--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.754(2009.05.30)

Q. Rinさんからの疑問

 いつも楽しく読ませていただいております。今回初めて投稿させていただき
ます。
 私の疑問は、
「日本中の全ての屋根に太陽光発電を設置したら年間どの位の電力が得られるの?」です。
 地震大国日本に原子力発電所というリスキーな代物をあえて使用しなくても日本の電力はまかなるのではないか?――と日頃から感じていました。そこで、このことを知りたいと思ったのです。
 さらに、原子力発電所を維持するコストを考えると、そのコストを使用し、政 府主導で無償で全ての屋根に太陽光発電の装置を設置できるのではないか とも考えたためです。
 東海村臨界事故よりの積年の疑問です。よろしくお願いいたします。

今回、原子力発電所の必要性について論議はしません。話がややこしくなります。すべての家の屋根に太陽光発電を設置したら……という視点で、原子力発電所と比較していただくのはかまいません。
 そういう試算があるのでしょうか?
 もちろん、設置にはコストがかかりますから、そちらの資料もあればうれしいですね。(星田)


A. サンディエガンさんから

 日本に何軒のお家があり、マンションは何軒あるのでしょう?
 屋根の広さを想定するのが難しいので、日本の原子力発電所をすべて太陽光発電パネルに置き換えるとしたらどのくらいの広さが必要か考えました。
 原子力発電所は100万から150万KWの発電容量を持っています。それを太陽光発電パネルに置き換えると約70km2必要だそうです(東京電力による) 日本全国に55基の原子力発電所がありますから、3850km2の広さが必要です。
 また太陽光発電は夜は発電できませんし、雨の日もダメです。これらを埋め合わせるためにはその3倍が必要です。11550km2となります。
 日本の面積は380000km2です。秋田県がちょうど11400km2ですから、秋田県全体にソーラーパネルを設置すれば、原子力発電所の容量に匹敵します。
 しかしこれだけでは原子力発電所はなくせません。なぜなら昼間に発電した電力を貯蔵しておく巨大な電池が必要になります。NAS電池など高容量の電池が開発されていますが、原子力発電所に匹敵する容量をためておく電池を設置するのは場所的にもコストでも不可能でしょう。またソーラーパネル、電池の寿命も10年から20年ほどで、原子力発電の40〜50年の域に達するのはしばらく先になります。

A. 流浪人さんから

 これは個人的な考察なのですが……。
 まず、設置面積について。
 日本の地表面積は約37.8万ku、宅地面積はその約5%の18900ku、しかしそのすべてが建物に利用されているわけではない上に、構造や外見上の問題で実際にパネルを設置できるのは1/5程度?(個人的憶測)の3780kuになると思われます。
 次に、ソーラーパネルについてですが、有名な某社に確認したところ1uあたり平均200kWh/year 程度(設置する地域や環境に依存)の発電が可能だそうです。とすると、発電量は最大で756TWh/year程度ということになります。
 設置費用については、1パネル当たり現在の相場で十数万円ですが、国や地方の補助金を活用すれば1〜2万ぐらいは安くなります。
 量産体制の確立や技術革新で1パネル当たり1万円で設置できるようになったとすると全国の屋根に設置するには37.8兆円程度かかります。

A. Picorinoさんから

 設置場所における年間の太陽エネルギー到達量は緯度によって異なり、日本では約1,200kWh/m2くらいだそうです。
 地球が太陽から受けるエネルギーは1.37kW/m2だから、1.37×一日当たり正味で5時間×365日×曇雨を見込んで平均0.5と考えて1,250kW/m2となるから、だいたいそんなところでしょう。
 太陽電池によるエネルギー変換効率は、現在のところは約17〜18%程度です(ドイツの研究機関が発表した太陽電池の変換効率を41%が最高のようです)。
 しかし、システムの効率を含めると、実際の利用可能なのは15%程度。つまり、現時点では1平方mの太陽電池から年間180kwh(将来的に年間450kwh)が得られるでしょう。
 ちなみに以下のサイトでで我が家の位置での発電量を試算したら、130kwhと出ました。
http://www3.kyocera.co.jp/solar/app/simu/hp/step1.html

 この130kwhを使いますと、日本の人口が1億3千万、4人家族で1軒持つとして3,250万軒、120平方m、2階建てで、屋根面積の半分が使えるとして30平方mの太陽電池を設置すると仮定すると

  130×30×3250万=1,270億kwh

 日本の総発電量は年間約12,000億kwh(家庭用約2,000億kwh)ですから、家庭用の半分くらいはまかなえるということですね。
 ちなみに、現在の太陽電池は20〜25年で投資の元が取れるらしいうですが、それもその間は性能が劣化しない故障しないというのが前提の計算のようです。もちろん、最後にゴミとなりますが、その処理も計算外でしょう。
 太陽電池って、本当にいいものなんでしょうか。

A. しげ3さんから

 太陽光発電についての疑問ですが、独立行政法人産業技術総合研究所によれば、潜在的に設置できる量だけならば、日本の年間電力需要量の数倍を賄える発電が可能とのことです。
 ただし、太陽光発電ですから、太陽が出ている間しか発電できません。太陽が出ていない間は何らかの蓄電設備を使用し、それに頼ることしかできません。
 コストについては、2007年時点での発電コストは10円/kWh以上、原子力では2009年時点で10円/kWh程度のようですので、それからいけばざっくり4倍の発電コストがかかります。
 太陽光発電システムの需要量が増えれば、パネルなどの価格も下がります(薄型テレビの価格が数年で下がったように)。蓄電設備の建設、保守がどのくらいかかるか分かりませんが、これについても技術の進歩で高効率低価格の設備ができると思われます。将来的には、同等もしくは同等以下のコストになるのではないでしょうか。
 ただし、実際の設置については、法的に「付けなさい」となれば別でしょうが、屋根の上にパネルを載せられない、載せたくないなどの事情もでてくるのでしょう。