、です。
★アンギラスさん、しげ3さん、bluestarさん、賢さんからも、回答をいただきました。ありがとうございました。
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