--- 素朴な疑問集 ---
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疑問No.756(2009.06.06)

Q. かりんさんからの疑問

「合計特殊出生率」が話題になることがあります。調べてみましたら、「15歳から49歳の女性の年齢別の出生率を合計したもの」だそうです。
 ということなので、「合計」も「出生率」も理解できるのですが、「特殊」というのがわかりません。

 この指標のどこか「特殊」なのでしょうか?
 反対に、「特殊」ではない出生率もあるのでしょうか? 教えてください。

ありがとうございます。これは、私も疑問だったのです。(星田)


A. ojisan1156さんから

 一般に「合計特殊出生率」とは、「期間合計特殊出生率」を指します。
「期間合計特殊出生率」とは、女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、それぞれの出生率を出し、足し合わせることで、人口構成の偏りを排除し、一人の女性が一生に産む子どもの数の平均を求めます。
ある年において、

   f(x)を「調査対象において、年齢xの女性が一年間に産んだ子ども数」
   g(x)を「調査対象における年齢xの女性の数」

とすると、その年の合計特殊出生率は、f(x)/g(x) を15歳から49歳まで積算することで求められます。
 要するに「合計特殊出生率」とは一人の女性が一生に産む子どもの数のことで、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができる数値なのです。

A. ルカさんから

「特殊」が指している部分は正確には分かりませんが、合計特殊出生率が示す値は、一人の女性が一生の間に「産む」子どもの数ですから、もう子どもは産みません(産めません)という女性のデータではないという時点で特殊な気がします。
 それから、他の国と比較する場合などに、人口構成の差を考慮せずに比較できるというのも、かなり特殊なデータだと思います。

A. moon-jellyさんから

「特殊」ではない出生率は、文字通り「普通出生率」です。

「普通出生率」:人口1000人あたりの出生数
「特殊出生率」:出生を男女別、年齢別、集団属性別などに細分化して観察した出生率

「普通出生率」では、年齢構成などの違う人口集団間の出生の比較ができないので、一般的に出産可能な15歳から49歳までの女子の年齢別出生率の平均値を「特殊合計出生率」と名付け、現在では「出生率」と言えば「合計特殊出生率」を指すようになっているようです。
 つまり「合計特殊出生率」の特殊とは年齢特定(特殊)のことですが、専門用語はこういう言い回しが多いので難しいですね。

A. ざ〜さんから

 国家試験以来となる公衆衛生学の古い記憶を辿りますと、「特殊出生率」の対語は「普通出生率」です。
 確かに「普通」の反対は「特殊」ですが、本来反対の意味を指しているものではありませんから、たとえば「調整出生率」とか、もう少し適当な言葉が見つからんかったんかいなというぐらい「特殊」な単語ですね。
 特殊出生率の英語は「fertility birth rate」ですから、直訳すると「繁殖力出生率」でしょうか。
 特殊出生率を簡単に説明しておきますと、まず死亡率ということを思い浮かべてください。人口に対する死亡数の割合ということになります。人は老若男女等しく誰でも死にますから、これでOKです。
 出生に関しても、人口に対する出生数で割り出すという方法があります(普通出生率といいます)。
 しかし、出生に関しては、これは女性のみが産むという特性があります(だから特殊?)。老人と幼児と男性はあまり関係ありません。
 そこで、子どもを産むことができそうな年齢層の女性集団が産んだ子どもの数の割合を出生率として示したものを「特殊出生率」といいます。
 どこかの大臣が女性を「産む機械」と発言をしたのは、この用語を変に聞きかじって中途半端に頭の中に残っていたのでしょうね。