Q. しほさんからの疑問
子どもっぽい疑問で恐縮ですが、ウマはニンジンが好きですか?
私がお尋ねする「好き」とは、ドラえもんがどら焼きが好きなくらいの「好き」ということです。
よく漫画で、ウマの目の前にニンジンをぶら下げて、ウマの元気を引き出すシーンがありますが、あんなことって本当にあるのでしょうか?
ニンジンでなければ、ウマのいちばんの大好物って何ですか?
★ニンジンのシーンは、漫画だけのことかと思いますが、でも、あんなシーンを描くということは、何か根拠もあるのかなと思うのです。(星田)
A. みし丸さんから
ウマはニンジンが好きです。ただし、最も好きかというと疑問ですけど……。草食動物ですから、口の前に植物を差し出せばだいたい食べます。
ウマは大きな動物ということもあって、不慣れな人にとっては、はじめは恐い瞬間かも知れません。したがって、一本丸ごとのニンジンは手に持ちやすく、さらに握っても手から余るので、ウマに噛まれることを恐れずにあげる慣習が根づいてきたのではないでしょうか。
噛まれて怪我をしたくなければ、指は上に向けて立てないことです。5本の指を反らす意識で、手のひらにあげたいものを乗せるといいでしょう。
丸ごとのニンジンをあげることでウマに慣れた人は、スティック状に切ったものをあげるようになります。丸ごとのニンジンはウマでさえ噛み切るのに力を使います。
過去の体験からいいますと、リンゴも好きです。ニンジンよりは単に青草の方が好きかも知れません。個人的には、ハクサイがかなり好きなのではないかと思います。丸ごと一つ差し出したら、志村けんさんがスイカの早食いをするくらい豪快に食べますよ。
一つ大切な注意点は、ウマはおなか(特に腸)を壊すと死に至ることもありますから、軽はずみな実験でいろいろなものを試さないようにしましょう。世話係の人に了解を得てからあげることです。
A. szlさんから
競馬好きで、サラブレッドたちのエピソードを、普通の人より読んだり見聞きしたりすることが多い程度の立場から。
あの子達は、私達が思っている以上に個性が強いです。気が強い子もいれば、弱い子もいる。頑張り屋さんもいれば、根性無しもいる。頭の良い子もいれば、物覚えが悪い子もいる。寂しがり屋の子もいれば、孤独を好む子もいる。人懐こい子もいれば、人間嫌いで反発ばかりしている子もいる。その他諸々。
当然、食べ物の好き嫌いもあるわけで、ニンジンが大好きな子もいれば、大嫌いで絶対に食べないという子もちゃんといます。
りんごが大好きな子、クローバーが大好きな子、ハチミツ入りの飼葉が大好きな子、と本当に様々。もちろん、それぞれが嫌いな子もちゃんといます。
どの子にも概ね喜んでもらえるのは角砂糖、という声が多いようです。前歯で咥えて、ボリッと噛み砕いてすぐにオシマイなのですけれど、
「ねえねえ。美味かったっス。もっとくれっス」
と追加をおねだりする子の姿も何度か見たことが。
冬場、雪が積もっている時に角砂糖をもらうと、そのまま齧らず一度雪の上で噛み砕いて、砂糖をまぶした状態の雪をモフモフ食べるのが好きだった、賢い子もいたそうです。
目の前にぶら下げられたニンジンを追いかけて激走してしまう子も、本当にいないとは決して言い切れません。気性が荒く、なおかつあまり頭の良くない子、ということになるでしょうけれど……。
が、それ以前に、そんなことをする人が、まずいないような気がします。危なくて乗っていられませんから。多分。
A. ゲイリーヤマさんから
競馬場で厩務員をして、毎日を馬と共に生活している私がお答えしましょう。
ぶっちゃけ馬はニンジンが大好きではありません。というより慣れないと見向きもしないのです。
元来、馬は草食動物で、野生の馬などは一日のうち十数時間を草を食むことに費やしています。競走馬などはパワーをつけるために穀物や野菜、果物も与えたりしますが、甘いものはとりわけ良く食べ、ニンジンやりんごを与えているところはたくさんあります。
乗馬の馬などを見ているととても従順そうですが、本当はすごく臆病で警戒心が強い動物なので、最初はニンジンを与えても食べられる物か分からないので警戒して口にしない馬が多いのが事実です(中には何でもかんでもバクバク食べるのもいますが……)。
漫画でニンジンをぶら下げるようになったルーツは分かりませんが、馬に興味がある方にはいろいろお答えしたいと思います。
是非、競馬場に遊びにいらして実際の馬を見て頂けると、もっといろいろな発見があると思いますよ。
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