--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.708 (2008.10.04)

Q. ようこさんからの疑問

 音の高さを合わせるときに「音叉(おんさ)」を使いますよね。私も学生時代に吹奏楽部でしたから、すこしは使いました(今は、便利な機械がありますね)。
 あの、音叉の音ですが、階名でいうと「ラ」の音が一般的だとか。
 なぜ、他の音ではなくて、「ラ」なのですか?

音叉を作る上で「ラ」が便利なのか? それとも、他の楽器のチューニングの際に「ラ」が便利なのか? それとも、他の理由でしょうか?


A. 太鼓叩兼笛吹さんからの回答

 音叉の音はなぜ「ラ」の音なのか。答えは実に簡単です。
 オーケストラでチューニング(音合わせ)するときの音(基準音)が「ラ」だからです。音叉は上記のために開発されたものと私は記憶しています。
 ただ、最近では音叉よりチューナーという機械で音を合わせる楽団(オーケストラ)が多くなり、一般的となっているようですね。
 ちなみに、吹奏楽の基準音は「シ♭」です。
 また、音叉は「ラ」の音が一般的ですが、吹奏楽用の「シ♭」だけでなく、1オクターヴ、黒鍵音、白鍵音含め全ての音の音叉が開発、販売されています。

なるほど。
 ということは、なぜ、「基準音」が「ラ」と定められたか?――ということに疑問は移るわけですね。

A. YOSHYさんからの回答

 いつも楽しく読ませて頂いています。
 音叉がなぜ「ラ」の音かということですが、「ラ」が基準の音だからと思います。
 音楽では「ドレミファソレシド」、と習いますが、基準の音階は「ラ」から始まります。
「ラ」が「イ」、「シ」が「ロ」……、というふうに、「イロハニホヘト」の順に並びます。そのため、「ド」から始まる音階はハ長調、「ソ」から始まる音階はト長調となります。
 また、アルファベット表記でも「ラ」が「A」、「シ」が「B」……、となり、ドが主体になっている「ドミソ」の和音が「C」と表されます。
 というふうに、「ラ」から始まるので、その最初の音、ということで音叉の音が「ラ」になっているのだと思います。

A. 賢さんからの回答

 今でいう「ラ」の音は、西洋音楽では「A」と呼び、音階の始まりであり、音の代表だからです。
 ちなみに、そもそもなぜAの音が「A」と決められたかというと、新生児の泣き声の平均がその高さだからだそうです。

A. YOSHYさんからの回答

 音叉とは、もともとトランペットのチューニング用に作られたものだそうです。
 チューニングと言えば、オーケストラの最初の音あわせですが、温度・湿度にいちばん敏感なオーボエに合わせるそうです。
 そして、全ての弦楽器において(通常オーケストラで使うものですが)、弦の途中を押さえなくても、A(ラ)の音が出る弦があるそうです。
 だから、「ラ」の音のようです。
 とはいえ、チューニング用には、理科の実験で使うような共鳴させるための箱は不要のはずですので、ひょっとしたら、大量生産されている(ということは安価で品質が均一化されている)音叉を流用したのではないでしょうか。
 ところで、トランペット等の管楽器はもう一つ上の「B(シ)」の音でチューニングしているという話もあります。

なるほど。「ラ」の音だと、どの楽器もチューニングがやりやすいのか!

A. ざ〜さんからの回答

 音叉の「ラ」が440Hzについて。
 私が小学生だった頃、ギターの教則本に書いてありました。調律の仕方で、第5弦をハーモニクスさせ、その音が440Hzの「ラ」であると。近頃(といっても40年前の話ですが)はチューナーがあって、どの音でも合わせられ、調律はどの音からでもよい。しかし、第5弦ハーモニクスの440Hzが便利で基本であると。
 弦楽器は、ほとんどにこの「A音」(「ラ」のことです)が開放弦に含まれていて、それで古くから調律の基本になったのだと思います。弦楽器は打楽器とともに、古くからある楽器ですから。
 ピアノは全ての鍵盤で独立した音階を持っていますが、弦楽器や管楽器は、波長を楽器で調節して音を出しますので(それが演奏になります)、基本の音が必要なのでしょう。
 A音「ラ」が440Hzになったのは、録音技術が発達して、原音を正確に再生するために統一した音階が必要となって規定されたようです。実際は、指揮者や演奏者によって、微妙に違うのが生演奏のようですね。それが、また生演奏の良さなのかも知れません。

A. 前田憲男さんからの回答

 音叉の用途は「チューニング」です。従って全ての音程の音叉が商品として存在しますが、現実には「A」(=440Hz)の音叉がいちばん需要が多 いのです。
 洋楽の基音は歴史的に「A」となっていますが、実はこの振動数はバラバラだったのです。モーツアルトの時代では「A=435Hz」前後というあいまいな状態だったものが、中央のド音(C)の上のラ音(A)は、1939年にロンドンで行われた国際会議で440Hzと制定されました。従って商品としての音叉はA(=440Hz)を基準として生産されます。

  オーケストラのチューニングは「A」を使用
  ブラスバンドのチューニングは「Bb」を使用

 これらは楽器の構造に由来します。
 オーケストラの場合、主たる楽器は弦楽器です。彼らは開放弦でチューニングする必要があり ます。左手が糸巻きに占領されるからです。

  Violinの調弦------------G-D-A-E
  Violaの調弦-------------C-G-D-A
  Celloの調弦-------------C-G-D-A
  D.Bassの調弦------------E-A-D-G

 オーボエが音色的に目立つので「A」を発音し、これに弦楽器が合わせます。オケの管楽器群はこれに従います。
 蛇足ですが、ピアノ、シロホン類の有鍵楽器は「蚊帳の外」です。

 ブラスバンドの場合、移調楽器の全てはおむね Bb,Eb,Fで構成されています。特に主導権を握るトランペット、クラリネットはBb管が標準です。トロンボーンも構造的にはBb管です。もちろん「A」でのチューニングも可能ですが「Bb」でのチューニングの方が便利な楽器が多いのです。