Q. みつやさんからの疑問
子どもの教科書を見ていて、昔の疑問がよみがえってきました。
「山脈」と「山地」は、どのように違うのですか?
単なる「山」とは違うのでしょう。山が連なっているのだとは思いますが、その「山脈」と「山地」とを分ける境目はどこでしょうか?
★面白そうな疑問です。ご回答をお待ちしています。(星田)
A. おせっかいさんから
個人的なイメージで言います。
山脈とは山が深くて人間が生活するのがむずかしいところですが、山地とは生活可能な場所であり、ときには集落等も構成されているところではないかと思います。
A. よしなさんから
「山地」とは、「平地」に対してつけられた言葉で、複数の山が存在している地域のことを指します。おおむね500m以下の地域は「丘陵」とも呼ばれます。
一方、「山脈」とは、山が細長く連なっている地域を言います。山脈は止まっているプレートに動いているプレートがぶつかり、盛り上がったところですので細長くなるんです。
厚手の布の一辺を固定しておき、反対側からゆっくり押すと、しわが寄りますよね。しわ一つ一つが山脈で、しわ全体が山地という感じでしょうか。
具体的に言うと、日本アルプスは飛騨山脈(北アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、赤石山脈(南アルプス)と3つの山脈から出来ていますが、日本アルプスを含む一帯は、山地と呼んでいいのではないでしょうか。
回答を書いていたら、たまには山登りにでも行きたくなってきました……。
★私も個人的に調べました。「山地」は、「平地」に対する言葉です。「山地」は「山脈」を含んでいます。そこまではわかりました。でも、スカッとしないなぁ。どなたか、助けてくれませんか?(星田)
A. jazzhannonさんから
山地と山脈の「境目」についてですが、現在の地名は、1954年に建設省で作られた「主要自然地域名称図」が元になっているらしいのです。その中で、山地、山脈は次のように定義されているそうです。
山地:地殻の突起部をいい,総括的な意味をもつものとする。
山脈:とくに顕著な脈状をなす山地をいう。
見ての通り、定義自体があいまいですよね。客観的に判断できる境界条件がありません。
A. うにうにさんから
既出の回答にもあるように、現在使われている山地や平野などの名称は、1954年に建設省地理調査所(現在の国土交通省国土地理院)が定めた「主要全国地域名称図」に基づいています。(なお、細かいことですが「建設省地理調査所」のことを略して呼ぶときは「建設省」ではなく「地理調査所」と呼ぶのが普通です。)
また、そこで
山地:地殻の突起部をいい、総括的な意味をもつものとする。
山脈:とくに顕著な脈状をなす山地をいう。
と定義されていることもその通りです。
しかし、私には「定義自体があいまい」だとは思えません。山地のうちで「とくに顕著な脈状」なものを山脈と呼び、そうでないものは山脈と呼ばないのですから、はっきりしています。
こういうと、「顕著な脈状」という表現自体が曖昧だという反論が予想されますが、そうでもありません。
まず、地形の用語ですから地形図などの地図上の形態で判断するのが妥当でしょう。そこで、地図上で見たとき、ある地域全体が「地殻の突起部」(山地の定義でしたね)になっていれば、とりあえず山地になります。
しかし、もし全体の形が一方向に細長く延びており、さらに、稜線(山頂から山頂へと連なる尾根の線)も同じく一方向に延びる傾向が顕著な場合、それを山脈と呼びます。
「山地が顕著な脈状」という表現から、このような定義を敷衍するのは、地図に親しんでいる人であれば、自然なことだと思います。決して、単なる「雰囲気」で分類しているわけではありません。
たとえば、赤石山脈(いわゆる南アルプス)は、全体が南北方向に延びており、甲斐駒ケ岳・北岳・間ノ岳などを結ぶ稜線もまた南北方向に延びているから山脈です。
一方、中国山地の場合、全体としては東西方向に長いといえるでしょうが、稜線は必ずしも東西方向とは限らず、さまざまな方向に走っているので、山脈にはなりません。
たしかに、「客観的に判断できる境界条件がない」という意見もあるようです。もし、たとえば山地の地形データを元に算出する「脈状度指数」のようなものを定義して、それがある値以上とか以下なら「脈状」と判定する――といった方式をとれば、確かに客観的に判断できるでしょうが、私は現状の定義で実用的には十分であると考えます。
★なるほど、地形や地図に詳しくない人か見ると「雰囲気」で分類しているように見えても、じつは、かなりしっかりしているんですね。(星田)
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