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疑問No.671 (2008.04.19)

Q. kztさんからの疑問

 関西圏に住む人でなければわからないかもしれませんが、神戸の中心部にある三宮(さんのみや)は、阪急、阪神、地下鉄が「三宮」で、道路地図も「三宮」です。なのに、JRの駅だけが「三ノ宮」と、「ノ」が付きます。
 大阪市内のJR環状線の「桜ノ宮」や「森ノ宮」も駅名にカタカナの「ノ」がつきます。駅前に森之宮神社がある由来なのだから、駅名も森之宮にすればいいのに、JRはなぜいつも、独自に「ノ」を付けるのでしょうか? 不思議で仕方がありません。

関西圏以外にも、同様の例があるのかな?(星田)


A. 工場長さんから

 直接の答えではありません。
 以前勤務していた東急電鉄では、漢字と漢字の間にヶが入る駅名をすべてひらがな表記にしています。「自由が丘」「緑が丘」「梶が谷」のように書いています。
 これは、書式を統一して読みにくさと書き間違いを防止する目的で会社が決めたものです。実際の地名に合わせるよりもわかりやすさを優先させた結果のようです。
 素朴な疑問に書かれていた駅名についても、おそらくJRが独自に統一した書式なのではないでしょうか?

A. ヒイロさんから

 私が住んでいる神奈川県川崎市にも同様の事例があります。
「溝の口」という地域で、JR南武線と東急田園都市線が交差する川崎市内でも最大級のターミナル駅です。
 ただ、溝の口の場合、川崎市の住所表示が「溝口」、JRの駅名が「武蔵溝ノ口」、東急線の駅名が「溝の口」と三者三様のより複雑な状況です。読みは3つとも「みぞのくち」です。
 このようになった由来ですが、この地域は元々「溝ノ口」もしくは「溝口」と呼ばれており、JR、東急は共に、「溝ノ口駅」で開業しました。
 ちなみに、JRは開業時に既に「溝口駅」が他に存在していたために、「武蔵溝ノ口」となりました。その後、川崎市の公式な住所表示が「溝口」で統一され、東急線も駅名に含まれる「ノ」や「ケ」をひらがなに統一する名称変更が行われたため「溝の口駅」となったわけです。
 その他に、JR中央線にある「阿佐ヶ谷駅」も同様の事例ですね。
 この地域も元々の地名は「阿佐ヶ谷」だったので駅名も「阿佐ヶ谷」になりましたがその後、住所表示が「阿佐谷」に統一されています。
 このように基本的には、JRの駅名は開業時の地名から取られ、その後、住所表示が変更されても駅名は当時の表記で残った場合が多いのではないかと思います。

A. 4児の父さんから

 なぜJRの駅名に「ノ」をつけるか? この問いに対する答えは、「旧国鉄にそのように命名する慣習があったから!」になります。東京では、「御茶ノ水駅」が似たような例になると思います。
「木下」という姓がありますが、その読み方は「きのした」ですよね。このように日本語は、「の」の表記に関してはかなり大雑把というかおおらかな部分があります。
「の」の表記がなくても、わかっている人はちゃんと「の」を入れて読むわけですが、わかっていない人は「の」を入れずに読んでしまうかもしれません。それを防ぐため、適宜、「の」、「ノ」、「之」を入れて表記もしていました。
 かつて国鉄が全国に鉄道網を整備していくなかで、駅名は読み間違いがないということが大変重要視されていました。そこで、表記がない「の」が入る駅名には、カタカナの「ノ」を用いてわざわざ表記するようにしたようです。
 なぜカタカナなのかはよくわかりません。今でこそ「かな」といえば「ひらがな」を連想しますが、かつてはかなといえば「カタカナ」の方が主流でしたから、特別不思議なことではないと思います。
 森ノ宮駅に関しては、今でこそ「森之宮」と「之」が入っておりますが、もともとは「森宮」と表記して「もりのみや」と読んでいたようですから、上の例と同様と考えていいと思います。
 例外は「西宮」駅で、これももとは上記のルール通り「西ノ宮駅」だったのですが、市の希望で現在の「西宮駅」に変更した経緯があります。
 最後に余談ですが、東京の「御茶ノ水駅」、これなどはもともと正式に「おちゃのみず」という地名がないことが表記混乱のおおもとにあります。
 現在の地図のどこをみても「おちゃのみず」にあたる場所はありません。神田から湯島にいたる駿河台周辺をだいたい「おちゃのみず」と呼んでいたのです。ですから古文書を見ても、その表記はまちまちで統一されてはいませんでした。そのような中、上記の国鉄による命名で「御茶ノ水駅」となり、その駅周囲には多くの「お茶の水」と表記された看板があるという、統一されていない状態になっているわけです。