Q. 順ちゃんからの疑問
ワニやカメ、ウミヘビやクジラのように、肺呼吸だけど水辺や水中にに生息する動物がいます。
うちでもカメを飼っているのですが、カメなんて、かなりの長い間、水中にいても平気のようです。息が苦しくて辛いという様子は見えません。
どういう仕組みになっているのでしょうか? 人間にも応用可能なのでしょうか?。
★体に対して、肺が大きいのかな? そうは思えないな……。(星田)
A. でしゃばりさんから
昆虫のような小動物場合、体の一部に空気を玉の様に蓄えて、それを使いながら生活していると聞いたことがあります
現に、水中に潜っている昆虫で、空気胞のためが輝いて見える事がありますよ。
ワニやクジラのような大動物は、仕組みは判りませんが、酸素の消費量が、人間よりも少なくても生活が可能なようになっているのではないのでしょうか。
A. アンギラスさんから
クジラに関しては完全な肺呼吸ですが、血液中のヘモグロビン量が多いため、一度の呼吸で大量の酸素を補給できるからであると聞いたことがあります。
カエルやオオサンショウウオなど両生類の多くは肺呼吸と共に皮膚呼吸も行っていますし、爬虫類であるカメのスッポンは、肺の他に食道の粘膜や皮膚でも呼吸を行っています。冬眠中は長期間完全に水の中で過ごしますが、代謝が低くなっているので、粘膜呼吸と皮膚呼吸から得られる酸素で十分なのでしょう。
余談ですが、魚類でも皮膚呼吸を行う種がいます。
ハモが内陸部の京都で広く用いられたのは、乾燥さえさせなければ皮膚呼吸で一日ぐらいは陸上でも生きていられたので輸送に適していたからです。有明海のムツゴロウが干潟で長時間活動できるのも、皮膚呼吸の賜物です。
A. 子沢山さんから
まとまった知識でなく、雑学の集まりですが、だいたい以下のような工夫をしているようです。
(1) 肺に取り込んだ酸素の利用率を上げる
(2) 身体中に酸素を多く蓄積できるようにする
(3) 酸素消費量を抑える
(1)の例
人間では、鼻から入った酸素は、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支という長い気道を経て、末梢の肺胞でやっとガス交換に利用されます。
すなわち吸った酸素のうち、肺胞にまで届いた酸素だけが有効に利用されるわけで、鼻腔〜細気管支の部分の酸素は全く役立つことなく、吐き出されてしまいます。そのため、この鼻腔〜細気管支の部分は死腔と呼ばれています。
その結果、人間では、吸った酸素のうちの10数%くらいしか利用されません。
ですから、死腔が小さければ、吸った酸素の利用率は上がります。構造的にそのようになっている動物もあるようですし、カバでは気管の筋肉を収縮させて、死腔を小さくできる機能があるとともに、その結果として気道の内圧を上げることで、酸素を取り込みやすくすることができます。
また人間では、鼻腔から肺胞に至る気道の構造が木の枝状の分岐をしているため、死腔の酸素が利用できないのですが、ワニでは肺内の気道の枝の分かれ方が異なっており、流入用の気道と排出用の気道が別になっています。そのため死腔内の空気を循環させることで、酸素をより有効に利用しています。
(2)の例
マッコウクジラなどで顕著なようですが、全身の筋肉内にミオグロビンというヘモグロビン以上に酸素と結合する力の強いタンパク質を多量に持っており、これにより筋肉内に多量の酸素を蓄積することで、長時間の呼吸停止能力を獲得しています。人間にもミオグロビンはありますが、短距離走を見ていただければわかるとおり、人間の呼吸によらないミオグロビン内酸素を使っての運動(無酸素運動)はせいぜい400m走ぐらいが限界です。
マッコウクジラは極めて多量のミオグロビンを有効に使うことにより、1時間という長時間にわたって無呼吸でいられるのです。
(3)の例
ワニがじっとして獲物が来るのを待ち構えているように、運動量を減らすことで酸素の消費をおさえたり、気温の変化に対して代謝の効率を落とすなどして、体温保持のためのカロリー消費を抑制したリするようです。
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