Q. 自炊人さんからの疑問
料理に「煮る」と「炊く」がありますが、これはどのように違うのでしょうか? 私には、やることは同じだと思えるのですが……。
テレビの料理番組を見ていましたら、関西系の料理人と関東系の料理人の言い方の違いなのかなと感じる場面がありました。
「煮る」と「炊く」は、関東と関西の呼び方だけの違いなのでしょうか? それとも、何か違いがあるのでしょうか? ぜひ、教えてください。
★私は関西ですが、「おでん」のことを「関東炊き」と言うことがあります。ご飯は「炊き」ます。「煮る」では、許せないところがあります。うまく説明できませんので、よろしくおねがいします。(星田)
A. ラケルさんから
昔、家庭科の授業で習ったのでは、「水の量」ではなかったかと思います。ずいぶん前のことなので、うろ覚えですが……。
A. ごんたさんから
「煮る」が比較的弱い火力で煮汁を残した状態でじっくり加熱調理するのに対し、「炊く」は強めの火力で一気に加熱し、水分を殆ど飛ばしてしまうという違いがあるのでは?と考えます。
「煮る」では素材を焦がすことは失敗と見なされますが、「炊く」では味のアクセントとして喜ばれたりしますね。
A. 黒男さんから
関東人(千葉県民)の個人的感覚で言うと、汁気がないのが「炊く」、汁気があるのが「煮る」です。
…ですが、筍の煮物等は汁気がない状態で小鉢などで出てくることが多いのです。
火力も関係性がありそうですし、地方で呼び方が違うだけなのか、難しいですね。
こういう東西の疑問は愛知県民と静岡県民に聞くとどの辺で分かれてるのかわかりますよ(秘密の県民SHOW参考)。
A. ざ〜さんから
中国文化や中華料理の専門家ではないのですが、少し聞きかじったことを一つ。
元々は、中国語での調理法の漢字を、和語に当てはめたものです。イメージとしては、弱火でじっくりと加熱するのを「煮る」で、強火で一気に加熱するのを「炊く」というようです。
そのほか、中国語で加熱方法には、「爆」、「炒」、「炸」、「焼」などの調理法があるようですが、それぞれ微妙に調理法が違うようです。「焼」は直火焼でなく、少量の出汁で煮る方法です。とても素人には理解できません。
これらの用語から、日本人の生活様式に合致した調理法だけが、和語として残ったようです。
「煮る→にる」と読みますが、日本でも「関東煮→かんとうだき:おでんのこと」のように「煮」を「たく」とも発音しますね。「煮炊きする」という言葉通り、日本文化では結構曖昧に使われているのではないでしょうか。
A. kztさんから
「ゆでる」もちょっと似ていますね。
「ゆでる」「煮る」「炊く」の概要を、順にまとめてみましょう。
「ゆでる」の場合は、湯は水か塩水を沸騰させたもので、他の調味料や出汁は入りません。比較的短時間の調理になります。1分から最長でも15分くらいまで。またゆで汁は廃棄するのみで、利用しません。ゆでたものは、卵、トウモロコシ、じゃがいも、たけのこ、カニ……、いずれであっても色は変われど原型をとどめています。乾麺の場合のみ、ゆでる前とあとで形態が異なります。
「煮る」場合は、煮汁が水だけということはなく、様々な調味料や出汁を含みます。ゆでるよりも比較的長時間の調理を含みます。長い場合は1週間煮詰めることもあります。また煮汁は捨てず、料理の成果の一部として利用します。ゆで汁よりも、煮汁のほうが粘性が高いのが特徴です。また、煮たものは原型が煮崩れやすく、表面から煮汁がしみ込みます。
「炊く」は、「炊飯」ということばに代表されるように、現代では主に米の調理に用いられることばです。
炊飯の場合は炊き汁が水のみですが、炊き込みご飯のように、だし汁の場合もあります。炊飯の場合は汁を煮詰めて水分をとばしてしまいますが、関東炊き(関西弁でおでん)の場合は煮詰めない。すなわち「炊く」については、煮汁でも分類できず、水分を飛ばすかどうかでも定義できないことになり、ごはんの調理に特有の慣例表現となっているものと思われます。
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